皮膚科医の年収の目安や主な働き方、セカンドキャリアについて解説
目次
皮膚科医の年収は、勤務医として働いた場合と開業した場合とで大きく異なります。開業医になった方が年収は高くなる傾向がありますが、開業医ならではの悩みや問題もあるため、キャリアを考えるときは慎重に検討することが大切です。
本記事では、皮膚科医の年収の目安や働き方、セカンドキャリアについて解説します。
皮膚科医の平均年収は約1,078万円
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、皮膚科(眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科との合算)の平均年収は約1,078万円です。(※)1,000万円の大台には乗っていますが、主な診療科(その他含む13科)の中では最も少ない金額です。
なお年収別の割合は以下のようになっています。(※)
年収 | 割合 |
300万円未満 | 2.6% |
300~500万円 | 8.3% |
500~700万円 | 12.5% |
700~1,000万円 | 17.3% |
1,000~1,500万円 | 33.2% |
1,500~2,000万円 | 22.0% |
2,000万円以上 | 4.2% |
年収1,000万円以上の割合は59.4%で、主な診療科の中で最も低く、かつ年収500万円未満の割合は10.9%と、最多の放射線科(11.6%)に次ぐ値です。皮膚科医の年収が他の診療科に比べて低い理由として、オンコール対応や残業の少なさが考えられます。
例えば、主な診療科の中で最も平均年収の高い約1,480万円の脳神経外科は、時間外労働の平均時間は53.3時間でした。一方、皮膚科の時間外労働の平均時間は 44.3時間と脳神経外科よりも約9時間少なくなっています。(※)時間外労働などの手当も少なくなるため、他の診療科より年収が低くなる傾向があるようです。
なお、皮膚科医の平均月収は72.7万円、月収別の割合は以下のようになっています。(※)
月収 | 割合 |
40万円未満 | 19.2% |
40~50万円未満 | 7.7% |
50~100万円未満 | 44.2% |
100~150万円未満 | 24.6% |
150万円以上 | 2.6% |
月収が50万円未満の割合は約27%、50万円以上の割合は約70%です。月収100万円以上の割合に限定すると約27%と、3割近い人が100万円以上の大台に乗っています。
皮膚科医の働き方
皮膚科医の主な業務内容は、皮膚疾患全般の診断・治療です。ニキビや接触性皮膚炎など比較的軽症なものから、じんましんや帯状疱疹、アトピー性皮膚炎、やけどのケアまで、幅広い疾患に対応します。
大きな病院の皮膚科では、重度のやけどや悪性腫瘍の診断・手術を担当することもあります。入院施設のない診療所で働く場合、さほど緊急性の高くない疾患への対応が大半を占めるため、ワークライフバランスを保ちながら働くことが可能でしょう。実際、月の実労働時間の平均も44.3時間で、他の主な診療科の中では精神科と内科の次に少ない数値となっています。(※)
一方で1カ所の勤務先だけに留まらず、複数の勤務先を掛け持ちしている皮膚科医も少なくありません。1カ所のみで働いている皮膚科医の割合は42.7%と半数を割っており、2カ所は21.5%、3カ所は15.3%、4カ所は10.5%、5カ所以上は10.0%です。(※)
とくに4カ所で働いている人の割合10.5%は、主な診療科の中で、小児科に次いで多い結果です。5カ所以上で働いている人の割合も、2桁を超えているのはその他含む13科のうち7科で皮膚科医もその中に含まれています。
複数の勤務先で働く理由(複数回答)について、皮膚科で最も多かった回答は「収入を増やしたいから」「勤務先からの指示があるから」が同率で44.6%、次いで「1つの勤務先だけでは生活自体が営めないから」が39.7%を占めており、収入の少なさが大きな要因のひとつであることがわかります。(※)現在の収入に不満や悩みがある場合は、勤務先や働き方を見直すなどの対策を講じた方がいいでしょう。
独立開業する場合の働き方
皮膚科医で将来的に開業したいと考えている人は少なくありません。統計でも将来の働き方の希望について「開業したい」と回答している人の割合は主な診療科の中で唯一2割を超えており、独立開業を目指す人の多さを裏付けています。(※)
全診療科を対象とした質問では開業を考える理由について「勤務医の収入は労働時間に比べて賃金水準が低いと感じる」が約43%と半数以上を占めており、次いで「勤務医として将来的に限界を感じたから」が30%を超える結果になっています。(※)
では、実際に皮膚科の開業医になった場合、どのくらいの年収が見込めるのでしょうか。
厚生労働省が実施した第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告によると、令和2年度における皮膚科の開業医(個人・一般診療所)の年収は約3,300万円で、勤務医のおよそ3倍に上っています。(※)
開業医の場合は施設の維持費にお金がかかるため、年収の全てが手元に残るわけではありません。また、個人病院の場合、診断や治療を行うのは基本的に自分一人のため、心身の負担は勤務医よりも大きくなりがちです。独立開業する場合は、勤務医に比べてワークライフバランスが取りにくくなる可能性があること、施設の維持費を捻出しなければならないことなどを十分に考慮した上で検討することが大切です。
※出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構.「勤務医の就労実態と意識に関する調査」.https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf,(入手日付2023-02-20)
※出典:厚生労働省.「第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」.https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/23_houkoku_iryoukikan.pdf,(入手日付:2023-2-20).
皮膚科医のセカンドキャリア
皮膚科医のセカンドキャリアは大きく分けて3つあります。それぞれに特徴があるため、皮膚科医としての理想の働き方や収入などに合わせてセカンドキャリアを検討しましょう。
1. 開業する
勤務医としてある程度の経験と実績を積んだ後、独立開業するパターンです。前述の通り、勤務医よりも多くの収益が見込めるため、現在の収入や待遇に不満を持っている方は独立開業を目指すのも一つの方法です。個人病院なら自分の裁量で診療方針や働き方を決められるため、マイペースに働きたいという方にも適しています。
一方で医師が自分一人の場合、診断から治療まで全て対応しなければならないため、患者数が同じでも勤務医のときより負担が大きくなる可能性があります。また、診断や治療が中心となる勤務医に比べ、開業医は病院の経営やマネジメントなども行わなければなりません。
働く時間や日数はある程度自由に決められますが、経営や事務仕事などで残業や休日業務が増える可能性もあるため注意しましょう。
2. 他科に変更する
皮膚科医として培ってきた知識や技術、経験を活かし、他の診療科に変更するという方法もあります。例えば美容皮膚科への変更を検討するなどです。
美容皮膚科はほとんどの場合健康保険が適用されない自由診療である分、自分の裁量で費用を決められます。また美容皮膚科を訪れる患者の多くは審美目的であるため、診断・施術ともに緊急性は低く、時間外労働やオンコール対応の負担も軽減できるでしょう。
美容外科の患者は年代の幅が広く、需要も高い傾向があるため、勤務医としてある程度の経験を積んだ皮膚科医なら好待遇で迎えられる可能性があります。
3. 勤務先を変更する
診療科を変えず、皮膚科医として勤務先のみを変更するケースもあります。現在の職場での収入や働き方に不満がある方は、より自分の理想に適した職場を探し、転職するパターンが多く見受けられます。収入面の問題だけでなく、もっと症例経験を積みたい、臨床に立ち会いたいなどスキルアップを期待して転職を検討する場合もあります。
皮膚科医が転職する際に押さえておきたいポイント
セカンドキャリアとして皮膚科医が転職を考える際に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
1. 譲れない条件を明確にする
もっと収入を増やしたい、ワークライフバランスを保ちたいなど転職する理由は人それぞれです。「今の職場に不満があるから、とりあえず新しい職場に変えてみる」など曖昧な理由で転職先を検討すると、問題が改善されないことがあります。まずは自分にとって譲れない条件を明確にし、その条件を満たす求人を選定するところからスタートしましょう。
2. 自分の適性やスキルを把握する
皮膚科医に求められる適性やスキルは、転職先によって異なります。特に診療科の変更を考えている場合、必要な適性やスキルが大幅に変わることもあります。自分の持つ知識や経験、スキルにどのくらいの需要があるのか、転職先でそれらが通用するのかなどを事前によくリサーチしておきましょう。
3.働き方を見直してみるのも一つの方法
皮膚科医としての働き方はさまざまで、1カ所のみに常勤する人もいれば、複数の勤務先を掛け持ちしている方もいます。これまで常勤で働いていた方も、自分のニーズに応じて定期非常勤の求人を探したり、スポット求人を検索したりと、他の働き方を模索してみると、自分に合ったワークスタイルを発見するきっかけになる可能性があります。
皮膚科医の年収に不満があるなら転職も考えてみよう
皮膚科医の平均年収は約1,078万円と、他の主な診療科の中ではやや低いです。その分時間外労働やオンコール対応が少なく、ワークライフバランスが取りやすいという利点はありますが、収入の少なさから勤務先を3カ所、4カ所と掛け持ちしている方も少なくありません。
職場に求めるニーズは人それぞれですが、皮膚科医の場合、診療科や職場を変えたり、開業したりなど働き方の選択肢は複数存在します。今の働き方や収入に不満がある場合は、アルバイトや転職を考えてみるのも一つの方法です。
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