日本医師会女性医師支援センターの調査によると、女性医師の育児休業取得率は約59%でした。一方、厚生労働省が平成30年度に調査した女性の育児休業取得者割合は82.2%で、世間と23.2%もの差がありました。
また、女性医師が育児休業を取得しない理由について、「代理の医師がいない」「職場に取得しづらい雰囲気がある」という内容が最も多く挙げられました。
更に「制度が病院内に用意されていない」との回答も多くあり、制度そのものの周知や理解がないことで苦しむ医師がいることもわかりました。
育児休業を取得できない場合どうすればいいのでしょうか。
1991年に育児介護休業法が制定されたため、基本的には育児休業が労働者の権利として認められています。ですので、育児休業を申告された会社はそれを断ることができません。
しかし、諸条件が揃った場合は育児休業を取得できない可能性がありますので必ず確認が必要です。
≪育児休業を取得できない条件≫
①入社後の就労期間が1年未満
②申し出から1年以内に雇用関係が終了する労働者
③週の所定労働日数が2日以下
これらが起こりうるのは非正規雇用の場合です。
医局人事で派遣された場合でも、派遣先の雇用形態が非常勤であればこれに引っかかる可能性がありますので、十分な注意が必要です。
では、条件に引っかかっていないのに育児休業を取得できない時はどうすればいいのでしょうか。
その場合は「労働基準法の65条2項」に抵触している旨を伝えましょう。また、取得を請求する申込書を内容証明郵便で郵送しておくことで、万が一裁判になっても証拠として裁判所に提出することができますし、相手への牽制としても有効です。
それでも認めてくれないのであれば労働基準監督署に申告し、労働基準法違反であることを伝えましょう。労働基準法第104条では労働者に是正申告の権利を認めています。
育児休業を法的に申請できたとしても、できれば荒波を立てたくないという人がほとんどだと思います。それに、職場内での理解は進んでいても、「休まれると職場が回らない」と言われてしまえばどうしようもありません。
しかし、育児休業に限ったことではなく、家庭と仕事を両立できる環境が整っていなければいつかは無理が生じてしまいます。
だとすれば、労働環境そのものを変えてしまうのが最も建設的な方法ではないでしょうか。そして、それを実現する一番簡単な方法が転職です。自分に合った制度を設けている職場に乗り換えましょう。
では、一体どのような職場が狙い目なのでしょうか。
まず、職場のトップが育児もとい家庭に対してどのように考えているかは、制度に直結する重要事項です。そのため、「子供持ちの女性が教授である病院」は女性医師に対する理解や制度が及んでいる可能性が高くなります。
次に、「子供持ちの女性医師が多く所属する病院」も、家庭と両立できているという点で環境が整っている職場と考えていいでしょう。
また、医師の支援を熱心に行っている病院もおすすめですが、その周辺地域の病院にも狙い目です。
支援を行っている病院は医師同士で業務をカバーし合うため人手を厚めに確保しています。その分患者のニーズに対応できることから人気の病院となるため、結果的に周辺の病院も負けないために同じ策を取る必要があるからです。
いかがでしたでしょうか。
女性医師は出産・育児を機に退職へ追いやられてしまうケースが目立ちますが、その後のキャリアのため、自身の未来のため職場環境を考えることはとても大切なことだと思います。
MRTでは医師の転職先のご紹介・お手伝いをさせていただきますので、お力になれることがありましたら是非ご活用ください。