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医師の働き方改革と医師としての成長の両立

更新日: 2025/04/02
医師の働き方改革と医師としての成長の両立
2024年4月から「医師の働き方改革」の新制度が施行されました。カンファレンスの短縮や他職種とのタスクシェアなど本質的な改革が進む一方で、医師としての成長や将来のキャリアに不安を感じる方も多いかと思います。また「そもそも根本的な働き方が改善していない」と嘆く声もあるでしょう。確かに、組織全体の改革には決定権を持つ管理職などの協力が不可欠で、個々の医師だけではすぐに変えにくい面があります。本記事では、そのような状況でも若手や中堅の医師が明日からでも実践できる具体策を中心に、10年目の大学病院勤務の呼吸器外科医が「働き方改革と医師としての成長の両立」について話します。
高宮新之介(呼吸器外科医)
不安と痛みの生理学に関する研究で学位を取得後、肺がん術後のQOL向上に取り組む大学病院勤務医。Dr.あらたとして「外科医の育児休業取得」など家庭と仕事の両立をリアルに発信している。「well-being な状態にあらたな一歩を踏み出せた」と出会った人に言ってもらうことがミッション。

量より質の時代へ

「医師の働き方改革」を受け、当院でも各科当直は廃止され当直は月2〜3回から1回に減りました。土日は当番制で月に1週の出勤で済むようになっています。当直明けに眠い目を擦って手術を見学し、土日も病棟に張りついて指導を受けるといった「旧来の修行スタイル」は受け入れられなくなってきていると言えるでしょう。法的にも「自己研鑽だから残る」とは言いにくく、病院から帰宅を促されるケースも増えています。

こういった量に制限がかかる状況では「経験不足で医師としての成長できないのでは」という不安は切実でしょう。結婚・育児・介護などライフイベントが重なれば、なおさら時間は限られます。私自身も週3回の手術日は19時頃まで勤務しますが、それ以外は定時帰宅で子どもとお風呂に入るのを目標としています。このように、「医師の働き方改革」による制限がある現代は、今まで以上に「質」を高めることが重要な時代といえます。

 

質の前に自分の中にコンパスを

質を高める方法には多くの選択肢がありますが、実はまず自分のキャリアにとって何が大切かを見極めることが重要です。医師は元々優秀な方が多いため、あらゆる分野で完璧を目指してしまい、結果的にバーンアウトしてしまうケースが珍しくありません。今の時代では、SNSで自分とは違う働き方と比較して自信をなくす人も多いのではないでしょうか。ハイボリュームセンターでバリバリ症例をこなし研究にもコミットする姿を見て焦る人もいるでしょう。逆に忙しく働き疲弊している場合には、ホワイトな職場で高給の同級生が羨ましく思えるかもしれません。

キャリアの軸がないと、いつまでも隣の芝が青く見えて悩みはつきないものです。だからこそ、自分にとってのゴールを決めることが何より大切なのです。
ゴールを設定しそこから逆算すれば、優先順位に従って進むことができ、少ない時間でも成長を実感できるようになるのではないでしょうか。

 

自分のキャリアのゴールを決める方法

では、価値観や得意不得意を見つめ直し、ゴールを明確にする方法を紹介します。ぜひ少し時間をとって考えてみてください。

その方法とは、将来退職する時に「どんな人だった」と記憶されたいかを想像することです。大切な同僚や後輩スタッフからの退職時にもらう寄せ書き、または尊敬する恩師の言葉を思い浮かべてください。あるいは患者さんからの言葉や手紙でもよいでしょう。退職時にどのような影響を周りに与え、どのような功績を残していたら理想的でしょうか。地位や専門医の資格など社会的に評価されることだけがゴールとは限りません。言ってもらえて嬉しい言葉にはその人の大切にしている価値観が自然と現れます。左脳のみでなく感情を込めて右脳も働かせることで深く納得できるコンパスを自分の中に持つことができます。

「◯◯の分野の医学を発展させた第一人者として尊敬しています」
「いつも患者さん想いで丁寧でした」
「後輩指導に熱心で職場の雰囲気をよくしてくれましたね」
「相談するといつも頼りになってカッコよかったです」

人によって目指すゴールは多種多様です。医師のキャリアは多岐にわたりますし、研究や学会での活躍だけがゴールではない方も当然いるでしょう。他人の活躍を見ると自分の成長に自信をなくすこともあるかと思いますが、方向が間違っていなければ日々の積み重ねが確実に成長につながると思います。

忙しいと考える余裕がないかと思いますが、少し静かな空白の時間を意識して作り、実際に書き出してみてください。紙とペンで書き見えるところに貼っておくのがオススメですが、何度も修正できる携帯のメモも便利です。一度決めたら変えてはいけないと思うと重荷になってしまうため、気軽な気持ちで書き始めるのがコツです。
様々な出会いの中で少しずつブラッシュアップされていくものであるため、まずは騙されたと思って仮にでも書いてみることが大きな一歩になります。

 

5年後、10年後の目標を探す

ゴールが定まったら、具体的な目標を立てていきます。5年後、10年後に「具体的に何ができるようになりたいか」を考えてみましょう。たとえば、「◯◯の雑誌に論文を載せる」「◯◯手術を◯時間以内にできるようになる」「外来診療を1人で自信持って回せるようになる」など、自分のゴールに向かって優先順位を決めながら目標を立てるとよいです。さらに実際にその目標を達成している先輩や同僚に相談できれば、具体的なイメージがつきやすくなるでしょう。しかし、医局や身近に目指すキャリアと近い人がいないこともあるかと思います。そんな時は勇気を出して外部と交流することが大事です。

また、先程のコンパスを見定めるワークでなかなか書き出せなかった人こそ、まずは色々なキャリアをみてみることが大切です。
比較検討する過程で自分の価値観に気づくこともあるからです。

 

外部交流のススメ

知らない人に声をかけるのは簡単ではないと思います。私も専攻医の時は恥をかくのが怖かったため、学会で質問をしたことなどありませんでした。しかし、SNSでやりとりしていた別の大学の医師から学会の際に交流会に誘っていただく機会があり、それが外部交流の大きな転機となりました。他施設のさまざまな立場の先生方と交流するなかで、「意外にみんな悩みを抱えながら進んでいるんだな」と気づき自信がついたのです。

そこから学会では、自分が専門としたい分野の発表で積極的に質問し、名刺交換するようになりました。その時のご縁で継続的に情報交換やご指導を受けるようになったのは最近の大きな変化です。まずはポスター発表後など小規模なところから始めていくとよいでしょう。自分が興味を持って研究したことに対して質問されるのは内心嬉しいものです。

手術技術の成長においても外部との交流は有効でした。定型的な手術はある程度できるようになり、次の目標がわからなくなった時期のことです。がんセンターなどのハイボリュームセンターへの研修も考えましたが、ちょうど2人目の子どもが産まれたタイミングでもあり、器用なタイプではないため、家庭と外部研修を両立させる自信がなく断念しました。そんな時に外部の医師から教えてもらったのが、若手外科医向けのスキルアップセミナー。がんセンターなど第一線で活躍している先生方に直接手術ビデオを見てもらい指導を受ける半年のコースでした。周りに受講した人がいなかったため不安でしたが、勇気を出して応募したところ、ウェットラボで実際の手技やトラブルシューティングを指導いただいたり、徹底的に理論を教えていただいたりと貴重な経験となりました。また、日々の仕事のモチベーションも上がるきっかけにもなりました。

今の研修に不安や焦りがある方は思い切って新しい交流をはじめるよい機会です。はじめからうまくいくのは難しいですが、誰に相談すればいいかわからないときほど「まず行動してみること」が道を切り拓く鍵ではないでしょうか。

 

効率化の具体的事例

目標は決まったものの、日々に忙殺されてなかなか効率的に仕事が終わらない私のような方もいるかもしれません。ここでは、私自身や周囲の医師が実践してうまくいった効率化の工夫を3つご紹介します。

1. 定期的に効率化を行う

慣れてしまって疑問に思わないことの中に効率化できる部分が隠れています。そのため私は1週間に1回は効率化の振り返りを15分行うようにしています。
忙しいと後回しにして忘れてしまうため、外勤日の移動の際にGoogleカレンダーにアラートしてもらい、電車内で振り返りすることをルーチンにしています。例えば、「毎回同じ説明をしている業務はないか?」と探します。

【例】
学生、研修医、専攻医に毎回同じ説明をしている場合は、Googleドキュメントでマニュアル化し、それを配布してから要点のみ説明します。そして、質問を受けるたびに少しずつ更新していきます。これにより、効率化できた時間を自身の学習やより具体的な指導にあてることができます。胸腔ドレーン挿入などの手技も、医局で作成した解説動画をまず視聴してもらい、手順を自身で説明できるようにしてから担当してもらうようにしています。他科ですと内視鏡の説明動画を患者さん自身で視聴してもらったり、がんセンターの手術説明のYoutubeを視聴してもらい、その相違点を説明しながら進めるところもあるそうです。

2. 専門性を生かした副業

「医師の働き方改革」で勤務時間が管理されるようになり当直やバイトに行きにくくなって収入が1割減ったという後輩もいました。自身のペースでできる副業は働き方改革の時代にさらに重要性を増しています。当直を行いながらの兼業も認められていれば効率的です。具体的にはまずライティングや記事の監修が取り組みやすいと思います。人によってはインタビュー案件や、メディカルイラスト、リサーチ、コンサル、情報発信をしている場合もあります。コミュニティやブログ、書籍から実際のやり方を学ぶのがオススメです。健診のアルバイトから自己成長するのは難しいですが、専門性を活かしたライティングであれば文献検索などを行う中で自己成長との両立も可能かもしれません。

3. 隙間時間の有効活用

最後は隙間時間を活用した強者のご紹介です。その方は論文執筆を家族でショッピングモールに行った時のトイレ待ち時間などに進めているとか。なかなか真似できるものではないですが、隙間でできる「単純作業」としっかりデスクで取り組む「知的作業」を分けてストックしているとおっしゃっていたのは参考になります。単純作業は「Materials and Methodを書く」「Resultを書く」「文献検索したものを読む」といったものです。確かにちょっとネットサーフィンする感覚で論文を印刷したものやKindle、PDFで読むようになり効率が上がった実感はあります。

 

大きな成長も小さな一歩から

「医師の働き方改革」で研修が制限される中で質を高める工夫についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。偉そうに色々と書きましたが、私も試行錯誤の最中で両立がうまくいかないことも多いです。工夫してきたことの内、1つでも皆さんの役に立ちましたら幸いです。

「もっとこうしておけば……」と後悔するときもあるかもしれませんが、誰にとっても今日が人生で一番若い日。今この瞬間から、小さな一歩を踏み出すことで大きな成長につながるはずです。

最後まで読んでくださった方が、あらたな一歩を踏み出せることを心から応援しています。

高宮新之介(呼吸器外科医)
不安と痛みの生理学に関する研究で学位を取得後、肺がん術後のQOL向上に取り組む大学病院勤務医。Dr.あらたとして「外科医の育児休業取得」など家庭と仕事の両立をリアルに発信している。「well-beingな状態にあらたな一歩を踏み出せた」と出会った人に言ってもらうことがミッション。

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