さまざまな職業の中でも比較的年収が高い医師ですが「医師には退職金がない」と聞いて、将来に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。退職する年齢がまだまだ先だとしても、早めに将来のライフプランを考えておくことは重要です。
そこで本記事では、医師の退職金についてまとめました。「医師に退職金がない」という噂がある理由や、医師が退職金をもらえるケースともらえないケース、退職金の算出方法、退職金をもらえない場合の対処法も解説します。この記事を参考に将来に備えてしっかり考えておきましょう。
医学生や研修医、医師になりたての場合、「医師に退職金がない」という話を耳にしたことがある方もいるでしょう。医師に退職金がないと言われるのは、医師の働く現場や働き方によって退職金の有無が変わってくるからです。
また、一般的に退職金は勤続年数に比例して高くなります。転職を繰り返せば退職金が減ってしまいますが、医局に所属する場合、異動のたびに勤続年数がリセットされるため勤続年数が短くなることが多いです。
厚生労働省が発表した令和3年賃金構造基本統計調査(※)によると、施設の規模にもよりますが医師の平均勤続年数は6.2〜15年程度で、それほど長いとは言えません。そのため実質退職金があるケースでも、思っていた程の額がもらえず、「退職金がない」と言われることも多いようです。
自分が目指す医師としてのキャリアを踏まえ、退職金がもらえるかどうかや、もらえる場合はどの程度もらえるのかを把握し、早めに将来への備えをしておく必要があります。
退職金とは、雇用主が退職する従業員に対し、退職時に支払うお金のことです。支給される条件や支給額の算出方法などは、雇用契約書や就業規則に記載されています。一般的に定年退職・自己都合退職・会社都合退職を対象として支払われることが多く、懲戒解雇の場合は支払われません。
退職金制度は医療関係以外でも多くの企業が設けている制度ですが、法的な規制はなく、あくまで企業が任意で設定するものです。医療施設の場合も同様で、必ず退職金制度が設けられている訳ではありません。支給条件も施設によって異なります。
同じ医師という職業でも、どのようなキャリアに進むかによって、退職金がもらえるかもらえないかが変わってきます。もらえるケース・もらえないケースを詳しく見ていきましょう。
退職金制度がある施設で勤務している場合は、条件を満たせば退職金が支給されます。いくら制度がある場合でも、条件を満たしていなければ退職金は支給されないので注意しておきましょう。
大学病院や公立病院の多くは、退職金制度が設けられていることが多く、長く働き続ければある程度の退職金が見込めます。大学病院や公立病院以外でも、制度があれば退職金支給の対象になります。医局に所属して斡旋された関連病院で働く場合も退職金がもらえる可能性が高いです。しかし異動のたびに勤続年数がリセットされるため、退職金の額が少なくなってしまうことは理解しておきましょう。
先述したとおり、退職金制度には法的規制がありません。「大学病院だから退職金はあるだろう」と確認せずにいると、実際はなかったという可能性もあります。勤務する施設の制度内容を確認しておくことが大切です。
フリーの医師として医療機関と直接雇用契約を結び、契約内容に退職金に関する内容が盛り込まれている場合も退職金がもらえます。契約時に内容をしっかり確認し、場合によっては交渉する必要もあるでしょう。
勤務する施設に退職金制度がない場合は退職金がありません。先述したとおり退職金制度には法的規制がないため、制度を設けていないとしても問題はないのです。この場合、非常勤で働くフリーの医師も基本的には退職金は発生しません。雇用契約を結ぶ際に退職金に関する契約が盛り込まれているといった場合は、退職金がもらえる可能性もあります。
また退職金は雇用主から支払われるものであるため、個人開業医の場合も退職金はありません。個人開業医で他の医師やスタッフを雇う場合は、退職金制度を設けるか考える必要があります。
医師が退職金をもらえる場合、どのように算出するのでしょうか。先述のとおり、退職金制度は法律で決められているわけではないので、施設によって退職金の算出方法は異なります。一般的には1,000〜2,000万円程度と言われていますが、どのような働き方をしてきたかで退職金の額は変わってくるため、一概には言えません。
代表的な退職金の算出方法としては以下の方法があります。勤務している施設でどのような算出方法が採用されているか確認しましょう。
定額制は勤続年数に応じて、一定の退職金を支払うものです。勤続10年で50万円というように一律で決まっていて、基本給や業績などは反映されません。
基本給・勤続年数・退職理由に基づいて算出される方法です。勤続年数によって支給率、退職理由によって退職事由係数が決められており、それぞれの数値は勤務先によって違います。『基本給×支給率×退職事由係数』で退職金の額が決まります。
退職時の役職や等級によって決まる基礎金額と、勤続年数・退職理由に基づいて算出される方法です。『基礎金額×支給率×退職事由係数』で退職金の額が決まります。
勤続年数や施設への貢献度によって付与されるポイントと退職事由によって算出される方法です。『ポイント数×ポイント単価×退職事由係数』によって退職金の額が決まります。どのような貢献に対してポイントを付与するかやポイント単価は、施設によって異なります。
退職金制度がない施設で働いている場合や、開業医・フリーの医師の場合は、退職金がありません。そのため退職金がある医師よりも、将来に向けてどのように備えるかしっかり考えておく必要があります。
開業医やフリーの医師の場合は、個人事業主や会社などの役員を対象にした、全額所得控除が受けられる小規模企業共済に加入すれば自身の退職金代わりになるお金を積み立てられます。
近年話題に上ることが多い個人型確定拠出年金iDeCoや個人年金も検討しましょう。投資などで現在ある資産を運用するのも一つの方法です。資産運用を行う場合は、さまざまな運用方法から自分に合ったスタイルを見つけることが大切です
開業医で医療法人化を考えているのなら、退職金積立もできる保険への加入を検討するのもおすすめです。
今回ご紹介したように医師には退職金があるケースとないケースがあります。また、退職金があるケースに該当する場合でも、実際にあるかどうかは施設によって異なるため、現在勤務している施設に退職金制度があるか、またどのような支給条件になっているか調べておきましょう。
「退職金制度がある施設で働きたい」という方は、医師求人に特化したMRTで転職先を探してみてはいかがでしょうか。全国各地のさまざまな診療科の求人を扱っており、条件を指定して簡単に求人が検索できます。転職を考えている方はぜひご活用ください。
「お気に入り機能」「求人閲覧履歴」「地図検索」など、WEBよりも求人検索が簡単に!
ダウンロードはこちら
MRT公式LINEでは最新の医師バイト(スポット/定期非常勤)と常勤求人を配信中!
友だち追加はこちら