医師に専門医資格があれば多くの場合、転職で有利に働きます。特に総合病院や急性期病院など、即戦力が求められる医療機関で優遇される傾向です。なお、クリニックなどは専門性よりも経験が重視されやすいです。医師転職の専門医資格の役割を解説します。
専門医資格があれば経験だけでなくスキルや知識の証明にもなるため多くの場合、医師転職では有利に働きます。
本記事では、専門医資格が医師転職で有利になる理由と優遇されやすい医療機関、採用に影響のない医療機関、専門医資格以外に医師転職で重要なポイントを解説します。
医師転職する際に、専門医資格があれば大きなアピール材料となります。また、採用する病院側には、患者に対し医師の技術力を広告できる点や、若手医師の指導を任せられるなどのメリットがあるため、転職上有利に働くことが多くなります。
専門医資格を取得するためには経験を積むだけでなく、臨床研究の発表や認定試験への合格など多くの時間と費用を費やさなければいけません。
また、5年ごとの更新も必要なため、常に専門分野を学ぶ姿勢が求められます。(※)専門医資格は専門性の高い知識と経験の裏付けになるだけでなく、努力する姿勢も伝えられるため、転職時に自分の強みをアピールできる恰好の材料となります。
また、病院によっては専門医資格のある医師の給与を優遇する動きも見られます。給与アップにより、高いスキルのある医師に長く勤めてもらって高度な医療を安定して地域に提供したいためです。
上記のような取り組みを行なっていない病院でも役職に付くには専門医資格が必要なケースもあるため、就職後も有利に働きます。
専門医資格が転職で有利に働く理由は、専門医の採用による病院側のメリットが大きいことにもあります。
病院では医療法により認められた内容以外は広告に表示できないものの、専門医の資格名は広告しても問題ありません。(※)
専門医の在籍をアピールできれば、新患の獲得や患者の信頼に繋がる可能性があり、病院経営上のメリットが生まれます。
研修施設の認定を受けている病院は、専門医や指導医の在籍が必須条件です。そのため、これらの病院で専門医を採用し研修制度を充実させられれば、若手医師の獲得にも繋がります。
また、研修施設ではなくとも若手医師が多く在籍する病院では、専門医に指導を任せられる点もメリットです。
医師転職の中でも専門医資格が優遇される病院は、大規模病院や急性期病院が多くなります。ここからはそれぞれの医療機関の特徴を解説します。
総合病院や大学病院などは知識・経験・技術力が問われるため、専門医資格のある医師であれば、即戦力として優遇されやすいでしょう。
また、これらの病院では、クリニックと異なり診療科は細分化されています。医師それぞれに担当する業務が分かれているため、専門性の高さが重視されやすい環境です。
病院の中には、専門医資格の取得が可能な研修施設の認定を受けているところもあります。これらの病院の中でも今後の研修体制をさらに整えたい病院では、専門医資格のある医師を優先的に採用する傾向です。
また、現在は認定を受けていなくても、将来的に専門研修プログラム審査承認を希望する病院では専門医の在籍が不可欠なため、積極的に採用を進めるでしょう。
急性期病院とは、急性疾患や重症の患者の治療を24時間体制で行う病院のことです。特に急性期とは発症後14日以内が目安となるため、その間に医師や看護師は適切な医療を提供して患者の回復に努めます。
急性期病院では、専門性の高い高度な医療の提供を集中的に行うため、専門医資格は特に重要です。
専門医資格が有利に働く病院の共通点は、即戦力が求められる点です。なお、これらの病院で専門医資格が必須条件か否かは、募集要項により異なるため確認しましょう。
とはいえ、専門医資格の取得を前提として採用するケースが多く、資格がないと薄給激務のような不利な転職になる可能性もあります。
専門医資格は転職で有利になるものの、小規模なクリニックなどでは専門性よりも幅広い対応力が重視されやすいです。ここからは専門医資格に左右されない転職先を紹介します。
クリニックや診療所のような中・小規模病院は、地域に根ざした医療の提供が目的のため、診療科を問わない幅広い臨床経験が重要視されます。かかりつけ医で早期に病を発見できれば、すみやかに総合病院などに紹介できるため医師としての経験が特に重要です。
また、患者の体の不調や悩みなどにも医師が直接向き合って対応するため、人当たりの良さも大切です。
健診医の場合、人間ドック健診専門医の専門医資格があれば、転職時に優遇されやすいです。とはいえ、健診も病の早期発見が目的のため、専門性よりも幅広い知見や経験などが優遇されやすい傾向にあります。
老健や特養などの介護施設、長期に渡る介護が必要な患者に医療を提供する療養病院も、専門医資格よりも診療科にとらわれない経験や知識が優遇されます。
これらの病院では高齢の患者が多く、複数の基礎疾患を抱えていることも多いためです。また、入院患者のペースメーカー管理や人工肛門の管理など、全身管理も必要となるため特定の経験が必須となることもあります。
常勤医の仕事ではなく非常勤医師やフリーランス医への転職では、専門医資格が不要な求人も多いです。非常勤医師の場合、週に1度の勤務であったり複数の職場を掛け持ちしたりするため、適応能力の高さが求められます。
ここまで紹介した専門医資格ですが、2018年4月にスタートした新専門医制度により、取得方法が変更されている点に注意しましょう。(※)
従来の専門医資格は、各学会の独自審査を通過することで取得できていました。しかし、これでは専門医の質にバラつきが生じるため、新たに日本専門医機構などが作成した統一プログラムの修了により専門医資格を取得する流れとなっています。
また、研修医の地域格差是正のため大都市を中心に採用人数を制限する、地域枠を設けるなどの取り組みも進んでいます。
なお、新制度では専門医を基本領域専門医とサブスペシャルティ領域専門医の二階建て構造にしている点もポイントです。新制度のため制度の改正や微調整も多く、今後専門医資格の取得を目指す医師は制度内容の確認をしましょう。
医師であっても病院組織で働く以上、コミュニケーション能力やチームで働く能力は必要です。ここでは専門医資格以外に、医師転職で重要視されるポイントを解説します。
履歴書の記載や面接の際は、なぜその病院を選んだのかなどの転職理由を明確に記載しましょう。理由が明確でないと早期離職などを懸念され、採用に至らない可能性があります。キャリアプランや身に着けたいスキルなど、明確に答えられるように準備しましょう。
面接のときに退職理由を聞かれた際は、ポジティブに返答できるように準備しましょう。その際、前病院の給与や人間関係の不満などは述べてはいけません。
例えば激務で転職を希望する場合、患者さん一人ひとりと向き合い、丁寧な医療を提供したいなどに変換しましょう。
一部を除き病院も法人のため、組織経営の元に成り立っています。そのため、組織への貢献意欲がなく、自身の要望が強い医師は売り手市場であっても敬遠されてしまいます。
専門医資格があるにしろないにしろ、医師自身が病院にどのように貢献できるかも重要です。
医師転職ではスキルや経歴などを重視すると考えられるものの、実は面接では人柄が特に見られています。クリニックなどの小規模な病院では、地域の患者の評判が病院経営を左右するため、人当たりの良さやマナーなどは一通り確認されています。
特に第一印象で損をしないためにも、面接ではフォーマルな服装を選び、頭髪や爪、女性であればメイクなどは清潔感を意識しましょう。
医師転職で失敗しないためには、下準備が特に重要です。いつまでに転職をしたいのか、希望の条件や譲れないポイントはあるかなどを一通り洗い出しましょう。一般的に医師転職では採用から引継ぎまでに6カ月程度必要とされています。
上記は求人を探す時間は含まれていないため、条件によっては1年以上時間がかかる可能性もあります。
また、希望の条件で転職するためには情報収集が特に大切です。
求人情報だけではわからない内部の状況を知りたいのであれば、実際に病院を訪れたり面接時に確認したりするとよいでしょう。
求人情報サイトはすぐに応募しなくても求人情報の確認のみもできるため、早めに登録するのがおすすめです。
医師転職では多くの場合、専門医資格は有利に働きます。とはいえ、クリニックなどでは経験が重視されるケースもあります。病院により傾向が異なることからも、医師転職を成功させるためには情報収集が特に重要です。
医師専用の転職・アルバイト紹介システムMRTでは、常勤・定期非常勤・スポット求人など、希望にあった働き方を見つけられます。転職をお考えの医師は、ぜひMRTをご活用ください。
「お気に入り機能」「求人閲覧履歴」「地図検索」など、WEBよりも求人検索が簡単に!
ダウンロードはこちら
MRT公式LINEでは最新の医師バイト(スポット/定期非常勤)と常勤求人を配信中!
友だち追加はこちら