医師も他の一般職と同様、スキルアップや年収のアップを目的とした転職が可能ですが、転職を検討する際に意識するのが年齢でしょう。
一般職であれば、年齢が高くなるにつれ転職は難しいとされています。医師は何歳頃までに転職をするのがよいのでしょうか。
本記事では、医師が何歳までに転職すればいいのか、転職する際のポイントなどを解説します。
一般的に、転職は年齢を重ねるほど不利になるとされています。しかし、医師の転職はスキルや知識が備わっていれば、年齢に関係なく採用される傾向にあります。
そのため、何歳までに転職した方がいいなど、転職する際の年齢はあまり気にする必要がないでしょう。
医師は転職時に年齢の影響をさほど受けません。しかし、年齢によって重宝されやすい職場があるのをご存じでしょうか。
ここでは年齢別に転職先として重宝されやすい職場を紹介します。
30代の医師が重宝されやすいのは中小規模の病院やクリニックです。中小規模の病院やクリニックは採用後すぐに戦力となる医師を求める傾向にあります。30代であれば一定の臨床経験がある上に、体力も十分にあります。中でも30代は体力やフットワークの軽さが重宝されるでしょう。
病院の業務には夜勤も含まれます。夜勤にも耐えられる体力が30代医師の転職時のアピールポイントです。
40代・50代は大学病院や総合病院で重宝される傾向があります。大学病院や総合病院は、教育制度や設備、海外研修制度などが整備されているため、若手の医師が集まるというのが特徴です。
そのため、40代さらには50代といったスキルや経験が豊富にあるベテランの医師は若手医師の指導者として重宝されるでしょう。大学病院に勤務する医師は、大学卒業から医局に所属している医師で構成されています。
しかし、経験豊富な医師を外部から招き入れるケースもあるため、医局に所属していなくても大学病院への転職は可能です。
40代、50代の医師のなかでも、大学病院や総合病院で重宝されやすいのが指導医の資格を持っている医師です。指導医は7年以上の臨床経験があり、指導医養成講習会を受けていることが条件です。(※)指導医は研修医を指導する立場にあるため、研修医が多い大学病院や総合病院などにアピールしやすくなります。
40代、50代の医師であっても中小規模の病院やクリニックへの転職も可能です。上述のように指導医の資格を持っていれば、研修医を指導する立場として優遇されるかもしれません。
また、将来的にも無理なく働くためにクリニックに転職するという選択もあります。
例えば、50代前半までは総合病院などで勤務して、50代後半から60代以降は一般クリニックや健診施設など、体力に負担がかからない働き方を選ぶことも可能です。
医師の転職先は中小規模の病院やクリニック、大学病院、総合病院だけではありません。産業医に転職するという方法もあります。
産業医には嘱託と専属という2つの働き方に分かれます。それぞれのメリットは次のとおりです。
働き方 | メリット |
嘱託 | ● 時間を調整しやすい ● 臨床業務との兼務可能 ● 産業医として独立可能 |
専属 | ● 残業が少ない傾向にある ● 休日出勤は少ない傾向にある |
産業医のうち嘱託であれば、時間を調整しやすくその後、産業医として独立も可能です。
一方、一つの事務所に専属で勤務する場合は残業、休日出勤が少ない傾向にあります。そのため、ワークライフバランスの充実を図るのに適しています。
医師は年齢に応じた職場に転職するのがおすすめです。また、診療科によってはベテランと言われる年齢になる前に転職した方がいいケースもあります。
例えば、外科や脳神経外科は平均労働時間が長い傾向にあるため、ベテランになると体力的な負担が大きくなる可能性があります。(※)
外科や脳神経外科に勤務していて転職を検討する場合は、体力面で比較的余裕がある若いうちに転職活動をするのがおすすめです。
医師が転職をする際は、年齢以外にも転職目的を明確にしておくことが大切です。転職の目的が明確でないと、転職先とのミスマッチにつながります。
医師が転職をする目的の代表的なものとして以下が挙げられます。
ここでは代表的な転職目的とそれに応じたおすすめの職場やポイントを解説します。
妊娠や出産、育児によって転職を決意する医師もいるでしょう。妊娠や出産、育児によって長時間の勤務が難しくなってしまいます。そのため、妊娠や出産・育児をきっかけに転職を検討する場合は、時短勤務が可能な職場や当直や残業が少ない医療機関を検討してみましょう。
中には託児所が設置された医療機関もあり、このような医療機関であれば子どもを預けて働くことが可能です。
厚生労働省が発表した「第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)」によると、勤務医(勤務医とは、病院やクリニックなどの医療施設に雇用されて働いている医師)の平均年収は、約1,470万円でした。
年収を高くするための転職は、医師に限らず一般職でもあり得るケースです。年収アップを目的とした転職の場合、転職先として給与が高い職場を選ぶ人が多いでしょう。
しかし、給与が高いからという理由で転職しても、医療機関によっては内情が異なるため、人間関係をはじめとして給与以外の部分でミスマッチが発生してしまう可能性もあります。例えば、職場のコミュニケーションがうまくいっていないために連携が取れない・職場の風土に馴染めないといった給与以外のミスマッチが考えられます。そういったミスマッチを防ぐためには、転職先の情報を把握しておくことが大切です。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によれば、企業規模計10人以上の病院やクリニックなどに勤務する医師の平均年収(ボーナスなど含む)は、次のとおり年齢で異なります。
年齢層 | 男女合計 | 男性 | 女性 |
25歳~29歳 | 約654.7万円 | 約697.1万円 | 約581.5万円 |
30歳~34歳 | 約939.2万円 | 約1,007.2万円 | 約781.6万 |
35歳~39歳 | 約1259.4万円 | 約1297.3万円 | 約1136.6万円 |
40歳~44歳 | 約1478.1万円 | 約1521万円 | 約1307.5万円 |
45歳~49歳 | 約1655.7万円 | 約1738.8万円 | 約1342万円 |
50歳~54歳 | 約1908.6万円 | 約1927.1万円 | 約1829.6万円 |
55歳~59歳 | 約1701.2万円 | 約1760.2万円 | 約1400.9万円 |
60歳~64歳 | 約1833万円 | 約1861.3万円 | 約1381万円 |
65歳~69歳 | 約1783.4万円 | 約1812.9万円 | 約1585万円 |
70歳~ | 約1607.2万円 | 約1672.1万円 | 約786.5万 |
転職をする際は、自身の年齢に応じて平均年収がどれくらいになるのかを参考にしてみましょう。
医師の平均年収は年齢以外にも経営形態によっても異なります。中央社会保険医療協議会「第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)」では、次のとおり医療法人の平均年収が最も高くなっています。(※)
経営形態 | 平均年収 |
国立 | 1323.9万円 |
公立 | 1472.6万円 |
公的 | 1384.1万円 |
社会保険関係団体 | 1427.6万円 |
医療法人 | 1506.2万円 |
年収を高めることが目的の転職であれば、勤務地以外に経営形態にも着目しましょう。
医師の転職では、一般職と同様にキャリアアップを目的とする場合もあります。キャリアアップを目的に転職するのであれば、指導医が在籍している病院や設備が整っている病院に転職するのがおすすめです。
例えば、大学病院や国公立の病院、地域の基幹病院などが候補として挙げられます。
スタッフとのトラブルをはじめ、職場での人間関係が原因で転職するケースもあります。人間関係が原因で転職する場合、転職先で同じようなことが起きないよう、転職先の情報を把握しておきましょう。
医師としてのコネクションを活用して情報を把握する以外にも、転職エージェントに確認するといった方法もあります。
医師が転職活動を行う際は、情報収集から採用・勤務開始までのスケジュールを立てましょう。スケジュールは、勤務を開始する日から逆算して立てていくことがおすすめです。
採用まで1年ほどと仮定すると、勤務開始予定日の1年前から転職先の情報を収集していきましょう。採用の半年前には応募、面接・病院見学を完了させておきます。
病院見学時は次のような点を確認しておきましょう。
病院見学時は同僚となる他の医師と会話できるケースもあります。他の医師と会話できる機会があれば、職場の状況について質問するのがおすすめです。
医師が転職をする際、何歳で転職するにしても次の3つには気をつけましょう。
特に若手医師であれば、先輩に紹介してもらった転職先を断るのは難しいかもしれません。しかし、自分の希望に沿っていない場合は断ることも大切です。
医師の転職活動の具体的な方法として、知人や先輩からの紹介があります。このような方法で転職活動をしていると、知人の紹介という安心はある一方、自身の希望と異なった場合に選考を辞退しづらくなる場合もあります。
例えば、当初聞いていた話と面接での話が異なった場合、選考を断るのに抵抗を感じる可能性があるでしょう。
断れず入職したとしても、希望と違う職場は働いてもモチベーションを上げるのが難しく、結果的に転職先にも迷惑をかけることになりかねません。そのため、知人や先輩の紹介であっても、希望と異なる場合は断ることを心掛けましょう。
一般的に転職時には雇用契約書を交わしますが、医局人事による転職の一部では書面を交わさないケースもあるようです。書面を交わさないと勤務時間や勤務内容、残業があるかどうか、インセンティブの発生などの大事な条件が口約束で交わされることになります。
その結果、言った言わないの水掛け論のトラブルに発展してしまう恐れもあります。このようなトラブルを避けるために転職時は必ず雇用契約書を交わすようにしましょう。
病院やクリニックであっても、万が一、経営状態が悪化してしまうと給与が下がってしまう可能性があります。
そのため、もしもの際に備えて事前に転職先の経営状態を把握しておきましょう。
転職先の経営状態を把握するには、何度か病院見学をするのがおすすめです。また、転職エージェントを使用するのであれば、担当者に確認するという方法もあります。
一般の職業では、年齢を重ねるほど転職しづらいといわれています。
しかし医師の場合は、転職で年齢が足かせになることはさほどありません。医師が転職活動をする際は、何歳までに転職をしないと採用されにくいということはなく、年齢に応じた職場を選ぶのがよいでしょう。
例えば、30代であれば中小規模の病院やクリニック、40代、50代であれば大学病院や総合病院が重宝されやすい傾向があります。特に40代、50代の医師で指導医資格を有しているのであれば、大学病院や総合病院以外に中小規模の病院でも重宝されるでしょう。
また、医師が転職をする際は目的を明確にすることが大切です。キャリアアップや年収UPなど、自分が転職する目的を明確にしておきましょう。目的が明確になったらスケジュールを立てて、それに沿って転職活動を進めていきます。転職活動を進める際は勤務条件を書面で交わす、経営状態を事前に把握しておくといったことに注意が必要です。
MRTは医師の常勤/非常勤求人を多数掲載しています。年齢やキャリアに応じて多種多様な求人情報を取り扱っているため、転職活動を進めている若手、ベテラン問わず利用可能です。
「お気に入り機能」「求人閲覧履歴」「地図検索」など、WEBよりも求人検索が簡単に!
ダウンロードはこちら
MRT公式LINEでは最新の医師バイト(スポット/定期非常勤)と常勤求人を配信中!
友だち追加はこちら