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【座談会】これからの医師に求められることとは? ―中堅医師3名が考える未来 (前編)―

更新日: 2025/12/08
【座談会】これからの医師に求められることとは? ―中堅医師3名が考える未来 (前編)―
医師偏在、働き方改革、AI・ICTの発展、少子高齢化―現代の医療を取り巻く環境は大きく変化しています。このような時代において、医師にはどのような役割やスキルが求められるのでしょうか。今回、三者三様のキャリアを歩む中堅医師3名が、これからの医師のあり方について率直に語り合いました。前編では、医師の働き方の変化と医師が直面する壁にフォーカスしてお届けします。
◆座談会参加医師の紹介◆
コウ:7年目医師 /産婦人科

昨年、産婦人科専門医を取得。現在は某地方大学大学院生1年目として研究にも従事。地方医局の一員として地域の野戦病院等で臨床経験を積んできた。
チラ:11年目医師/呼吸器内科
最後の旧内科専門医世代として、内科認定医、総合内科専門医、呼吸器専門医を取得。地域での勤務経験を経て、現在は関東の急性期総合病院で勤務。医局を離れ、副業として医療記事監修や医療訴訟の意見書作成なども手がける。
まるた:10年目医師/整形外科
大学病院で初期研修後、整形外科に入局し、最短コースで専門医を取得。今年4月に医局を退局し、クリニックへ転職。現在は雇われ院長として診療にあたりながら、嘱託産業医としても活動中。

10年で変わった医師の役割

——まず、約10年間の医師キャリアをお持ちのお二人に質問です。医師になってから今までの医師を取り巻く環境はどのように変化しましたか?

チラ:この10年間で、医師という職種の役割は確実に変化してきていると感じます。かつては医師の業務の多くが「医師にしかできない仕事」でした。診療や処置、病棟管理に加えて、膨大な書類業務や事務作業も含まれていました。それゆえに過重労働が度々問題視されてきました。

しかし、電子カルテの進化、診療支援ツールの発展、医療クラークや特定看護師をはじめとするコメディカルの活躍により、医師の業務負担は軽減されつつあります。「医師でなければならない仕事」と「他職種に任せられる仕事」の線引きが行われ、タスクシフトが進む時代になってきているんです。

まるた:その通りですね!私はそれに加えて「責任のあり方」が変化していると感じています。かつては主治医制が中心で、一人の医師が担当患者の全責任を担うことが多かった。私自身も「医師は常に最後の砦」という意識を徹底的に叩き込まれ、育てられました。

医局人事により地方の関連病院を転々とするなかで、主治医制とチーム制の両方を経験しました。主治医制では「最後まで自分が診る」という責任感が自然と高まります。一方でチーム制では役割分担がはっきりしている分、安心感はあるが若手が主体的に患者への責任を意識しづらい面もあると感じます。主治医制から担当医制に移行する流れが強まるなかで医師にとって「責任のあり方」が薄れる側面もあり、善し悪しがあると感じています。

働き方改革による環境の変化と経営意識

——働き方改革はどのような変化をもたらしましたか?

コウ:働き方改革の影響も大きいですね。

チラ:そうですね。私自身の経験にとっても働き方改革の導入は大きな環境変化でした。うまく進んでいる病院であれば、医師が本来の専門性を発揮すべき箇所に時間をかけられるようになっていると思います。電子カルテの進化や診療支援ツール、医療クラークなどが整っている病院で働いたときは、確かに診療に集中できる環境だと実感しました。しかし、これらの仕組みを維持するにはシステムのコストや人件費がかかるため、経営が厳しい病院では導入や継続が難しいという現実もあります。

まるた:私はさらに、「経営に対する意識」を感じます。この10年で経営を意識する医師が増えてきました。診療報酬の改定や医療費抑制で病院経営が厳しくなるなか、自分の診療が病院の収益にどう影響するかを考える機会や議論が確実に増えています。

今後は「診療の質を高める」ことに加えて、「医療を持続可能にするために経営を考える」ことが、医師に求められる姿勢になっていくと思います。

コウ:確かに目の前の患者に対する臨床業務という枠組みを超えて病院経営や社会への役割にも目を向ける必要が生じたという変化はありそうです。

現代の医師が直面する3つの壁

——医師の役割が変化していくなかで、医師のキャリアを考えるにあたりどのような視点をもつとよいのでしょうか?

コウここまでの医師の役割の変化を踏まえて、これからの医師としてのキャリアを考えていくと「経営の視点」と「社会への役割」という観点を踏まえて、臨床業務を超えた視点をもつ必要があるように感じます。これからの医師のキャリアは旧来の医局人事を登っていくだけでなく、広く社会に関わる医師のあり方がありそうですね。

ただ、臨床医として日々忙殺される中で院外に目を向けるのは容易ではないと感じています。

——臨床医が臨床以外の場面でのキャリアを形成しようとする際に生じる壁というものはあるのでしょうか?

チラ:私は「医師のキャリアを自身で築くことの難しさ」を感じます。これが医師が抱える大きな壁になっていると思います。1つ目は「時間的な制約」です。将来を考えた際に、医局に居続けるのか抜けるか、訪問診療や開業か、企業勤めなど様々な選択肢が実際に広がっています。けれども、臨床業務が忙しいところでは診療やカンファレンス、当直やオンコールなどでほぼ終わってしまいます。自分のキャリアの方向性を落ち着いて考える時間、やりたいことを勉強する時間が確保できません。

特に専攻医の時期は、日々の診療をこなすことで精いっぱいになりがちです。働き方改革で多少は時間確保がしやすくなったかもしれませんが、今度は時間外労働に関する制約から、業務外の自己研鑽や研究の時間確保が難しい場合もあります。

まるた:時間外労働や日々の診療は診療能力を鍛える面ではプラスですが、将来のキャリアを考える時間が奪われるのは大きな壁ですよね。私自身も専攻医の頃は日々をこなすだけで精いっぱいでしたし、キャリアの方向性を考える余裕はなかったです。

チラ:2つ目は、「組織ならではの閉鎖性」です。医局や大きい病院の組織にいると、その中の人間関係でキャリアが固定化されやすく、外に目を向けたり知ったりする機会がなかなかありません。「一度組織に入った以上抜けにくいし、このままの自分でいるしかないかな」「まあ、こんなものか……」といったような発想になってしまいがちです。

一方で、医師のキャリアの自由度は確実に広がっています。SNSやオンラインコミュニティ、医療メディアなど、かつて病院や学会の外では得られなかった活動の場が増えています。どうやってその視点を持つ機会を得られるか、実行できるかはキャリア形成において大事だと思います。

まるた:3つ目に「お金の問題」もあると思っています。臨床医を選べば安定はしていますが、研究職を選ぶと給与が少なく、生活のためにバイトが必要になり、結果として研究に充てる時間が削られてしまう。つまり「お金の壁」が「時間の壁」にも直結していると感じます。

また診療科偏在の問題も、報酬と負担が見合っていないことが大きいと思います。例えば産科や救急、外科は激務にもかかわらず見合った給与ではないと思います。もし「負担の大きさや特殊な技術に応じた報酬」という仕組みが整えば、キャリア選択の偏りもある程度解消されるのではないでしょうか。

コウ:お金の壁は他人の財布事情が見えにくいことも一因としてありますよね。「医局を出たら生きていけないぞ」というのも、これらの壁を総合した言葉ですね。

——先生方のお話をまとめると、医師が病院外でのキャリアを築く、新しい医師のあり方を模索する上では「時間的制約」「組織の閉鎖性」「金銭的問題」の3つの壁がありそうです。

前編まとめ

前編では医師がおかれた環境の変化やそれによる影響、医師が直面する壁についてお届けしました。

この10年で、医療機関でのタスクシフトが進み、医師の業務負担は軽減されつつあります。主治医制からチーム制への転換が進み、医師の責任のあり方も変化しました。さらに働き方改革やDX化により、大病院では医師が診療に集中できる環境が整いつつあります。一方で、経営が厳しい病院では思うようにDX化が進みません。さらに、医師に経営意識も求められるようになりました。

そういったなかで、現在の医師は、時間的な制約、組織の閉鎖性、金銭的問題という3つの壁に直面しています。われわれはこの壁にどのように立ち向かえばよいのでしょうか。

後編は壁を突破するための具体的なアクションやリスキリング、これからの医師のあるべき姿に迫ります。

▼後編はこちら
【座談会】これからの医師に求められることとは? ―中堅医師3名が考える未来 (後編)―

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