循環器内科の年収の目安や働き方、セカンドキャリアについて解説します
目次
循環器内科は、血液やリンパ液などの体液を循環させる器官を専門とする診療科です。心臓や血管、リンパ管などの器官が専門で、心筋梗塞や狭心症といった重疾患だけでなく、不整脈や高血圧症、動脈硬化など生活習慣に起因する症状にも対応します。
多くの人にとって身近な診療科と言えますが、循環器内科医の年収は一体どのくらいなのでしょうか。本記事では、循環器内科医の年収の目安や働き方、セカンドキャリアについて解説します。
循環器内科の平均年収は約1,267万円
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が公開している「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、呼吸・消化器・循環器科に勤める医師の平均年収は12,672,000円です。(※)主たる担当診療科の中では脳神経外科、産科・婦人科、外科、麻酔科、整形外科に次いで平均年収は6位となっています。
13の科全体の平均年収は約1,267万円なので、医師の中ではほぼ平均の年収と言えるでしょう。年収別の割合は以下のとおりです。
年収 | 割合 |
300万円未満 | 2.6% |
300~500万円 | 3.3% |
500~700万円 | 6.6% |
700~1,000万円 | 10.9% |
1,000~1,500万円 | 39.8% |
1,500~2,000万円 | 29.6% |
2,000万円以上 | 7.2% |
年収1,000万円以上の割合だけで7割以上を占めていることから、多くの循環器内科医が年収1,000万円の大台に乗っていることが推測されます。
循環器内科医の平均月収86.9万円で、月収別の割合は以下のとおりです。
月収 | 割合 |
40万円未満 | 8.8% |
40~50万円未満 | 5.6% |
50~100万円未満 | 38.9% |
100~150万円未満 | 38.6% |
150万円以上 | 5.6% |
月収50万円以上の割合が全体の8割を超えており、50万円未満はわずか1割強に留まっています。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
循環器内科医の働き方
循環器内科医の働き方は、病院勤務の場合と診療所勤務の場合で異なります。ここでは、場所ごとの循環器内科医の働き方を紹介します。
病院勤務の場合
病院に勤務した場合に担当するのは、主に心臓病や血管の病気の診断・検査・治療です。例えば冠動脈疾患の場合、疾患を診断するためにまず心臓CTや心筋シンチグラムなどで確認を行い、さらに精密な検査が必要になった場合は心臓カテーテル検査を行います。
心臓カテーテル検査では、カテーテルを足の付け根や手首の動脈などから挿入し、冠動脈に引っ掛けて造影剤を投与後、撮影を行います。
検査の結果、冠動脈に狭窄や閉塞などが見られた場合は、バルーンを取り付けたカテーテルを当該血管に挿入し、血管を拡張する冠動脈インターベンションと呼ばれる治療の実施が必要です。また再狭窄を防ぐために、ステントと呼ばれる編み目状の金属筒を血管内に留め置く施術を行うこともあります。患部に石灰化が見られる場合は、特殊な機器を使って狭窄が起こっている部分を削り取る施術を実施するケースもあります。
急性心筋梗塞などの疾患への対応は一刻を争うため、循環器科の専門病院に勤めている場合、オンコール対応や時間外労働、日当直なども少なくありません。特に緊急治療や重傷者の管理を行う病院に勤務すると、循環器内科医として多忙な毎日を送ることになるでしょう。そのぶん仕事のやりがいも大きく、かつ多額の収入を期待できるところがメリットです。
なお同じ病院でも、緊急治療や重傷者管理に対応していない病院の場合は、オンコールや時間外労働、日当直に追われるリスクは少なく、比較的ゆとりのある環境で働くことも可能です。循環器内科医として病院勤務を検討する場合は、その施設で実施している治療内容や実績、扱う症例、病床数などをあらかじめ確認しておきましょう。
診療所勤務の場合
入院施設のない診療所で働く場合、日常生活で気になる症状がある方の診療や慢性心不全、弁膜症、ペースメーカーの埋め込みなどの術後のフォローを行うのが主な仕事です。動悸・息切れ、胸痛など日常生活で気になる症状に関しては、まず内科的な診察を行います。具体的には心雑音、肺雑音、心拍数、血圧、呼吸数、不整脈などを確認します。
診察の結果に応じて心電図や胸部X線撮影などを行い、期外収縮や心房細動などがないか、肺に陰影はないかどうかなどをチェックします。検査の結果、弁膜症や狭心症、心不全といった重疾患の可能性がある場合は、専門の医療機関を紹介しさらなる精密検査を推奨します。
心臓や肺に問題なしと診断された場合は血液検査を行い、赤血球数やヘモグロビン、各種ホルモンなどを調べて異常が見られないかどうか検査します。治療は主に薬剤療法となりますが、生活習慣などに起因している場合は生活を見直すアドバイスや指導を行うことも必要でしょう。
入院やカテーテル検査・治療などがないため、時間外対応や日当直も少なく、病院に比べるとワークライフバランスを取りやすいといえます。
なお一部診療所ではカテーテル検査やペースメーカーの埋め込み施術などを行うところもあります。入院施設はないので時間外労働は少ないですが、外科手術をともなうぶん、高い技術を要するため好待遇で迎えられるケースもあるようです。
非常勤やアルバイトで複数の勤務先を掛け持ちする働き方もある
「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、複数の勤務先を掛け持ちする呼吸・消化器・循環器科の医師の中で、主たる勤務先(最も勤務日数が多い施設)で常勤医師として勤めている人の割合は93.6%です。(※)大半の人が常勤医師として勤務していることがわかりますが、一方で2カ所目の勤務先では非常勤が61.1%、アルバイトが37.3%を占めています。
さらに3カ所目になると非常勤が45.9%、アルバイトが54.1%、4カ所目では非常勤が32.7%、アルバイトが67.3%となっています。つまり最も勤務日数の多い1カ所目の勤務先では常勤医師として働きつつ、2カ所目以降は非常勤またはアルバイトをしている人が一定数いることがわかります。
なお、1~4カ所目までの常勤、非常勤、アルバイトの人数は以下のとおりです。
常勤 | 非常勤 | アルバイト | |
1か所目 | 349人 | 23人 | 1人 |
2か所目 | 3人 | 113人 | 69人 |
3か所目 | 0人 | 50人 | 59人 |
4か所目 | 0人 | 17人 | 35人 |
上記のデータから、循環器内科医として3カ所、4カ所の職場を掛け持ちして仕事をしている人も少なくないことがうかがえます。
「勤務医の就労実態と意識に関する調査」が科目を問わず複数の勤務先で勤務する医師を対象に理由を質問した結果、最も多いのは「収入を増やしたいから」、次いで「勤務先からの指示があるから」「一つの勤務先だけでは生活自体が営めないから」となっており、収入を増やす目的や職場からの指示で掛け持ちをしている人が大半を占めているようです。(※)
一方で、「自分が活躍できる場を広げたいから」「複数の病院で知識・技術を習得したいから」「さまざまな分野の人とつながりができるから」など、スキルアップやコミュニティの拡張などを目的として掛け持ちしている人も少なくないようです。(※)特に循環器内科の場合、カテーテル検査・治療を行うか否かによって医師としての働き方が大きく変化します。カテーテル検査・治療に携わることを目指している方は、複数の勤務先で働き、症例や実績を積もうとする傾向が強いようです。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
循環器内科のセカンドキャリア
循環器内科医のセカンドキャリアで多いパターンは予防医療や検診などへの転向です。内視鏡検査は消化器内科医の領分ですが、日本人に多い脂質異常症や高血圧といった生活習慣病の患者には問診や心電図による検査が必要になるため、循環器内科医が重宝されます。また生活習慣病や急性期後の定期フォローとして、心臓リハビリの領域で活躍することもできます。
ほかにも循環器内科医として培ってきた経験や実績を活かし、内科の基本的な診察を行いながら、循環器疾患を診るというパターンもあります。循環器内科に特化するのではなく、一般内科として幅広く診療したり訪問診療や在宅診療を行ったりする道も選択可能です。
勤務医として働くだけでなく独立開業するという方法もあります。開業すれば、診療方針や働き方をある程度自分の裁量で決めることが可能です。収入も病院の収益と比例するため「もっと稼ぎたい」「現状の給与に不満がある」という方におすすめの方法です。
ただし開業医になると他の医師を雇用しない限り、一人で患者を診なければなりません。長期休暇などもなかなか取得できず、ワークライフバランスを実現することが難しくなる可能性があります。独立開業するか勤務医を続けるか、どちらにもメリット・デメリットがありますので、自分の理想の働き方やニーズを見直し慎重に検討しましょう。
循環器内科医としての働き方を見直したいなら、アルバイトや転職を検討しよう
循環器内科医は急性心筋梗塞などの重疾患から、身近な生活習慣病まで循環器の幅広い病気を診る役割を担っています。病院ではカテーテルを中心とした検査や治療を行い、診療所では各種診察や検査のほか必要に応じて投薬や生活指導などを行うことがあります。
年収は主な診療科の平均とほぼ同等の約1,267万円で比較的高い水準です。医師の中には、自身の状況に合わせて複数の勤務先でダブルワークやトリプルワークを行っている方も少なくありません。スキルアップのために複数の勤務先を掛け持ちしている方も多く、年収や働き方を見直したい場合は、アルバイトや転職を検討してみるのも一つの方法です。
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