60歳~65歳での再雇用後の給与相場を医師の場合とほかの職業と比較して解説
目次
医師は定年後の年収が高い職種の一つです。厚生労働省の賃金センサスによると、60歳から65歳までの医師の平均給与は約1,358.1万円で、他の職業を大きく上回っています。定年後も医師として活躍したい人は、再雇用後の給与相場を確認しておきましょう。
令和4年版高齢社会白書によると、60歳から64歳までの就業率は71.5%、65歳から69歳は50.3%と年々増加傾向にあり、高齢期になっても働き続けている人の割合が多いことが分かります。(※)
医師も例外ではありません。医師の定年は60歳~65歳といわれる中で、多くの人が定年の延長や、定年後の再雇用によりキャリアを継続しています。60歳から65歳までの医師の給与相場は、他の職業と比較してどのくらいの水準にあるのでしょうか。
本記事では、定年後も安定してキャリアを継続したい医師の人向けに、再雇用後の平均給与や、定年後を見据えたキャリアプランの立て方をわかりやすく解説します。
※出典:内閣府.「令和4年版高齢社会白書(概要版)」.https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/gaiyou/s1_2.html
60歳から65歳までの年齢階層の平均年収は?
定年後も働く場合、業種や働き方に関わらず年収が低下するといわれています。実際に国税庁がまとめた民間給与実態統計調査(令和3年分)によると、60歳から65歳までの年齢階層の平均給与は、定年前よりもやや下がっていることがわかります。(※)
ここでは、60歳から65歳までの年齢階層の平均年収や、再雇用後の給与相場を紹介します。
※出典:国税庁.「令和3年分民間給与実態統計調査」.https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2021/pdf/000.pdf
60歳から65歳までの平均年収は約380.5万円
国税庁の民間給与実態統計調査(令和3年分)によると、60歳から65歳までの年齢階層の平均年収は約380.5万円です。55歳から59歳までの年齢階層の平均年収(約529万円)と比較すると、約148.5万円の差があります。
業種別にみると、医療・福祉の仕事に携わる人(医師以外も含む)の平均年収は約407万円です。60歳から65歳までの年齢階層の平均年収は約411.8万円で、他の業種との差はほとんどありません。
業種 | 19歳以下 | 20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65~69歳 | 70歳以上 | 合計 |
建設業 | 2,265,000円 | 3,621,000円 | 4,262,000円 | 4,631,000円 | 5,007,000円 | 5,280,000円 | 5,625,000円 | 6,114,000円 | 6,176,000円 | 5,419,000円 | 4,299,000円 | 3,286,000円 | 5,108,000円 |
製造業 | 2,568,000円 | 3,278,000円 | 4,022,000円 | 4,560,000円 | 5,093,000円 | 5,387,000円 | 5,759,000円 | 6,181,000円 | 6,353,000円 | 4,708,000円 | 3,918,000円 | 3,168,000円 | 5,163,000円 |
卸売業・小売業 | 947,000円 | 1,965,000円 | 3,262,000円 | 3,702,000円 | 3,960,000円 | 4,193,000円 | 4,331,000円 | 4,335,000円 | 4,357,000円 | 3,569,000円 | 2,964,000円 | 2,758,000円 | 3,771,000円
|
宿泊業・飲食サービス業 | 836,000円 | 1,379,000円 | 2,488,000円 | 2,858,000円 | 3,001,000円 | 3,242,000円 | 3,141,000円 | 3,026,000円 | 3,077,000円 | 2,659,000円 | 2,082,000円 | 1,999,000円 | 2,596,000円 |
金融業・保険業 | 2,336,000円 | 3,765,000円 | 4,739,000円 | 5,994,000円 | 6,642,000円 | 7,409,000円 | 7,520,000円 | 8,106,000円 | 7,910,000円 | 5,672,000円 | 5,428,000円 | 5,292,000円 | 6,769,000円 |
不動産業・物品賃貸業 | – | 3,122,000円 | 3,929,000円 | 3,929,000円 | 4,495,000円 | 4,536,000円 | 5,234,000円 | 4,883,000円 | 5,341,000円 | 4,651,000円 | 3,258,000円 | 3,204,000円 | 4,258,000円 |
運輸業・郵便業 | 2,468,000円 | 3,097,000円 | 3,805,000円 | 4,188,000円 | 4,498,000円 | 4,560,000円 | 4,719,000円 | 4,745,000円 | 4,746,000円 | 3,669,000円 | 3,177,000円 | 2,572,000円 | 4,254,000円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 3,660,000円 | 4,145,000円 | 5,161,000円 | 6,039,000円 | 7,413,000円 | 7,510,000円 | 9,028,000円 | 9,716,000円 | 9,329,000円 | 5,088,000円 | 4,866,000円 | 16,769,000円 | 7,656,000円 |
情報通信業 | 2,770,000円 | 3,561,000円 | 4,243,000円 | 5,062,000円 | 6,167,000円 | 6,824,000円 | 7,368,000円 | 7,683,000円 | 8,246,000円 | 5,863,000円 | 4,584,000円 | 7,427,000円 | 6,236,000円 |
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 | 1,471,000円 | 2,940,000円 | 4,064,000円 | 4,492,000円 | 5,187,000円 | 5,437,000円 | 5,601,000円 | 6,217,000円 | 6,288,000円 | 5,504,000円 | 4,527,000円 | 4,213,000円 | 5,209,000円 |
医療・福祉 | 2,289,000円 | 3,144,000円 | 3,582,000円 | 3,713,000円 | 3,789,000円 | 4,091,000円 | 4,242,000円 | 4,343,000円 | 4,502,000円 | 4,277,000円 | 3,963,000円 | 4,587,000円 | 4,068,000円 |
総合サービス事業 | 2,673,000円 | 2,713,000円 | 3,259,000円 | 3,696,000円 | 4,615,000円 | 5,687,000円 | 6,119,000円 | 5,625,000円 | 5,298,000円 | 3,085,000円 | 2,521,000円 | 1,929,000円 | 4,938,000円 |
サービス業 | 1,817,000円 | 2,444,000円 | 3,267,000円 | 3,629,000円 | 3,822,000円 | 4,238,000円 | 4,332,000円 | 4,305,000円 | 4,345,000円 | 3,579,000円 | 2,558,000円 | 2,169,000円 | 3,685,000円 |
農林水産・工業 | 3,280,000円 | 2,530,000円 | 3,149,000円 | 2,990,000円 | 3,313,000円 | 3,454,000円 | 3,844,000円 | 4,089,000円 | 3,639,000円 | 3,324,000円 | 2,507,000円 | 1,994,000円 | 3,101,000円 |
合計 | 1,326,000円 | 2,689,000円 | 3,706,000円 | 4,125,000円 | 4,488,000円 | 4,799,000円 | 5,037,000円 | 5,201,000円 | 5,290,000円 | 4,225,000円 | 3,382,000円 | 3,002,000円 | 4,433,000円 |
60歳から65歳までの医師の給与相場
60歳から65歳にかけて定年を迎える医師が増えてきます。定年の延長や定年後の再雇用制度の利用により、高齢期になっても働き続ける医師の給与相場はどのくらいでしょうか。
厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査(賃金センサス)を参考にしながら、60歳から65歳までの医師の給与相場や、他の職業との違いを解説します。(※)
なお、ここで紹介する給与相場は、賃金センサスにおける「決まって支給する現金給与額(労働契約などであらかじめ定められている支給条件、算定方法により支給された現金給与額)」を指すものとします。(※)
※出典:厚生労働省.「令和3年賃金構造基本統計調査(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計))」.https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001164106&tclass2=000001164107&tclass3=000001164111&tclass4val=0
※出典:厚生労働省.「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況:主な用語の定義」.https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/yougo.html
医師全体の給与相場
まず医師全体の給与相場をみてみましょう。医師全体の平均年収は約1,378.2万円で、全体平均を大きく上回っています。男性医師の平均年収は約1,469.9万円となり、女性医師よりも給与額が高くなっています。
男 | 女 | 男女合計 | |
平均年齢 | 46.8歳 | 39.9歳 | 45.3歳 |
平均勤続年数 | 8.0年 | 6.4年 | 7.7年 |
所定内実労働時間数 | 164時間 | 161時間 | 163時間 |
超過実務労働時間数 | 16時間 | 13時間 | 15時間 |
年間賞与
その他特別給与額 |
1,282,200円 | 809,900円 | 1,178,100円 |
平均年収 | 14,699,400円 | 10,537,100円 | 13,782,900円 |
年齢階層別にみた医師の給与相場
次に医師の給与相場を年齢階層別にみてみましょう。60歳から65歳までの年齢階層の平均年収は約1,833.9万円で、他の職業(422.5万円)を大きく上回る結果となりました。
また医師は定年延長などの制度で働く人が多いため、55~59歳の平均年収と比べても差がほとんどみられません。ただし勤務先の病院の制度によっては、大きく年収が下がる可能性もあります。
年齢階層 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
20~24歳 | 10,300円 | 5,831,500円 |
25~29歳 | 198,300円 | 6,547,500円 |
30~34歳 | 526,900円 | 9,392,500円 |
35~39歳 | 1,149,100円 | 12,594,700円 |
40~44歳 | 1,468,400円 | 14,781,200円 |
45~49歳 | 1,672,300円 | 16,557,100円 |
50~54歳 | 1,672,300円 | 19,086,700円 |
55~59歳 | 1,598,100円 | 17,012,100円 |
60~64歳 | 2,041,800円 | 18,339,000円 |
65~69歳 | 1,784,900円 | 17,834,900円 |
70歳~ | 550,700円 | 16,072,700円 |
施設規模でみた医師の給与相場
最後に医師の給与相場を施設規模でみてみましょう。60歳から65歳までの年齢階層の平均年収がもっとも高いのは、従業員数が10~99人のクリニック(約1,868.8万円)です。従業員数が1,000人以上の大病院の場合は、60歳から65歳までの年齢階層の平均年収が約1,535.8万円となり、中小病院よりもやや低くなっています。
なお、厚生労働省の賃金センサスは勤務医のみを対象としているため、開業医は調査対象に含まれていません。
- 従業員数が1,000人以上の大病院の場合
年齢階層 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
20~24歳 | 15,500円 | 5,461,100円 |
25~29歳 | 196,500円 | 6,339,300円 |
30~34歳 | 523,300円 | 8,623,300円 |
35~39歳 | 1,211,800円 | 11,097,400円 |
40~44歳 | 1,750,100円 | 12,842,900円 |
45~49歳 | 2,005,400円 | 14,061,800円 |
50~54歳 | 2,280,300円 | 16,680,300円 |
55~59歳 | 2,719,000円 | 15,579,400円 |
60~64歳 | 2,952,800円 | 16,286,000円 |
65~69歳 | 1,388,900円 | 15,358,100円 |
70歳~ | 744,900円 | 11,361,300円 |
- 従業員数が100~999人の中小病院の場合
年齢階層 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
20~24歳 | 0円 | 6,568,800円 |
25~29歳 | 218,800円 | 8,881,600円 |
30~34歳 | 565,800円 | 13,227,000円 |
35~39歳 | 1,141,900円 | 14,904,700円 |
40~44歳 | 1,034,000円 | 17,504,000円 |
45~49歳 | 1,505,100円 | 18,222,300円 |
50~54歳 | 1,199,200円 | 18,494,800円 |
55~59歳 | 964,100円 | 18,163,700円 |
60~64歳 | 1,426,200円 | 18,688,200円 |
65~69歳 | 839,000円 | 17,973,800円 |
70歳~ | 678,100円 | 18,308,500円 |
- 従業員数が10~99人のクリニックの場合
年齢階層 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
20~24歳 | – | – |
25~29歳 | – | – |
30~34歳 | 0円 | 9,600,000円 |
35~39歳 | 411,900円 | 18,593,100円 |
40~44歳 | 756,300円 | 20,813,100円 |
45~49歳 | 354,600円 | 24,419,400円 |
50~54歳 | 766,900円 | 35,589,700円 |
55~59歳 | 607,600円 | 16,570,000円 |
60~64歳 | 1,011,500円 | 25,975,100円 |
65~69歳 | 6,472,000円 | 21,346,000円 |
70歳~ | 0円 | 10,695,600円 |
定年延長や定年後の再雇用を見据えた備えを
医師は60歳で定年を迎えるか、再雇用制度を利用して65歳まで働くことが一般的です。公務員に準ずる国立病院機構は60歳定年制度を採用しています。高年齢者雇用安定法の改正により、2025年4月からは定年が65歳に引き上げられるため、高齢期になっても働く医師は今後どんどん増えていくことが予想されます。
民間の医療機関の場合は、そもそも定年制度がなかったり、独自の再雇用制度を採用していたりと施設によって差があります。定年後も医師として活躍するため、所属先の勤務制度を確認しておきましょう。
例えば、国立病院機構のシニアフロンティア制度のように、定年後も希望に応じて働ける勤務延長制度があれば、定年後の収入を安定させることができます。また、60歳から65歳までの医師を対象とした求人も存在するため、定年後も働きたい場合は求人サイトを利用する方法もあります。定年延長や定年後の再雇用を見据えて、早い段階からキャリアプランを立てることが大切です。
60歳以降の給与相場を知って定年後のキャリアプランを立てよう
ここまで、60歳から65歳までの医師の給与相場を解説しました。他の職業と比較して、定年後の医師の平均年収は高い水準にあります。しかし、勤務先の病院によっては、定年後も継続して働く仕組みがなく、収入が大幅に減少するリスクがあります。
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