【座談会】医局に所属しない選択肢はあり?非医局医師3名が語るメリット・デメリットとキャリア形成のポイント(後編)

目次
後編では、こうした働き方のメリット・デメリットや、実際のキャリア形成について、お話を伺います。
fax:医師10年目の男性医師。精神科。初期研修終了後、医局には入らず、直接九州の精神科単科病院に入職。資格を取得後、別の病院に転職。現在はメンタルクリニックで勤務。
資格:精神科専門医、精神保健指定医。
じぇす:医師14年目の女性医師。消化器内科。関東の総合病院で勤務医として勤務。
東北の研修病院で5年間働いたのち、6年目で大学院に入学し、入局。大学院卒後、医師10~12年目の3年間、関連病院で勤務し、脱局。13年目から現在の病院で勤務。
資格:認定内科医、消化器病学会指導医、消化器内視鏡学会専門医。
S.Dai:医師20年目の男性医師。消化器内科。初期・後期研修を経て、内科一般の公立病院で勤務。その後、急性期病院で専門医を取得し、現在は東京の療養系の病院勤務。大学病院、医局には全く関わらずに過ごしてきた。
資格:内科認定医・専門医、消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医、プライマリーケア学会認定医。
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【座談会】医局に所属しない選択肢はあり?非医局医師3名が語るメリット・デメリットとキャリア形成のポイント(前編)
医局に所属しないことのメリット・デメリット
――実際に非医局医師として働いてきた中で感じているメリット・デメリットには、どのようなものがありますか?
S.Dai:入局しないメリットは、やはり自由度が高いことに尽きると思います。結婚や出産などのライフイベントがあると、自分一人だけの都合で動けなくなることも出てきます。そこにさらに医局事情がつくと、自分の思っていた環境で働くのがさらに難しくなることも多くなるのではないかと思います。
ただ、自由がある=自分で決めていかなければいけない、というのがデメリットともいえます。キャリアを形成するための道筋も、自分で調べてやっていく必要があります。
他のデメリットとしては医局でなければ研究に注力しにくいことがあげられます。研究分野をやりたいならば、医局に入るしかないのではと思います。現状は大学中心に研究をしている体制が主だと思うので、新たな治療を発見したいという人は、大学医局に入らないと始まらないかもしれません。
経済的なことなら、医局に入らない方が大学病院以外の勤務になるはずなので、安定しやすいと思います。
ーーじぇす先生は医局に入らないことにどのようなメリット・デメリットを感じていますか?
じぇす:私自身は退局して2年が経ちましたが、非医局医師になったことで大きなデメリットを感じたことはありません。一方で、職場の面倒ごとに起因した医局との不毛な連絡がなくなり、精神衛生が向上したのは測り知れないメリットでした。
非医局のメリットは、就職先が選べることが1番大きいと思います。医局時代は転勤も下手をすると1〜数ヶ月前に突然言われますし、拒否権もないです。
独身時代はそれでもいいのですが、結婚して子供が出来て、となると、デメリットが大きくなってきますよね。私は妊活をしているのですが、医局赴任先の病院は田舎過ぎてそこが難しかったです。今の職場は妊活しやすい、通院しやすい場所を選んだので、とても満足しています。
私の医局では給与については派遣される病院によってピンキリでした。
医局のメリットは非医局のデメリットと言えると思いますが、学位、研究、留学などが一番大きいと思います。正確には医局ではなく大学院のメリットな気はしますが、基礎研究にせよ臨床研究にせよ、指導医の存在無しで始めるのはかなりハードルが高いと思います。
また、医局にもよるとは思いますが、自身の心身の不調、職場の労働環境などで困ったことがあれば頼れる点は大きいとは思います。
人脈という視点で考えると、将来的に開業する場合や研究などプロジェクトを立ち上げる場合は医局の看板は有効かと思います。私は人脈として活かせたことはありませんが、同世代の仲間達と交流出来たのは大きなメリットであったと感じます。
ーーS.Dai先生は医局で形成できる人脈についてどのように感じていますか?
S.Dai:人脈に関しては、医局だと同じ方向性の仲間が多いというのがありそうですね。
私の場合は、研修先での同期、前後1年ぐらいでも、同じ科を目指す人は少なく、むしろ色々な方向性を持っている人と切磋琢磨する環境だったなと思います。ただ知り合える医師の人数は少なくなるので、数という面では医局に入った方が、多くなるのではないかと思います。
今後は、SNSやオンラインコミュニティがさらに発展すれば、そのデメリットは無くなるかもしれないです。
ーーfax先生は医局に入らないことにどのようなメリット・デメリットを感じていますか?
fax:私も自由度の高さが一番のメリットと感じていますが、一方でどういう選択(転職、転居、結婚など)をするかかなり悩みました。環境によると思いますが、医局と違い、ロールモデルが作りにくいデメリットはあるかなと思います。
先生方も言われていますが、もう一つのデメリットとしてはやはり研究方面ですよね。私自身も専門医(精神科は指定医も)までで、学位は諦める、というスタンスのもと入局しない選択をしたものの、今の年次になり、入局した同級生が大学院に入り、学位を取った話や留学の話を聞くと、若干取り残されたような気持ちになることもあります。
経済的には大変そうですし、臨床は大好きなので、今の選択に後悔はないのですが、働かなくても全く心配がないぐらい経済的に余裕があれば、研究もやってみたかったなぁ、と思うこともあります。
じぇす:fax先生もおっしゃるように「余裕があれば研究もやってみたかったなぁ」という気持ちは、一定数の臨床医が感じることだと思います。後悔先に立たず、とは言いませんが、家族が出来てから一念発起するのはなかなか大変なのも事実です。多少なりとも研究に関心を持てる気持ちがある若手の先生は、大学院の扉を叩いてみるのもよいのではないでしょうか。
非医局医師としてのキャリア形成の実際
――次にキャリア形成についてお聞きします。大学院のお話が出ましたが、ご自身の専門領域というキャリアで考えた時に、専門医も含めてどのように考えられていますか。
S.Dai:自分は東京でしか働いたことがなく、病院も医局以外でやっていける病院も多くあるので、医局に在籍しなくても、エキスパートへの研修もしやすい環境だったと思います。
内視鏡関連の手技に関しては、もちろん大学病院で有名な人も多いですが、市中病院の中でも、トッププレイヤーが所属している病院もあります。そういうところに就職すると、専門手技は医局所属しなくても、極められると思います。
一方で、地方ではやはり基幹病院も少なくなり、医局の影響がより強くなっているものと考えています。地元で働きたいけど、病院が少なく、医局に所属しないと勤めにくい、なんてこともあるのでしょうか。
ーーfax先生の拠点である九州での医局が与える影響はいかがでしょうか?
fax:九州は医局の影響はかなり強い方だと思います。精神科に関しては大きな単科病院が複数あり、医局関係なく働けるのですが、外科などは関連病院が多く、私が学生の当時は退局すると九州ではまともには働けなくなる(誇張かもですが)という話も聞きました。
初期研修先も初期研修医以外は基本的に大学医局に所属している先生だけでした。
診療科によっては、そもそも専門医プログラムが大学しかない地域も多いですね。精神科は少なくとも1か所は大学以外の基幹病院がありますが、いずれにせよ地域によって選択肢が大きく変わることは間違いなさそうです。
じぇす:地域や診療科によっては、専門医=入局になっているところはありますよね。私は好ましく思っていません。その上で、「入局しないと専門医が取れない」のであれば、入局せざるをえないと思います。
他科の資格は分かりませんが、消化器内視鏡専門医、消化器病専門医は大した資格ではないです。持っていることで消化器内科医としてのレベルが担保されるようなものではありません。ただ、今後の開業制限も含め、「専門医を持っていないことは大きなデメリットになり得る」と考えています。選択肢を多く持つ意味で、出来れば専門医は取っておきたいところだと感じます。
S.Dai:専門医も、今後どんなシステム(収益)になるかどうかによると思います。今のままなら、専門医の価値はそこまで高くないので、専門医のために医局の縛りをうけることよりも自由を選択する人が多そうな気がします。システムを変えて、より大学に人を集めるため、専門医の価値をより上げる、もしくは専門医でないと仕事はさせないというような事をするなら、致し方なく入ることになるでしょう。それでいいのか?という気がしますが。
fax:精神科では処方に関して専門医が実質必須な薬剤があるので、多少持っておく意義があるのですが、診療点数やできる業務が大きく変わる精神保険指定医という資格もあるので、専門医は取らずに指定医だけ取るというキャリアプランの先生も少なくないですね。
若手医師は医局とどう向き合うべきか
――最後に、これから進路を考える若手医師に向けて、医局に入る・入らないという選択について、どのような視点で考えることが大切だと思いますか?
じぇす:入局するか否かについて、正解はないかと思います。若手のうちに考えるのはなかなか難しいとは思いますが、「10~20年後の自分の姿、そこまでのキャリアパスを想像して、そこに医局が必要であれば入局する」というのがよいかと思います。
ただし、基本的に医局は面倒な組織なので、合わない人は避けた方が無難だと思います。Noと言えない人は運が悪いと使い潰されますし、自分の価値観を抑えて合わせられない人は揉めます。
医局は入るのは自由ですが、出るのは大変です。退局して同じ地域で開業を考えている場合、「嫌になったら揉めてでも抜ける」という手も使いづらいです。
もっとも、退局出来ないまま医局に残って精神を磨耗しては元も子もありません。困った時は周りに相談しましょう!私のように他の地域で働けばよいのです。
私は「住む場所を選ぶというのはなかなか贅沢な行為」だと認識しています。そのこだわりさえ捨てれば、入局しなくても専門医が取れる土地や縛りの少ない医局なども存在します。
S.Dai:住む場所は重要ですよね。まして、家族ができると教育環境や医療環境も含めると、自分一人だけの都合ではなくなりますから。選択肢は多く持っておくに越した事はないですね。
非常勤バイトでは、専門医が必要というところもありますし、専門医があれば、選択できる病院が増えますね。医局に所属しなくても、専門医は取れるようにキャリアプランを練った方が無難ですね。
fax:専門医と入局と絡められる現在の制度はどうかと思いますが、それを差し引いても医局のデメリットは合わない人にとっては大きそうですよね。
今後の変化にも対応できる可能性を高めるという意味で専門医は取るに越したことはないと思いますが、そのために色んなことを犠牲にしすぎないようバランスよくキャリアについて考えることが大事だと思います。
後編まとめ
後編では、医局に所属しないという選択のメリット・デメリットに加え、非医局医師としてのキャリア形成や専門医との向き合い方について、実体験をもとに語っていただきました。
自由度の高さや働き方の選択肢が広がる一方で、研究や学位、人脈形成といった面では医局ならではの強みもあり、地域や診療科によって状況が大きく異なる現実が浮き彫りになりました。
医局に入る・入らないに正解はありませんが、「将来どのような医師でありたいか」「何を大切にしたいか」を起点にキャリアを考えることが重要だと言えそうです。
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