外科医の年収やキャリアプラン、年収アップの方法などを解説
目次
外科医は他の診療科に比べ就業時間が長く、緊急のオペや長時間のオペがあるなど体力的・精神的にもハードなイメージがあるでしょう。仕事のハードさと比較すると給与水準が低いという見方もある一方で、近年は働き方の多様化によって高収入を得られるケースも少なくありません。
本記事では外科医の年収について解説するとともに、外科医のキャリアプランや年収アップの方法などを解説します。
参考サイト：GLOBAL MACRO
外科医の平均年収
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、外科医の平均年収は1,374.2万円です。（※）これは、全診療科の医師の平均年収の1,267.6万円よりも100万円以上高く、調査対象となった13の診療科目のうち3位に該当します。
【医師の平均年収（診療科別）】
| 順位 | 診療科目 | 平均年収 |
| 1 | 脳神経外科 | 1,480.3万円 |
| 2 | 産科・婦人科 | 1,466.3万円 |
| 3 | 外科 | 1,374.2万円 |
| 4 | 麻酔科 | 1,335.2万円 |
| 5 | 整形外科 | 1,289.9万円 |
| 6 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267.2万円 |
| 7 | 内科 | 1,247.4万円 |
| 8 | 精神科 | 1,230.2万円 |
| 9 | 小児科 | 1,220.5万円 |
| 10 | 救急科 | 1,215.3万円 |
| 11 | その他 | 1,171.5万円 |
| 12 | 放射線科 | 1,103.3万円 |
| 13 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078.7万円 |
また年収階層別の分布では、年収1,500万円〜2,000万円未満が39.1％と最も多く、外科医全体のうち79.1％以上が年収1,000万円以上であることがわかります。これは全診療科目の中で最も高い脳神経外科（81.6％）に次ぐ水準です。（※）
【外科医の年収分布（階層別）】
| 年収 | 全体に占める割合 |
| 300万円未満 | 2.1% |
| 300～500万円 | 2.4% |
| 500～700万円 | 4.7% |
| 700～1,000万円 | 11.8% |
| 1,000～1,500万円 | 27.9% |
| 1,500～2,000万円 | 39.1% |
| 2,000万円以上 | 12.1% |
なお脳神経外科医の年収が最も高水準である理由としては、脳卒中やくも膜下出血など緊急性の高い手術や治療を行うことが多い点、命に関わる疾患を扱うことが多い点などが挙げられます。
脳神経外科医と同様、外科医も命に関わる緊急性の高い手術や治療を行うことが多いため、年収が高水準になりやすいと考えられるでしょう。
外科医が高収入である理由
他の診療科と比較すると外科医は年収が高い傾向があります。高年収の理由は先ほどご紹介したとおり、命に関わる手術や治療、緊急性の高い手術や治療を行うことが多い点にあると考えられますが、他にも次のような理由が挙げられます。（※）
まずは労働時間の長さです。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、外科医の主たる勤務先での1週間あたりの労働時間は休憩時間を除いて平均52.5時間です。
全診療科の労働時間が平均46.6時間なので、平均よりも長時間勤務になる傾向があるといえます。更に、1週間あたりの労働時間が60時間以上と答えた医師の割合は全診療科の平均が27.4％であったのに対し、外科だけで見ると43.1％とこちらも高い水準となっています。（※）
外科医の労働時間が長くなる原因のひとつがオンコール対応の多さです。同調査によると、オンコールのある働き方をしていると答えた外科医の割合は96.5％にものぼり、全診療科の平均88.2％より多いことがわかります。この背景には、手術の低侵襲化や、長期入院を要する患者が多いこと、高齢化による周術期リスクの上昇などが考えられるでしょう。
外科医が高収入になりやすい理由としては、他にも外科医が行う手術や治療が医療事故や訴訟のリスクを伴うことが多い点や、それらのリスクを避けて外科医を志望する医師が減少傾向にある点などが考えられます。
外科医の3つのキャリアプラン
医師の中でも高年収であることが多い外科医ですが、どのようなキャリアプランがあるのか代表的な3つのキャリアプランを紹介します。
特定の領域でキャリアを積む
まず専門医の資格を取得するなど、特定の領域でキャリアを積む方法です。手術方法は疾患のある臓器によって異なります。外科の中でも脳神経外科や心臓血管外科、呼吸器外科など特定の領域に進み、臨床経験を積みながら資格取得を目指します。
専門医の資格を取得するためには、学会への所属に加え、試験に合格するなど条件があります。長時間勤務になりがちな外科医が勉強の時間を作るのは容易ではないかもしれません。しかし、専門領域を極めることで自身の市場価値が高まり、転職時の選択肢も広がるでしょう。
診療の幅を広げる
特定の領域に特化した外科医へのニーズがある一方で、比較的難易度の低い外科診療も含め幅広く対応できる外科医へのニーズがあることも事実です。市中病院や緩和ケア病棟のある病院では、特定の領域に限らずさまざまな領域の施術に対して柔軟に対応できる医師が求められることが少なくないからです。
自身の専門ではない領域であっても医療機関が求めるスキルを積極的に身に付ける姿勢があれば、活躍の場を広げられるでしょう。
他領域に転科する
外科医としてではなく、他の領域に転科するというキャリアプランもあります。例えば内科系であれば求人数も多く、採用の際の年齢的なハードルも低くなります。また、内科的治療経験がある外科医であれば訪問診療や緩和ケアにも比較的スムーズに対応できるでしょう。
消化器外科から消化器内科といったように、まずは同じ領域の内科診療へ移行し、その後一般内科へと移行するという方法であれば、無理のないキャリアチェンジが可能です。
参考サイト：転職コネクト
外科医の年収がアップする4つの方法
外科医として年収を更にアップさせる方法として、次の4つの方法について解説します。
1.市場価値を高める
外科医のキャリアプランでも紹介したとおり、専門領域を極めることは市場価値を高めることにもつながります。
専門医試験の受験には、日本外科学会が指定する「外科専門制度修練施設」において、卒後初期臨床研修期間を含め通算で5年以上の修練が必要です。一定の時間は要するものの、多くの外科医に選ばれるキャリアパスです。
2.転職する
勤務医の平均年収は、一般的に医療法人が運営する市中病院（民間病院）の方が高くなる傾向があります。公立病院や診療所などに勤務している場合は、市中病院に転職することで年収がアップする可能性もあるでしょう。
また、医師不足が深刻化している地域でも高待遇の求人が見つかるケースがあります。
3.開業する
開業医は内科医のイメージが強いですが、外科医が開業をすることも可能です。外科医が開業をする場合、オペ室やスタッフの準備といった点が大きな課題となりますが、例えば呼吸器外科から呼吸器内科のように、外科と同じ領域の内科診療へ移行して開業するケースも少なくありません。
4.アルバイトをする
アルバイト（非常勤）をすることで収入をアップさせることも可能です。一般外科のアルバイトでは、手術を伴う業務は多くありませんが、外来診療や救急対応、ICU管理など、常勤医のサポート的立場でさまざまなスキルを磨くことができます。日当直（日中の勤務から夜勤まで）のような給与が高額なアルバイトもあります。
高収入かつ納得できる働き方を
外科医は高収入になる傾向があるものの、そのハードさゆえに「いつまで続けられるのか」「今の収入を維持し続けられるのか」など今後のキャリアプランに悩むケースも少なくありません。
今回紹介したとおり、外科医のキャリアプランは専門領域を極める以外の選択肢もあります。高収入ながらも納得のできる働き方を手に入れるために、まずは「なりたい自分」をイメージし、現在の働き方を見つめ直すところから始めてみましょう。
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