小児科医は子どもが生まれてから成長するまでの期間に発症した病気を診断して、治療を行います。子ども特有の病気以外にも、さまざまな診療科の知識が求められる小児科医ですが、年収はどれくらいなのでしょうか。
本記事では小児科医の平均年収や労働時間などについて解説します。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が発表した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、小児科医の平均年収は1,220.5万円です。(※)診療科目全体の平均年収の1,267.7万円と比較すると40万円ほど低い結果でした。
また、同調査によると小児科医の年収分布は次の通りです。(※)
300万円未満 | 300~500万円未満 | 500~700万円未満 | 700~1,000万円未満 | 1,000~1,500万円未満 | 1,500~2,000万円未満 | 2,000万円以上 |
2.4% | 7.7% | 5.9% | 14.8% | 33.1% | 28.4% | 7.7% |
半数以上が1,000万円以上の年収を得ていることがわかります。
小児科医は自身の年収についてどのように捉えているのでしょうか。「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、自身の年収について「満足している」と回答した割合は8.3%、「まあ満足している」が42.9%です。(※)つまり51.2%が自身の年収についておおむね満足している状況です。
一方、年収について「少し不満」「不満」と回答した割合は合計で32.2%でした。この数字は他の診療科と比較すると低い結果です。
例えば救急科の結果を見ると自身の年収に「少し不満」「不満」と回答した割合は55.5%です。このことから小児科医は年収について満足している人が多い傾向があるといえます。
「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、小児科医の1週間あたりの労働時間は次の通りです。(※)
20時間未満 | 20~40時間未満 | 40~50時間未満 | 500~60時間未満 | 60~70時間未満 | 70~80時間未満 | 80時間以上 | 60時間以上計 | 平均時間 |
5.4% | 10.2% | 15.6% | 29.3% | 24.9% | 8.3% | 6.3% | 39.5% | 52時間 |
小児科医の1週間あたりの平均労働時間は52時間で、60時間以上あたり勤務している人の割合は約40%でした。
診療科全体の労働時間平均が46.6時間ということを踏まえると、小児科医は約6時間も労働時間が長い診療科であることがわかります。また、60時間以上勤務している人の割合も、他の科の平均が27.9%なのに対して、約13%も高い結果となっています。
小児科医が対象とする患者は、乳幼児から一般的には15歳頃までの子どもです。小児科医は子どもに特化した専門医として全身の症状に対応するため、幅広い知識が求められます。また、麻しん(はしか)や感染症、先天性疾患といった子ども特有の病気についても、当然知識が必要です。
小児科医は子どもの病気に対応するだけではなく、発達に応じて養育のコツを保護者に指導、啓蒙することも重要な役割です。子どもや家庭の背景に沿って、健やかに育つための養育方法を考えることが求められます。
また、ハンディキャップを持っている子どもや家族のサポートの他、予防接種や集団検診などの対応も行います。
医師のキャリア形成の選択肢として挙げられるのが開業です。「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、医師がキャリア形成についてどう考えているかを調査し、以下の通り発表しています。(※)
今の職場の同じ診療科で働きたい(%) | 別の病院の同じ診療科で働きたい(%) | 同じ病院の別の診療科で働きたい(%) | 別の病院の別の診療科で働きたい(%) | 開業したい(%) | 医師として非常勤として勤務したい(%) | 診療を辞めたい(%) | その他(%) | 診療科変更希望(%) | |
内科 | 48.2% | 25.7% | 0.6% | 2.2% | 6.9% | 8.9% | 3.9% | 3.6% | 2.8% |
外科 | 58% | 23.8% | 0.5% | 4.8% | 5.3% | 5% | 2% | 0.8% | 5.3% |
整形外科 | 53.1% | 25.5% | 1% | 0% | 9.1% | 7% | 2.1% | 2.1% | 1% |
脳神経外科 | 51.2% | 27.6% | 1.6% | 2.4% | 5.7% | 3.3% | 4.9% | 3.3% | 4% |
救急科 | 36.1% | 41.7% | 0% | 5.6% | 2.8% | 5.6% | 5.6% | 2.8% | 5.6% |
産科・婦人科 | 51.7% | 26.5% | 0.7% | 0% | 4.1% | 10.2% | 3.4% | 3.4% | 0.7% |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 41.6% | 32.4% | 0.8% | 1.9% | 9.1% | 5.1% | 4.8% | 4.3% | 2.7% |
精神科 | 50.4% | 26.5% | 0% | 0% | 12.3% | 6.5% | 3.8% | 0.4% | 0% |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 43.7% | 22.3% | 0.3% | 0.3% | 20.2% | 10% | 2% | 1.3% | 0.6% |
麻酔科 | 49% | 23.5% | 0.7% | 3.3% | 6.5% | 9.2% | 4.6% | 3.3% | 4% |
放射線科 | 53.5% | 33.3% | 0% | 0% | 0.9% | 10.5% | 0% | 1.8% | 0% |
その他 | 41.1% | 28.2% | 0.8% | 4% | 9.7% | 10.5% | 3.2% | 2.4% | 4.8% |
平均 | 47.9% | 27.8% | 0.5% | 2.0% | 7.8% | 7.7% | 3.4% | 2.6% | 2.5% |
開業を検討している小児科医の割合は9.8%と、平均である7.8%よりも高い傾向があることがわかります。また、診療科の変更を希望する割合は他の診療科よりも比較的低いことから、多くの小児科医が今後も小児科医として働き続けたいと考えているといえるでしょう。
開業をすることで小児科医として勤務するよりも年収がアップする可能性があります。ただし、開業するにあたっては経営者としての資質も問われます。経営がうまくいかなかった場合、赤字を抱えてしまうかもしれません。また、診療所の設備購入の資金準備をはじめとして、医療以外の業務もこなす必要があります。
他にも、開業することで退職金が出なくなるため老後への準備が必要になる、自身が責任者としてトラブルが起きた際の対応に追われるといった注意点が考えられるため、開業する際はこれらを考慮した上で検討を進めていきましょう。
小児科医の平均年収は1,220.5万円で他の診療科と比較すると低い傾向です。一方で、年収についての満足度は高い傾向があります。小児科医は乳幼児から一般的には15歳頃までを対象に、子ども特有の病気だけでなくそれ以外の病気にも対応するため、幅広い知識が求められます。
小児科医はキャリア形成として開業を検討している割合が多いのが特徴です。しかし開業するためには、開業のための資金はもちろん経営者としての資質が求められるため、入念な下準備が必要です。もし開業以外で年収を上げたい、キャリアアップしたいとお考えの方は転職スポット/定期非常勤などのアルバイトや転職も検討してみてはいかがでしょうか。
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