エリアを選択

北海道・東北
関東
北陸
甲信越
東海
近畿
中国・四国
九州・沖縄

科目を選択

診療科/業務内容

子どもを医師へ育てるには?準備必須!教育、費用の戦略(後編)

更新日: 2025/09/02
子どもを医師へ育てるには?準備必須!教育、費用の戦略(後編)

前編では、子どもを医師に育てるために必要な費用が明らかになりました。最も費用を抑えても約1,700万円、最大で6,600万円という莫大な金額です。医師家庭とはいえ、これだけの教育費を準備するのは決して簡単ではありません。後編では、具体的な費用捻出の方法や、医師としてのキャリアと教育の両立など、お話を伺います。

▼前編はこちら
子どもを医師へ育てるには?準備必須!教育、費用の戦略(後編)

◆座談会参加医師の紹介◆
さっちっち:13年目女性医師/産婦人科・婦人科
子ども2人(小1、小3)
しま:17年目女性医師/腎臓内科
子ども3人(小3、小1、3歳)
kotatsu:18年目男性医師/内分泌糖尿病内科
子ども2人(中1、小2)

 

資産形成と費用捻出の実際

——これだけの教育費が必要ということで、資産形成と費用捻出について、先生方が実際にされていることを教えてください。

さっちっち: NISAで積み立てを少しずつしています。株と仮想通貨も本当に少額なんですが持っています。ただ、少額すぎて教育費にできるほどの利益にはなっていません。

kotatsu: 自分はNISAとiDeCoをしていますが、これが果たして良いのかわからない状況です。どれが良いのかも見極めきれず怖いので、オールカントリーとSP500に入れています。正直、いつ切り崩せばいいのかもよくわかっていません。

しま: 投資関係はよくわからないですよね。オルカンとSP500なら王道で良い気はします。私も詳しくないですが、ただ教育資金という観点では、投資は必要時に現金化するのが、必ずしも得にならない可能性があるため、どちらかというと長期の資産形成になるのでしょうか。節税についても現実は厳しいようです。

kotatsu: 結局は節税といっても、法人を作って事業するといった高度な手法は、なかなか実践できる医師は少ないと感じています。株式投資は精神的な負担が大きそうですし、不動産投資も興味と知識がないとなかなか手を出しにくいですよね。しかし、やはり、税負担は大きいです。年収2,000万円を目指してアルバイトと合わせて頑張って稼いでも、手取りは1,200万円程度になってしまうのが現実です。

さっちっち: 節税という意味で、子ども達が幼稚園の頃から教育費の一部を親に負担してもらっています。孫の教育費は非課税の額が大きいので、相続税対策にもなります。今後は制度も変わるようですが。

しま:素晴らしいご両親ですね。教育費の贈与は可能な家庭では活用しておいてよさそうですね。制度変更には確かに注意が必要そうです。

我が家は親からの援助はないため教育資金を全て自力で捻出しなければなりません。必要な資金が2,000万として、2,000万円貯めるには、年収1,000~1,500万の税率ですと3,000万ほど稼ぐ必要があります。

 

——投資や節税に限界がある中で、医師が最も効果的に収入を上げる方法について深堀りしていきたいと思います。

しま:今回のお話を通じて感じるのは、やはり、税金で取られるとはいえ、年収を上げるかアルバイトをしてより稼ぐかしかないのかな、ということです。

kotatsu: 医局を抜けるときに転職エージェントを利用したので、医局経由とエージェント経由では待遇に大きな差があることが分かりました。給与が約1,200万円くらいのところが、医局経由だと800〜1,000万円になることは少なくないようです。

しま: 医局経由だと病院側も給与を上げる必要がないですよね。医局人事で毎年誰か来るわけですし、わざわざ高給にしなくてもいいでしょう。先生も年収が増えたようで良かったです。エージェント経由だと交渉もしやすく、待遇自体も良くなって更に給料も上がるといったこともあり得ます。

さっちっち:今2ヶ所に勤務しておりますが、どちらもエージェントさんにご紹介いただき、満足してます。お給料面はもちろん、働きやすさやスタッフの質も申し分ありません。

しま: やはり色々聞きにくいことなどを聞いてもらえる点はいいなと感じます。転職する際は、エージェントを通して年収アップの交渉が可能です。「週5勤務から週4勤務に減らしても収入はほぼ同じだった」という話も聞いたことがあります。日数が減れば空いた1日を外勤に充てることもできますよね。

kotatsu: 私も転職エージェントを利用して現在の勤務先に就職しました。勤務医の良いところですが、だいたい9時~18時で終われるのと、dutyが少なめで、空いた時間をライティングなどの副業に充てています。

しま:私も今は非常勤をしながら、空いた時間で副業にチャレンジしています。

さっちっち: 我が家は夫が勤務医のため、収入は頭打ちです。次女が小学生になったタイミングで、時給もよく内容も納得できる仕事を中心に勤務を増やしました。

しま: 結局は、費用捻出のためには、医師の仕事で稼ぐのが一番いい、という結論になりそうですね。

医師のアルバイト・スポットバイト求人を探す

 

医師のキャリアと子どもの教育の両立

——医師として働きながら、子どもの教育に向き合うのは大変だと思います。先生方はどのようにキャリアと子育てのバランスを取られていますか?

さっちっち: 私は完全にキャリアを諦めました。一時中断ではなく、中止です。今後も常勤には戻れないと感じています。外来診療を中心として、検診を行いつつ、自分のなかでバランスをとっていく形です。正直なところ、専門領域は持ちたかったとは思います。元々は「出産後もそれなりにキャリアを積んで」と思っていましたが、幼稚園受験、小学校受験の話が具体的になるにしたがって、無理だとわかりました。

しま: 私は、どうにか仕事は続けようという一心で、常勤として、本当に子どもをないがしろにして仕事を優先する生活を送っていました。あるとき、1週間子ども達にほとんど会わない、ということがありました。その際、次女が体調を崩してしまいましたが、気づかずに最終的に病状が悪化してしまったのです。そこでやっと、「ああ、私は何をやっているんだろう。自分の子どもをないがしろにしてまで、仕事はする必要があるのか」と、やっと気づきました。

さっちっち: 出産後も常勤で働いている先生方のことは本当に尊敬します。私にはできませんでした。ないものねだりなんだと思います。

しま:私は逆に、さっちっち先生が羨ましいなと思います。いい時期に英断されて、また今少しずつ働くのを増やしておられて……。私は後悔しています。私も、もう常勤には戻れなさそうです。男性医師の場合は、そのまま続けられる方と、働き方を変えるのとでは、そのまま続けられる方も多そうな印象です。ただ年齢が若くなるほど、家庭のことを考えてキャリアを選ぶ人も増えてきているのかなとも感じています。

kotatsu: おっしゃるとおりで、いま30代の若手医師は早々に大学院進学などのキャリアを諦める傾向があると感じています。大学病院などは、あくまでも専門医資格を取得するための場所と割り切って考える医師もいるようです。男性医師の場合、子どもに質の高い教育を受けさせながら、同時に自分の理想とする医師としてのキャリアを追求するには、相当恵まれた環境が必要だと思います。実家に経済的な余裕があるか、副業で成功しているか、あるいは配偶者も同程度の収入があるか、といった条件が揃わないと難しいのが現実です。

さっちっち: 知り合いの医師同士の夫婦で、男性側が仕事をセーブしていたことがあります。男性医師の育休もかなり取りやすくなっているようで、夫の周りでもよく聞きます。時代によっても、各家庭によっても役割分担はさまざまかもしれません。

しま: 選択肢が多い分、若い世代はキャリアについてはよく考える必要があるかもしれません。ただ、人生は計画通りにいかないことも多いですし、後からやりたくなったらチャレンジできることだってありますから、最初から完璧なプランを立てなくても大丈夫かなとも思います。私も40歳にして初めて副業にチャレンジしています。医師は、特に自分で道を切り拓くことのできる職業だと実感しています。

 

変化の時代に負けない医師家庭の心得

——今後の医療業界の変化などは、どのようにお考えでしょうか。

しま: 今すぐ診療報酬が下がるわけではないかもしれませんが、少子化、高齢者医療、財源など、需要と供給のバランスを考えると、また、政治を見ていると、今後の医療業界は厳しいと言わざるを得ません。国内では相対的に良い職業かもしれませんが、厳しい時代になる可能性があります。

「医は仁術なり」といった言葉があるように、先人は本当に素晴らしい偉大な先輩ばかりであったと感じますが、現代社会では少し難しいかもしれません。

kotatsu:ドラマでも、地域の住民のために専門医資格を持った腕の良い医者が、自分の生活そっちのけで尽くすということが美徳であるという文化が根付いていましたが、医療に対してやや経済的な側面を求める若手も増えてきたのは、皆が感じるところです。

しま:それでも、お金の心配をする必要がなければ、そこまで自己犠牲しなくていいと思いますけれど、日本にはそういう志で頑張る医師がたくさんいると思うんですよね。素晴らしい芽を社会全体で摘んでしまっているような気がしています。

 

——今後の変化などを踏まえて、子どもたちにどのような力を身につけてほしいとお考えでしょうか?

さっちっち: 私は子どもたちには状況の変化にも柔軟に対応できる能力を持ってほしいと思います。医師免許があればかなり柔軟に仕事を選べますので、本人たちの希望があるなら、医師になることを応援したいと思います。医師以外であっても、周りの状況が変わったときに自分の力で道を切り開けるだけの資格なり、実力なりを持っていてほしいです。

kotatsu: 今後は、「医師は素晴らしい仕事だよ、将来も安泰だよ」と断言しにくくなってきているのも事実です。ですから、医師に限らず人に感謝される仕事で、自分自身が本当に楽しめて続けられるような職業に就いてほしいですね。そういった仕事の面白さや意義を、自分のなかから見出せるような成長を願っています。

 

——医師に限らず、という言葉が出ましたが、医師以外で目指してほしい職業などはありますか?

しま: 医師以外で選ぶとしたら、プログラマーもいいのでは?と思っています。もちろん、単純なコーディングだけだと既にAIが台頭してきていて、AIに奪われる職業かなとは思います。コーディングもちゃんとやれるうえで、設計やプロジェクトをマネージメントできる、AIを監督できるレベルのエンジニアになってほしいと思います。

プログラマーの世界では、知識やソフトウェアを無償で共有し、お互いに助け合うオープンな文化が根付いているそうです。医師とはジャンルは違いますが、そういう職業としての誇りや信念を持てるようになって欲しいです。医師以外という縛りでなければ、医師×〇〇はいいかなと考えています。

kotatsu:医師×AI関連はよさそうです。

しま:医師免許は取りつつ、医師×エンジニアなど、人のためになる仕事がたくさんできそうです。

さっちっち: 今までは医師免許さえあれば十分だったものも、これからはそれだけでは難しくなることも出てくるかもしれません。確かにプラスαあれば、強いですね。

しま: 医師という職業は、今も昔も社会的な信頼や意義のある仕事であることに変わりはありませんが、社会の変化に巻き込まれつつあるように思います。そんななか、医師家庭として子どもを育てていくためには、医師という職業をよく知っているからこそ、医師を目指すこと+αを教えていく必要がありそうです。

 

子どもが医師になった、その先も見据える

医師という仕事そのものは、いつまでも学びや技術の探究が尽きない素晴らしい職業です。だからこそ、その道に集中するのも尊いこと。こちらの生き方でも+αでやってきたことはきっと生きると思います。

後編では、お子様を医師へと育てるために必要な教育資金の捻出方法と、医師のキャリアと教育の両立などについて、お話していただきました。投資や節税では限界があるなかで、医師としてのベースの年収アップや副業が重要な選択肢として挙げられました。

また、育児とキャリアのバランスや、将来の医療業界の変化への備えについても議論が広がり、これからの時代には、医師+αの力を育てることが重要だという視点も浮かび上がりました。本記事が、お子様を医師へと導くための教育、費用戦略の一助となれば幸いです。

 

医師のアルバイト・転職はMRT

MRTは、医師専門の求人情報サービスです。医師のスポットバイトや定期非常勤などのアルバイト求人・常勤求人を多数掲載しています。給与・診療科・エリアなど、ご希望の条件で求人を検索することが可能です。自身のキャリアに対する目標・理想の働き方に合わせて、求人を探してみましょう。※新規登録不要で検索いただけます。求人応募には会員登録が必要です。

医師の転職(常勤)求人を探す 

医師のアルバイト・スポットバイト求人を探す

<医師アルバイト・転職(常勤)求人はこちら>

医師のアルバイト・スポットバイト求人一覧
医師のアルバイト・バイト(定期非常勤)求人一覧
医師の転職(常勤)求人一覧

<MRTアプリ「MRTWORK」>

「お気に入り機能」「求人閲覧履歴」「地図検索」など、WEBよりも医師アルバイト求人検索が簡単に!
ダウンロードはこちら

<LINEで医師アルバイト・転職(常勤)求人を受け取る>

MRT公式LINEでは最新の医師アルバイト(スポット/定期非常勤)求人と転職(常勤)求人を配信中!
友だち追加はこちら

最新記事

会員登録(無料)ログイン