オンコールの過ごし方とは?待機時の注意点や診療科別・病院別のオンコールの傾向を解説

目次
- 医師のオンコールとは?
- オンコールの過ごし方
- 連絡手段を確保する
- 迅速に病院へアクセスできる距離で待機する
- オンコールの過ごし方で避けること
- 時間が拘束される用事
- 大音量が流れる場所での待機
- アルコール類の摂取
- 医師のオンコールの実態
- 医師のオンコールがある病院は80%以上
- 医師が自発的にオンコールに取り組むケースもある
- 医師の働き方改革におけるオンコール体制の実例
- オンコールの労働時間・賃金の考え方
- オンコール待機時間を勤務間インターバルとするかは医療機関の個別判断
- 病院によっては待機手当の支給がある
- オンコールのアルバイトもおすすめ
- オンコールの負担が少ない病院への転職も検討しよう
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医師には、患者の容体の急変や救急患者の搬送に備えて待機する、オンコールという勤務形態があります。オンコールの待機時間は一般的に労働時間として扱われないことが多いですが、、急な呼び出しに備えていつでも対応できる状態で過ごす必要があります。
本記事では、オンコール中の過ごし方のポイントや注意点を解説します。診療科別、病院の形態別のオンコールの傾向についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
医師のオンコールとは?
オンコールとは、医師が緊急の呼び出しにすぐ対応できるよう待機することです。待機中の時間は一般的に業務時間外になることが多いため、多くの場合、職場に拘束されることなく自由に過ごすことができます。
しかし、自由に過ごせるとはいっても、救急患者の対応などで呼び出しがかかった際は迅速に病院へ向かう必要があります。そのため、オンコールで待機する医師には、病院との連絡手段を確保し、自宅や病院に近い場所で過ごすことが求められます。
なお、オンコールと類似する用語として宿日直があります。宿日直は、通常業務に携わることなく院内で待機することです。ただし、宿日直は回数や賃金計算について法的既定があるのに対し、オンコールには法的既定がありません。オンコールの運用については、病院ごとのルールをしっかり確認しておきましょう。
オンコールの過ごし方
オンコールは勤務時間外になる場合が多いため、待機時間をどのように過ごすかは個人の自由です。しかし、急な呼び出しにも即座に対応できる体制は整えておかなければなりません。
ここでは、オンコールの過ごし方のポイントを解説します。
連絡手段を確保する
1つ目のポイントは病院との連絡手段を確保することです。オンコールは、医師による緊急の医療対応が必要な場合に、常に連絡可能な状態にあることを意味します。
患者の容体は刻一刻と変化するため、以下の点に注意して病院からの連絡に備えておきましょう。
- 連絡手段は複数用意する(スマートフォン、固定電話、パソコンなど)
- スマートフォン・携帯電話のマナーモードは解除する
- 電波状態が良好な場所で待機する
- 入浴時も近くにスマートフォンや携帯電話を置いておく
- 外出する場合はモバイルバッテリーやモバイルルーターを持ち歩く
迅速に病院へアクセスできる距離で待機する
2つ目のポイントは迅速に病院へアクセスできる距離で待機することです。病院から緊急の連絡を受けても、病院にたどり着くまでに時間がかかってしまえば患者の命にかかわります。オンコール中の遠出は避け、自宅や病院の近隣で過ごすことが原則です。
なお、病院によっては「病院まで30分以内に到着できる場所」や「病院から半径5km以内の場所」のようにオンコール時の待機場所にルールを定めている場合もあります。あらかじめルールを確認し、必要に応じて病院の近隣の宿泊施設を利用することも検討しましょう。
オンコールの過ごし方で避けること
オンコールの待機中は、時間が拘束される用事や外部との連絡が遮断される用事などは避けることが大切です。ここでは、オンコール時の過ごし方で避けた方が良いことを解説します。
時間が拘束される用事
オンコール中は時間が拘束される用事を避けるようにしましょう。例えば、ヘアカットや整体マッサージ、自身の病気に関する通院などです。これらの用事は一度始まってしまうと中断が難しく、病院からの連絡に対応できなくなる恐れがあります。
大音量が流れる場所での待機
オンコール中は大音量が流れる場所での待機も避けるようにしましょう。例えば、映画館や劇場、コンサート会場などが挙げられます。自宅待機する際も、大音量での映画鑑賞や音楽鑑賞は避け、スマートフォンや携帯電話の着信音がしっかり聞こえる状態にすることが大切です。
アルコール類の摂取
オンコールの待機時間ではアルコール類の摂取も控えるようにしましょう。飲酒によりアルコールが入った状態では、判断力が低下し、適切な医療行為が行えない可能性があります。
オンコールでは、いつでも患者対応ができるよう自身を律して過ごすことが大切です。
医師のオンコールの実態
オンコールは医師にかかる負担が大きい一方で、患者の命を守るという観点から病院では広く一般的に実施されています。
ここでは、過去に実施されたアンケート調査を基に、病院におけるオンコールの実態を見ていきましょう。
医師のオンコールがある病院は80%以上
医師のオンコールの実施状況については、一般社団法人日本病院会が2019年に発表した「勤務医不足と医師の働き方に関するアンケート調査報告書」を参考にご紹介します。(※)なお、同調査は日本病院会会員の病院のうち、回答が得られた413病院のアンケート結果を集計したものです。
同調査によると、「オンコール体制をとっているか」という質問に対し「はい」と回答した病院は84.0%に上りました。一方で「いいえ」と回答した病院は14.6%です。このことからも、日本の病院では広く医師のオンコールが実施されていることが分かります。
https://www.hospital.or.jp/pdf/06_20191126_01.pdf
医師が自発的にオンコールに取り組むケースもある
同調査では医師のオンコールが「病院の指示」か、もしくは「医師の自発的な取り組み」か、という質問も実施しています。その結果、オンコールが「病院の指示」と回答した病院は73.8%である一方、「医師の自発的な取り組み」と回答した病院も20.0%あることが分かりました。(※)つまり、出勤義務がない休日であっても、自主的に呼び出しに備えている医師が一定数いるということです。
オンコールの待機時間を勤務時間とするか否かは慎重に判断しなければならない問題であり、過去には病院の指示がないオンコール体制が労働時間として認められなかった判例もあります。(※)労使トラブルを回避するためにも、医師は病院側のオンコールに対する認識をしっかり確認しておくことが大切です。
※参考:厚生労働省. 「労働基準法上の労働時間法制について」p15. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000178015.pdf
医師の働き方改革におけるオンコール体制の実例
2024年4月より「医師の働き方改革」が開始され、医療機関や診療科ごとに様々な取り組みがされてきました。ここでは、医師の働き方改革におけるオンコール体制の取り組み実例をご紹介します。
日本消化器外科学会雑誌の特別報告によると、某大学病院の消化器外科、移植外科にて2019年の秋より、日常診療におけるチーム制(消化管,肝胆膵・移植の2チームを編成)を導入した所、共働き世帯や子育て中の外科医などは、チーム制の導入により、家族の行事等の際には平日でも休むことが容易となり、チーム内にも多様性のある働き方を許容する精神が芽生えたとの報告があります。(※)
また、チーム制導入に合わせて、夜間・休日の診療はオンコール及び当番制とし、病棟管理、急患手術は消化管外科当番2名、肝胆膵・移植外科当番2名の合計4名の中で行った所、当番以外のメンバーは夜間の呼び出しはなく、休日も非当番日は完全にオフのため自由に過ごせる時間を持つことが出来、プライベートとの両立も可能となった。との報告があります。(※)
従来は休日の日中も医師全員が病棟に集まることが日常であり、完全なオフがなかったことを考えると、大きな進歩と言えます。
一方で、自宅での待機中は拘束時間であるにも関わらず手当は出ないという部分に関しては、オンコールの頻度などによっても扱いが変わってくるため、手当を出すべきかどうか議論が分かれており、残された課題の一つとされています。(※)
※上記の試みは、大学病院の消化器外科、移植外科の実践例であり、一般病院の消化器外科と比較し人数の違いもあるため、そのままの形では参考にならない可能性がある点に注意が必要です。
このように、病院ごとに様々な取り組みがされている為、ご自身の勤務先の取り組みの参考にしてみましょう。
オンコールの労働時間・賃金の考え方
オンコールは法的なルールのもと実施される制度ではなく、必ずしも医師の負担に見合った賃金や報酬が得られるとは限りません。労使間のトラブルを回避するためにも、オンコールにおける労働時間や賃金の考え方を押さえておきましょう。
オンコール待機時間を勤務間インターバルとするかは医療機関の個別判断
厚生労働省医政局医事課「医師の働き方改革に関するQ&A」によると、オンコール待機時間が労働時間に該当するか否かは、オンコール待機中に求められる義務態様が、医療機関ごと、診療科ごとに様々であることから、
- 呼び出しの頻度がどの程度か
- 呼び出された場合にどの程度迅速に病院に到着することが義務付けられているか
- 呼び出しに備えてオンコール待機中の活動がどの程度制限されているか
等を踏まえ、オンコール待機時間全体について、労働から離れることが保障されているかどうかによって、個別具体的に判断されることに留意することが重要とされています。
そのうえで、オンコール待機時間が労働時間に該当しない場合は、当該時間を勤務間インターバルや代償休息を確保する時間として充てることができます。(※)
病院によっては待機手当の支給がある
厚生労働省の方針では、オンコールの負担感への配慮を検討するよう推奨はしていますが、手当支給の義務付けなどは明言されていません。つまり、医師のオンコールを賃金計算に含めるか否かは、各病院の判断に委ねられています。
先述した、一般社団法人日本病院会「勤務医不足と医師の働き方に関するアンケート調査報告書」によると、医師のオンコールに対して、「手当は支払っていない」と回答した病院は48.6%です。(※)
一方で、オンコールに対して「一定の待機手当を支払っている」と回答した病院も33.6%あり、全体の1/3以上の病院ではオンコールに対して賃金の支払いを実施していることが分かりました。オンコールを負担に感じているのであれば、オンコールに対して適切な手当が支払われる病院への転職を検討してみるのも良いでしょう。
オンコールのアルバイトもおすすめ
オンコールの労働時間・賃金の考え方でも述べたとおり、オンコールは勤務先によって扱い方が様々であり、勤務先でのオンコール待機では給与が出ないパターンもあります。
一方アルバイトであれば、比較的負担の少ないオンコール待機でも給与支給がある点が大きな違いです。
勤務先では敬遠されがちなオンコール待機もアルバイトだと人気がある傾向があるのも、対応数と給与のバランスが取れているからかもしれません。スキマ時間でのアルバイトとしてオンコール待機を検討いただくのもおすすめです。
オンコールの負担が少ない病院への転職も検討しよう
オンコールは法律的なルールのもとで行われる制度ではなく、あくまで各病院や医師個人が独自の判断で実施しているものです。そこには患者の命を優先するという医療従事者としての使命があることは事実ですが、近年の働き方改革への関心とは相反する勤務形態であることは否めません。
なお、オンコールは診療科や病院の形態によって医師の負担感が異なります。また、病院によってはオンコールに対して手当を支給していないケースも珍しくありません。オンコールを負担に感じているのであれば、自身にとって負担が少ないと感じられる病院への転職も検討してみましょう。
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