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タスクシフトとは?導入された背景やメリット・デメリットを紹介

更新日: 2025/05/22
タスクシフトとは?導入された背景やメリット・デメリットを紹介
タスクシフトは対象の医療従事者の同意のもと、これまでの業務を他の職種に移管することです。医師の働き改革が求められていることもあり導入が進んでいます。タスクシフトの概要や導入された背景、メリット・デメリットなどをご紹介します。

近年医療現場で推進されている取り組みの一つがタスクシフトです。タスクシフトは、医師が行っている業務を他の職種に移管することを指しています。タスクシフトの導入にはどのような背景があり、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

本記事では、タスクシフトの概要や導入された背景、メリット・デメリットなどを解説します。タスクシフトへの理解を深め、適切な対応を行っていきましょう。

 

タスクシフトとは?

タスクシフトは、対象となる医療従事者の同意のもと、これまで医師が行ってきた業務を、看護師や薬剤師など他の職種に移管することを指します。
医師が担当している業務には、医師の資格が必須のものと、技術や資格を有していれば他の医療従事者でも対応できるものがあります。そのうち、後者の業務を移管し、医師の業務負担を減らすことが、タスクシフトの目的です。

タスクシフトが導入された経緯

2015年に特定行為に係る看護師の研修制度が制定され、特定行為研修を修了した看護師は、医師の指示下で以下を始めとした38行為を行えるようになりました。(※)

  • 人工呼吸器からの離脱
  • 気管カニューレの交換
  • 心嚢・胸腔・腹腔・創部ドレーンの抜去
  • 胃ろうカテーテル・腸ろうカテーテル・胃ろうボタンの交換
  • 感染徴候がある者への薬剤の臨時の投与
  • インスリン投与量の調整

2017年に政府が医師の働き方改革の実行を決定し、同年から議論が勧められてきました。2019年には「医師の働き方改革を進めるためのタスクシフト/シェアの推進に関する検討会」でタスクシフト、タスクシェアで対応可能な医療行為が検討され、約300の医療行為が該当しています。該当する医療行為は、大きく分けて以下の3つです。(※)

  • 現行制度で対応できるもの
  • 対応できるかどうか不明確なもの
  • 対応にあたって法改正が必要なもの

2021年に法改正が行われ、診療放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技師・救命救急士も、対応できる業務範囲が拡大しています。(※)

※参考:厚生労働省. 「特定行為とは」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000050325.html
※参考:厚生労働省. 「医師の働き方改革を進めるための タスク・シフト/シェアの推進に関する検討会 議論の整理」.https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000737079.pdf
※参考:厚生労働省. 「医師の働き方改革について」.https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000818136.pdf

タスクシェアとの違い

タスクシフトと混同されやすいのがタスクシェアです。
タスクシフトは、医師が行っていた業務を他の職種に移管しますが、タスクシェアは医師が行っていた業務を他の職種と共同で行うことを指しています。

 

タスクシフトが導入された背景

タスクシフトが導入された背景には、医師の働き改革が求められていることが挙げられます。

2018年、一般労働者の残業時間の上限を定める「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布されました。(※)その後、2019年より働き方改革が施行されていますが、医師は導入までに5年の猶予が与えられた職種の一つです。

2024年4月に導入された医師の働き方改革に伴い、医師の労働時間に上限が設定されました。これにより、医療現場では医師の負担を軽減するための施策として、タスクシフトやタスクシェアの導入が進められています。今後も、これらの取り組みを通じて、持続可能な医療提供体制の確立が求められるでしょう。

※参考:厚生労働省. 「『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律』について」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

タスクシフトのメリット

タスクシフトの導入には、医師だけでなくその他の医療従事者や患者さんも享受できるメリットがあります。ここから、タスクシフトの3つのメリットをみてみましょう。

1. 人手不足を解消できる

1つ目のメリットは人手不足の解消です。

診療科目にもよりますが、医師の人手不足への対応は喫緊の課題です。タスクシフトを導入すれば、一人のスタッフがより多くの業務に対応できるようになるため、医師の人手不足の解消につながります。

2. 労働時間を削減できる

2つ目のメリットは労働時間の削減です。

それぞれの専門性を活かしてより多くの業務を担当できれば、業務の効率化が図れるため、労働時間の削減につながります。業務負担が分散され、医師の長時間労働が是正されるので、働き方改革がスムーズに推進できるようになるでしょう。

3. 質の高い医療を提供できる

3つ目のメリットは質の高い医療の提供です。

タスクシフトを導入すれば、医師を含めた医療従事者がより強力な連携を取りながら業務を進められ、効率よく患者さんに必要な治療が行えます。より質の高いチーム医療が提供できるようになることも、タスクシフトのメリットです。

 

タスクシフトのデメリット

メリットの多いタスクシフトですが、デメリットも存在します。医師がこれまで行っていた業務を移管する先もまた、業務負担の多さや人材不足の問題を抱えているのが現状です。タスクシフトで医師の負担を減らせたとしても、他の職種の負担が大きくなってしまえば、労働環境の悪化につながります。

例えば、看護師は特定行為研修を受けることで、医師に代わって38の医療行為が行えますが、看護師は医師に匹敵するほど業務負担が大きくなってしまいます。無理に導入して看護師の業務負担が大きくなれば、離職者が出てくる可能性も考えられるでしょう。

また、他の医療従事者への指導や育成が一貫していなければ、医療品質を保てない可能性も出てきます。どのように安全性を確保するのか、スタッフ一人ひとりに危機意識を持たせるのかを検討する必要もあるでしょう。

 

タスクシフトの可能性がある職種

タスクシフトの可能性がある代表的な職種を8つご紹介します。それぞれどのような業務を行う可能性があるのか見てみましょう。

看護師

看護師は、タスクシフトの中でも医師の負担を大きく軽減できる効果が期待されている職種です。前述したとおり、特定行為研修を修了した看護師は、医師が行っている38の医療行為を行えるようになりました。
また、それ以外にも以下のような業務は、看護師へのタスクシフトが推奨されています。

  • 特定の患者に対し、事前に取り決めたプロトコールに沿って、医師の指示の下、薬剤の投与や採血、検査を行う
  • 緊急外来において、医師が示した範囲内で、事前の指示やプロトコールに沿って血液検査オーダー入力や採血、検査を行う
  • 予診および検査説明を実施する
  • 同意書を受け取る
  • 入院にあたってのオリエンテーションを行う
  • 患者の移送や誘導を行う

しかしながら、特定行為研修を受けた看護師の養成は依然として十分に進んでいないのが現状です。

特定行為研修は250時間以上の研修を受講する必要があり、実施できる施設が限られるなど、研修を受けるまでのハードルが高い状況が続いています。当初、2025年までに10万人の研修修了を目標としていましたが、2024年度時点でも目標達成にはまだ課題が残されています。今後は、研修環境の整備や受講者の支援を強化し、看護師のスキル向上を図ることが重要となるでしょう。(※)

※参考:厚生労働省「看護師の特定行為研修の概要について」https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/000257221.pdf

助産師

タスクシフトにおいて助産師は、助産師外来を担当し、妊婦健診や保健指導を担当することが推進されています。また、院内助産を設置し、助産師を中心とした分娩管理を実施するのも、タスクシフトが推進されている業務です。

ただし、全てのお産に対して、上記のタスクシフトが推進されているわけではありません。晩婚化や晩産化が進み、高リスクの出産率は高まっています。そのため、比較的低リスクの出産を助産師が担当し、リスクの高い出産は医師が対応するよう業務の移管が進められています。

薬剤師

病院薬剤師に推進されている業務は複数ありますが、なかでも服薬指導の実施はニーズの高い業務です。タスクシフトは基本医師の業務負担を減らすことを目的としていますが、長時間労働や人材不足の問題を抱える看護師の業務負担軽減も目的の一つになっています。

薬剤師に関しては、看護師がこれまで行っていた服薬指導や残薬指導を薬剤師にタスクシフトすることで、看護師の業務負担の見直しも期待されています。服薬指導以外には、薬物療法全般の説明、薬の効果や副作用も薬剤師が把握し、専門性を活かした医師への処方提案や処方見直し、病棟や手術室での薬剤管理などが挙げられます。

薬の調剤を行うだけでなく、正しい知識を基に処方提案や見直しを行うことで、医師の労働時間削減だけでなく、安全性の高い投薬の実現に期待が寄せられているのです。

診療放射線技師

診療放射線技師は、2021年の法改正により、タスクシフトが可能となった職種の一つです。診療放射線技師を含め、後述する臨床検査技師・臨床工学技士は、静脈路の確保とそれに伴う薬剤の投与・抜針・止血が可能となりました。

また、診療放射線技師のみが対応できる業務としては、画像下治療における動脈路からの造影剤注入、上部消化器官の造営検査時における鼻腔カテーテルからの造影剤注入などがあります。

臨床検査技師

臨床検査技師も、2021年の法改正でタスクシフトの対象となった職種です。

臨床検査技師は、静脈路の確保とそれに伴う薬剤の投与・抜針・止血に加え、直腸肛門機能検査や成分採血装置を接続および操作、超音波検査時における造影剤を注入などが可能となっています。

臨床工学技士

臨床工学技士も、2021年の法改正により、タスクシフトの可能性がある職種と位置付けられました。

臨床工学技士は、静脈路の確保とそれに伴う薬剤の投与・抜針・止血の他に、血液浄化を行う際の動脈表在化や静脈への穿刺、内視鏡外科手術における内視鏡ビデオカメラの保持・操作などの業務対応が推進されています。

救急救命士

救急救命士も、2021年の法改正で対応業務範囲が拡大された職種です。

改正前は、救急救命士が救急救命措置を実施できるのは、医療機関に搬送するまでと定められていました。しかし法改正により、医療機関到着後の救急外来において必要な救急救命措置ができるようになっています。この改正により、救急救命士を配置する病院や診療所も出てきました。

医師事務作業補助者

タスクシフトで医師事務作業補助者に推進されているのは、診断書・意見書のドラフト作成、電子カルテ・検査オーダーの入力代行、予診や検査の説明、同意書の受け取りなどの業務です。

これらの業務に医師事務作業補助者が対応すれば、医師の業務負担軽減はもちろん、タスクシフト導入によって、より専門性の高い業務を行わなければならないその他の有資格者の業務負担改善にもつながります。

 

タスクシフトが進んだ医療機関で働こう

2024年から適用された医師の働き方改革を実現するためには、タスクシフトで医師の行っている業務を他の職種にシフトし、業務負担を調整する必要があります。タスクシフトできる業務を把握し、他の職種の業務負担を考慮した上で、業務移管に取り組むことが大切です。

厚生労働省が推進しているタスクシフトですが、医療機関によって取り組み度合いには違いがあります。タスクシフトが進んだ労働環境を希望する場合は、転職を考えるのも一つの方法です。

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