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嘱託医とは?常勤医・非常勤医との違いから、給与・働き方まで徹底比較

更新日: 2026/01/23
嘱託医とは?常勤医・非常勤医との違いから、給与・働き方まで徹底比較
目次

「嘱託医」という言葉は耳にするものの、その定義や実際の働き方、給与水準が常勤医や非常勤医とどう違うのか、明確に理解されている方は意外と少ないかもしれません。特に、定年を迎えられたベテランの先生方や、ワークライフバランスを重視する若手の先生方にとって、「嘱託医という働き方を正しく理解すること」は、今後のキャリアを戦略的に描くうえで欠かせないステップです。

本記事では「嘱託医とは何か」について、法的な位置づけから実際の勤務内容、そして気になる給与相場まで、厚生労働省などの信頼性の高い公的データをもとに、わかりやすく解説します。

 

嘱託医とは?

医療現場における「嘱託医」の正体

嘱託医とは、医療機関・企業・介護施設・行政などから委託を受け、一定期間または特定業務を担当する医師を指します。「嘱託医」という言葉は、医療法や労働基準法などの法律で明確に定義されているわけではありません。これは、医療機関が独自に定めている「雇用形態の呼び名の一つ」となります。

一般的に「嘱託医」と呼ばれる医師は、以下のようなケースに該当することが多くあります。

定年後の再雇用

医師として長年勤め上げた医療機関で定年を迎えた後、引き続きその病院と新たな労働契約を結び、雇用形態が「常勤」から「嘱託」へと切り替わるケースです。この再雇用の形は、これまで築いてきた信頼関係や職場環境を維持しながら、勤務負担を軽減しつつ専門性を活かした診療を継続できる点で、多くの医師に選ばれています。

特に、管理職や当直業務から離れたいと考える先生方にとって、嘱託という形は、無理なく医療現場に関わり続けるための有効な選択肢となります。

特定業務への従事

嘱託医には、健康診断や産業医業務、特定の専門外来など、限られた職務に特化して雇用されるケースもあります。このような働き方は、勤務時間や曜日が比較的柔軟であることが多く、非常勤に近いスタイルでの勤務となる場合も多くあります。

専門性を活かしながら、フルタイム勤務を避けたい方や、複数の医療機関での兼務を希望される方にとって、非常に実用的な働き方と言えるでしょう。

嘱託医の待遇は契約内容による

ここで押さえておきたいのは、「嘱託」という呼称は契約上の名称に過ぎず、実態としては「期間の定めのある雇用契約を結んだ非正規雇用の労働者」であることが多いという点です。
労働基準法上の「労働者」としての権利は守られますが、待遇は契約内容によって大きく異なるため、注意が必要です。

常勤医・非常勤医との違い

嘱託医の立ち位置をより明確にするために、「常勤医」「非常勤医」との違いを以下の表で整理しました。

項目 常勤医(正社員) 非常勤医(パート・アルバイト) 嘱託医(再雇用・専門職)
雇用期間 無期契約 有期契約が多い 有期契約が多い
労働時間 フルタイム(週32時間以上) 時間・曜日指定が多い 契約内容による(幅広い)
給与形態 月給制(賞与・退職金あり) 時給・日給制が多い 月給制が多いが減額傾向
業務内容 診療・教育・研究・管理業務 契約範囲内の業務 専門分野や特定業務に特化
法的位置づけ 正社員 非正規(パート) 非正規(再雇用が主流)

状況や先生の専門性によって左右されます。契約書の内容は一字一句、必ずご自身で確認することが重要です。
また、定年後の再雇用では、給与が定年前の50%~70%程度に減額されるケースが一般的です。

 

嘱託医の給与と待遇

嘱託医の年収水準と定年後の再雇用における給与実態

嘱託医の給与に関する公的な統計は限定的ですが、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、定年後に再雇用された労働者の賃金は、定年前の50%~70%程度に下がる傾向があり、これは医師にも当てはまると考えられます。

雇用形態 平均年収(参考値) 嘱託医の想定年収
常勤医 1,500万~2,000万円超 750万~1,400万円程度

※専門分野や勤務地、勤務時間によって大きく変動します。

賞与・退職金の有無と社会保険・福利厚生の注意点

嘱託医は、通常給与以外の賞与・退職金や、社会保険・福利厚生などの待遇についても、常勤医・非常勤医とは異なります。

賞与(ボーナス)

嘱託医としての勤務では、賞与の支給がない、もしくは寸志程度にとどまるケースが一般的です。これは、常勤医時代と比べて雇用形態が変わることによる待遇の差であり、病院ごとの規定によって異なります。

契約を結ぶ際には、賞与の有無だけでなく、支給される場合の算定基準や時期についても、事前にしっかり確認しておくことが重要です。

退職金

定年退職時には、これまでの勤務に対する退職金が支給されるのが一般的ですが、嘱託期間中の勤務に対しては、退職金が支給されないケースがほとんどです。これは、嘱託契約が有期雇用であることや、再雇用の位置づけが異なることに起因します。

そのため、嘱託医としての勤務を長期的に考えている場合は、退職金制度の有無や代替的な手当の有無についても確認しておくと安心です。

社会保険(健康保険・厚生年金)

嘱託医としての勤務時間が、常勤医の75%以上に該当する場合は、社会保険への加入が義務付けられます。これは、医師としての勤務形態が変わっても、一定の労働時間を超える場合には、健康保険や厚生年金の対象となるという制度上の取り扱いです。

ただし、給与が減額されることにより、保険料の負担額や将来受け取る年金額にも影響が出る可能性があるため、長期的な視点での確認が必要です。

福利厚生

住宅手当や家族手当など、常勤医時代に受けていた福利厚生の一部は、嘱託契約に切り替わることで減額されたり、廃止されたりすることがあります。

一方で、医師賠償責任保険の加入や、学会参加費用の補助など、医師としての専門活動を支える制度は、嘱託医にも継続して適用されるケースが多く見られます。

契約前には、どの福利厚生が継続されるのか、また新たに適用される制度があるかどうかを、病院側と丁寧に確認しておくことが大切です。

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の結果の概況」
URL: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/dl/13.pdf

医師のキャリア戦略:嘱託医という働き方をどう選択し活かすか

嘱託医のメリット・デメリット

嘱託医の働き方は、定年後やライフステージの変化に合わせて選ばれるケースが増えています。

メリットとしては、長年培った専門性を維持しながら地域医療に貢献できる点が挙げられます。特に、慢性疾患や高齢者医療に強みを持つ医師は、地域包括ケアの要として重宝されます。また、勤務負担が軽減されることで、ワークライフバランスの改善や健康維持にもつながります。

一方、デメリットとしては、給与水準が常勤時より下がる傾向があり、雇用契約が年度更新制であるため、安定性に不安を感じる医師も少なくありません。さらに、キャリアアップや学術活動の機会が減ることで、専門医資格の更新やスキル維持に課題が生じる場合もあります。

専門医制度の改定と嘱託医の新たな役割

2018年度に導入された新専門医制度では、嘱託医が若手医師の教育・指導役として再評価されています。

特に、地域医療を担う中小病院では、嘱託医が診療の質を担保するキーパーソンとなり、医療安全やチーム医療の推進に不可欠な存在です。都市部で専門医が集中する一方、地方では嘱託医の確保が医療提供体制の維持に直結しており、「地域医療の守り手」としての役割が強まっています。

嘱託医と転職・アルバイトどっちがいい?キャリア選択肢の比較

嘱託医を検討する際、同時に比較されやすいのは、常勤として転職するか、非常勤医としてスポットアルバイトや定期非常勤アルバイトを行うかです。それぞれのメリット・デメリットについて表にまとめました。

選択肢 メリット デメリット おすすめの先生像
嘱託医として継続 負担減、環境維持 収入減、変化少 慣れた職場で穏やかに働きたい先生
他院へ転職(常勤) 年収アップ、挑戦 適応ストレス キャリアアップを目指す先生
アルバイト(非常勤) 自由度高、高時給 安定性低 自由な働き方を重視する先生

ただし近年は、医師の働き方の多様化により、嘱託医+アルバイトのハイブリッド型が増加傾向にあります。

厚生労働省が実施した「医師の勤務環境把握に関する研究」(2023年度報告)によると、病院勤務医の兼業状況は年齢層が高くなるほど増加傾向にあり、特に50代以上では、常勤勤務に加えて非常勤やアルバイトを組み合わせるケースが顕著にみられています。

また、調査対象医師の約3割が「兼業を行っている」と回答しており、常勤勤務+アルバイトの併用・嘱託勤務+アルバイトの併用など、ハイブリッドな働き方が広がっている背景を示しています。

嘱託医+アルバイトの例は、嘱託医として週3日勤務し、残りの日に高時給のスポットアルバイトを組み合わせるなどが挙げられます。収入減を補いながら柔軟な働き方を実現できるため、嘱託医を検討する際は、選択肢の一つとして考えてみることもおすすめです。

嘱託医の時間外労働と健康

嘱託医の労働時間|常勤医と比較した変化と最新規制

2024年4月から時間外労働の上限規制(年960時間など)が導入され、病院側は体制整備を進めています。嘱託医は当直・オンコール業務から外れることが多く、時間外労働は一般的に少なめです。

雇用形態 平均労働時間 時間外労働の頻度
常勤医 約50〜60時間/週 高頻度
嘱託医 20〜40時間/週 低頻度

ただし、複数施設で働く場合は労働時間の合算管理が必要です。
医療機関側も嘱託医に過度な負担をかけない体制づくりが求められているため、1箇所で働く場合は問題ない場合が多いですが、複数施設の場合は労働時間を自身で把握し、管理していく必要があります。

地域医療における嘱託医の「過重労働」リスクと健康確保措置

地方では「この先生がいないと医療が回らない」状況もあり、契約外の業務を求められることも多々あります。嘱託医を選択される際は、契約内容の確認と、自身の健康管理も意識して働くことがおすすめです。

健康確保措置の例

◆面接指導

長時間労働が続く医師に対しては、健康管理の一環として「面接指導」が推奨されています。これは、一定の時間外労働を超えた場合に、医師本人の健康状態や勤務状況について、産業医などの専門職による面談を行う制度です。

嘱託医であっても、勤務時間が長くなる場合には対象となるため、体調や勤務負担に不安がある際は、遠慮なく申し出ることが大切です。

◆連続勤務時間制限(28時間)

医師の健康を守るため、連続して勤務できる時間には上限が設けられています。現在の指針では、連続勤務は最大28時間までとされており、これを超える勤務は原則として認められていません。

特に当直や緊急対応を含む勤務では、知らず知らずのうちに長時間労働となることもあるため、勤務スケジュールの管理には注意が必要です。

◆勤務間インターバル(9時間または18時間)

勤務終了から次の勤務開始までの間隔を一定時間空ける「勤務間インターバル制度」も、医師の健康確保において重要な取り組みです。

通常は9時間以上、長時間勤務後は18時間以上の休息を確保することが推奨されており、これにより睡眠不足や疲労の蓄積を防ぐことができます。

嘱託医として働く場合でも、これらのインターバルが守られているかどうかは、契約内容と実際の勤務体制の両面から確認しておくことがおすすめです。

厚生労働省「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(令和5年10月)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35532.html

嘱託医の求人動向

嘱託医の求人は以下の2パターンがほとんどです。

①現職での定年後再雇用

定年後再雇用は、勤務してきた医療機関で定年を迎えた後、引き続きその病院と新たな契約を結び、嘱託医として再雇用されるケースです。この形態は、職場の環境や人間関係がすでに構築されているため、スムーズに業務を継続できるというメリットがあります。

また、病院側としても、先生の豊富な経験や専門性を引き続き活かせるため、診療体制の安定化に寄与する重要な役割を担っています。

勤務内容は、定年前よりも負担が軽減されることが多く、当直や管理業務から離れ、専門外来や病棟業務に集中するスタイルが一般的です。

②外部医療機関への転職(嘱託としての採用)

もう一つは、定年後に新たな医療機関へ転職し、嘱託医として採用されるケースです。特定の専門分野(例:健診業務、産業医、透析管理など)において高いニーズがあり、これまでの経験やスキルを求める医療機関が積極的に採用を行っています。

この働き方は、現職に縛られず、より柔軟な勤務条件や高時給の待遇を得られる可能性がある一方で、新しい環境への適応や人間関係の構築が必要になる場合もあります。

特に、週数回の勤務や短時間勤務など、ライフスタイルに合わせた働き方を希望する方にとっては、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。外部医療機関への転職(嘱託としての採用)は、特に健診・産業医・透析など専門性の高い分野でニーズが高まっています。

また、嘱託医に求められる役割や給与・待遇は医療機関によっても異なるため、以下を把握した上で、転職先を探すことがおすすめです。

病院の種類 嘱託医に求める役割 給与・待遇傾向
大学病院 指導・教育・専門外来 給与はやや低め
中小病院 診療体制の維持 フルタイム嘱託のニーズ高
健診センター 健診・専門外来 高時給のケースもあり

嘱託医の契約時に確認すべき7つの事項

①契約期間と更新条件

嘱託医の契約は、一般的に1年単位などの有期契約で締結されることが多く、契約期間の終了時には更新の可否が検討されます。更新の条件は、病院の経営状況や診療科の人員配置、先生の専門性や勤務実績など、複数の要素によって左右されます。

そのため、契約書には「自動更新の有無」や「更新しない場合の通知期限」などが明記されているかを必ず確認し、将来的な見通しを立てやすくしておくことが重要です。

②業務内容の範囲(当直・オンコール含むか)

嘱託医としての業務内容は、契約によって大きく異なります。外来診療や病棟管理に加え、当直やオンコール対応が含まれる場合もありますが、これらの業務は先生の体力やライフスタイルに大きく影響するため、契約前に明確にしておく必要があります。

特に「当直なし」と思っていたのに、契約書に含まれていたというケースもあるため、業務範囲は一項目ずつ丁寧に確認することが大切です。

③給与の内訳と手当の有無

嘱託医の給与は、基本給に加えて各種手当(通勤手当、時間外手当、研究費補助など)が含まれる場合があります。しかし、常勤医時代と比べて手当の種類や金額が減ることも多く、契約書に記載された「支給項目」と「算定方法」を事前に把握しておくことが大切です。

また、時間外勤務が発生した場合の手当の有無や、支給基準についても確認しておくと安心です。

④休日・休暇制度

嘱託医にも年次有給休暇は法律上認められていますが、その日数や取得方法は病院の規定によって異なります。夏季休暇や年末年始休暇などの特別休暇があるかどうかも、契約時に確認しておくと、年間のスケジュールが立てやすくなります。

また、休暇取得の申請方法や、他の医師との調整が必要かどうかも、事前に把握しておくとスムーズです。

⑤社会保険・福利厚生の内容

週の労働時間が常勤の75%以上であれば、健康保険や厚生年金への加入が義務付けられます。ただし、給与が減額されることで保険料や将来の年金額にも影響が出るため、長期的な視点での確認が必要です。

福利厚生については、住宅手当や家族手当が減額・廃止される一方で、医師賠償責任保険や学会参加費補助など、専門職としての活動を支える制度は継続されることが多くあります。

⑥学会・研究活動の支援

嘱託医であっても、学会への参加や研究活動を継続される先生は多くいらっしゃいます。そのため、学会参加費や出張費の補助があるかどうかは、契約時に確認しておくと安心です。

また、研究費の支給や、院内での研究活動への関与が可能かどうかも、先生の専門性やキャリア設計に大きく関わるポイントとなります。

⑦解雇・雇止めの条件

嘱託契約は有期雇用であるため、契約期間満了による「雇止め」が発生する可能性があります。
また、契約期間中であっても、病院側の都合や勤務態度などを理由に「解雇」が行われる場合もあります。

これらの条件が契約書に明記されているか、またその判断基準が曖昧でないかを確認することで、予期せぬトラブルを防ぐことができます。

医師専門の人材サービスの活用がおすすめ

嘱託医の契約時に確認すべきことは多くあり、さらに交渉が必要となると、自身だけでは不安に思うことも多くあると思います。そんなとき活用いただきたいのが、医師専門の人材サービスです。

MRTでは、医師キャリア支援のプロが先生のご要望をしっかりヒアリングし、先生に代わって医療機関との交渉を行います。勤務日数や給与、雇用期間、福利厚生など、嘱託医契約で見落としがちなポイントも丁寧に確認し、納得感のある働き方を実現します。

さらにMRTでは、非常勤やアルバイトとの組み合わせによる「ハイブリッド勤務」など、柔軟な働き方の提案も行っています。
嘱託医としての勤務を検討されている先生は、ぜひ一度ご相談ください。(完全無料です)

嘱託医という働き方を、セカンドキャリアの「武器」にするために

本記事では、「嘱託医」の定義から、給与水準、常勤医との違い、そしてキャリア戦略としての活かし方まで、多角的に解説しました。

嘱託医という働き方は、単に「定年後の穏やかな勤務」という枠に収まるものではありません。それは、長年の経験と知識を活かしつつ、自身の健康とペースを大切にしながら、地域医療や後進の指導に貢献し続けることができる、非常に柔軟性が高く、価値あるキャリアパスであるとMRTは考えています。

  • 長年の激務から解放され、ご自身の健康を最優先したい
  • 慣れ親しんだ病院で、必要な診療業務だけを続けたい
  • 嘱託医としての安定した基盤を持ちつつ、アルバイトで収入を補いたい

このような多様なニーズをお持ちの先生方にとって、嘱託医は最良の選択肢の一つとなります。

もし、嘱託医としての契約内容にご不安がある場合や、「再雇用として現職に残るべきか、それとも外部で働くべきか」というキャリアの岐路に立たされている場合は、ぜひ一度、MRTへご相談ください。

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