医師免許には年齢による失効などがないため、一度取得すれば生涯医師を続けられます。定年退職の年齢は医療機関により異なり、定年制度がある場合は他の医療機関での再就職や非常勤医といった働き方が可能です。定年後の医師の働き方や再就職先を解説します。
医師の定年年齢は勤め先により異なります。医師免許には期限がないため生涯現役で働くことも可能です。
本記事では医療機関別の医師の定年年齢の目安と、定年後の再就職の問題点、おすすめの再就職先を解説します。
専門医資格は5年ごとに更新が必要ですが、医師国家試験に合格後取得できる医師免許は更新の必要がなく年齢よる失効もありません。
つまり医師の場合、一度医師免許を取得すれば生涯現役を続けることが可能です。実際、日野原重明先生を筆頭に、100歳を超えても現役で活躍する医師は少なくありません。
しかし勤務先によっては医師の定年年齢が定められており、働きたくても定年退職が必要になるケースもあるため事前に確認が必要です。
国や地方自治体が運営する公立病院などで働く医師は、公務員として雇用されています。公務員は国家公務員法などの法律を根拠に定年年齢が定められているため、本人が働きたくても同一の機関で正規雇用として働き続けることはできません。
現時点では、「65歳」または「60歳定年+5年間の継続雇用」としているケースが多いです。なお公務員の場合、法改正により定年年齢が変更されることもあるため最新の動向も確認が必要です。
国公立病院で働く医師は定年年齢前に民間医療機関に再就職するなどして、働き続けることが多いでしょう。
民間病院の場合、それぞれの病院の就業規則により定年年齢が異なります。一般的には60~65歳を定年としているケースが多いものの、明確な基準を定めていないこともあるでしょう。
また医院長などの役職者は定年制度に該当しないものとして、生涯現役で働けるケースがあります。他にも定年後は有期雇用の嘱託医として、同じ病院で働ける場合もあります。
自営業でクリニックを開業している場合、定年制度は該当しないため働き続ける限り生涯現役を貫くことが可能です。
また体力的に診察が難しくなれば、他の医師を雇い患者対応はまかせて、自分は経営の立場で現役を続けることもできます。
まとめると、定年後の医師の働き方には以下の4つの方法が考えられます。
継続雇用の場合、現在勤務する医療機関の定年後再雇用制度の確認が必要です。なお定年後再雇用では、定年前の給与水準よりも下がることが多い点に注意が必要です。
その点、早めに民間病院などに再就職すれば、安定した給与を得ながら働くことも可能です。しかし雇用条件が常勤であると体力的な負担が大きい可能性があります。
自分でクリニックを開業すれば勤務医以上の収入が期待でき、働き方も自由に決定できます。ただし開業費用の捻出や物件探し、スタッフの雇用など開業までに必要な手続きには体力も必要であるため、早めに行動に移す必要があるでしょう。
医療機関で非常勤医(アルバイト)として働く方法も挙げられます。非常勤の場合、勤務日数や曜日を自由に選べ肉体的に負担の少ない仕事も多くあります。医師の場合、アルバイトでも時給は1万円程度のため、勤務日数次第では十分な収入を得られる点もメリットです。
医師の人数は地域差が大きく、また少子高齢化の影響もあり、医療を必要とする人が増える一方で、提供できる立場の人は減少すると予想されます。そのため医師の場合、定年後でも働いてほしいと考える医療機関は少なくありません。
医師の人数は都道府県により偏りがあります。厚生労働省の調査より、人口10万人あたりの医師数が少ない都道府県を順に挙げると、埼玉県、茨城県、新潟県となっています。また少子高齢化が今後も続けば医療を必要とする人は増える一方でしょう。(※)
以上のように医師が必要であるのに不足している影響もあり、60~65歳以上でも応募できる求人が増えています。
※出典:厚生労働省.「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/20/index.html
医師の場合、65歳以上でも現役を続ける人が多いことも働きやすさの理由の一つです。また現場経験は若手医師よりベテラン医師のほうが豊富です。
知識や経験を活かせる職業だからこそ、医師の場合、65歳以上でも働ける環境が整っています。
定年後の再就職では、現役時と比べ体力などの衰えも感じやすいでしょう。また再就職せずに年金や退職金のみで生活ができるかも確認が必要です。定年後の医師が直面しやすい問題点を解説します。
現役時代は人一倍働いていた医師でも、加齢とともに体力や気力の低下を感じるのは当然のことです。さらに再就職となれば、これまでとは違った医療機関で勤務することとなり人間関係の構築などにも気を使います。
定年後の再就職では当直やオンコールなど、肉体的に負担の大きい業務が不要な仕事であると働きやすくなるでしょう。
定年退職後はどのような生活をしたいかによっても勤務方法は異なります。退職前と変わらずフルタイムで働きたいなら、常勤の仕事のほうがよいでしょう。
今まで働いてきた分、趣味や旅行など余暇時間も十分に楽しみたいなら、週3回の非常勤勤務などの働き方のほうが合っていそうです。
定年後に再就職しなかったとして、どの程度の収入を得られるかによっても働き方は異なります。医師は基本給が高額なため退職金が少なく、勤務方法によっては支給されないケースもあります。
なお令和3年の老齢年金の平均月額は14万6千円です。医師の場合、厚生年金の納付額が高額のため上記よりも年金額が高額となる可能性は高いでしょう。(※)
それでも退職金と年金だけでは定年後の収入に不安があるなら、週に数回でも医師のアルバイトなどをしたほうが安心です。
※出典:厚生労働省.「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」.https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf
先述した問題点を解消しやすいことから、定年後の医師の再就職先としては以下が人気です。
それぞれ仕事の特徴を解説します。
産業医とは職場で労働者の健康管理を行う医師のことです。労働安全衛生法などにより、従業員の人数が所定の条件に当てはまる場合や、月80~100時間を超える労働者がいる事業所などで、専任が必要です。
産業医の仕事は労働安全衛生規則により、毎月1回以上の職場の巡視や従業員の健康診断後の確認などが定められています。
なお業務に治療は含まれておらず従業員の健康維持がメインです。
健康診断医は医療機関や健診センターなどで、健康診断時の問診や生活指導を行います。健康診断医も基本的に健康な人の診断を基本とし治療などは行いません。また健診時間もあらかじめ決められているため、残業などが発生しづらい点もメリットです。
健康診断医のなかには院内で健診を行う医師のほか、健診バスなどに乗って巡回健診を行う仕事もあります。一般的に院内健診のほうが負担は少なく勤務する曜日や時間帯も選びやすいため、定年後の働き方として適しています。
介護老人保健施設は要介護者の自立支援を目的とした施設で、老健の略称でも知られています。老健では、入居者の退所を目標としているため、他の介護保健施設とは異なりリハビリ職のスタッフが在籍しています。
介護老人保健施設の医師は入居者の心身の状況を把握しリハビリ担当者に適切な指示を与える、治療や処方をするなどが役割です。とくに高齢の入居者とのコミュニケーションも必要なため、経験豊富なベテラン医師が抜擢されやすい職場でもあります。医師が施設長を務めることもあり、その場合、人材管理なども行います。
業務内容は多彩であるものの残業はほとんどなく、土日祝日は休みの施設が多いため、メリハリのある生活が可能です。
定年後の医師の働き方には、現在の職場で継続雇用を利用する、別の医療機関に再就職するなどがあります。ある程度勤務日数や時間を短くして体力的に負担がかからないようにしたい場合は、非常勤医もおすすめの働き方です。定年後の医師の仕事は見つけづらいため、再就職先などを探す際には医師に特化した求人サイトの活用も検討しましょう。
医師専用の転職・アルバイト求人サイトのMRTでは、定年後の医師にも人気の健康診断医など豊富な求人をご用意しています。登録料無料で始められるため、再就職先をお探しの際はぜひご活用ください。
「お気に入り機能」「求人閲覧履歴」「地図検索」など、WEBよりも求人検索が簡単に!
ダウンロードはこちら
MRT公式LINEでは最新の医師バイト(スポット/定期非常勤)と常勤求人を配信中!
友だち追加はこちら