職業別の平均年収ランキングを見ると、もっとも平均年収が高い職種は医師です。医師の平均年収は約1,000万円を超えており、ほかの職種を大幅に上回っています。しかし、医師の年収は診療科目によって異なります。診療科目別に医師の年収ランキングを紹介していきますので、ご確認ください。
令和3年賃金構造基本統計調査によると、全職種でもっとも平均年収が高いのは医師です。しかし、医師の年収は診療科目によって大きく変動します。
本記事では、労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を参考にしながら、診療科目別の医師の年収ランキングや、医師が平均年収を高くしていくためのポイントをわかりやすく解説します。
どの診療科目を選ぶかによって、医師の生涯の年収は大きく変わってきます。医師の診療科目別の平均年収をまとめたレポートが、労働政策研究・研修機構が2012年に公開した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」です。
ここでは、厚生労働省が毎年公開している賃金センサスや「勤務医の就労実態と意識に関する調査」をもとにして、診療科目別に見た医師の年収ランキングを紹介します。
そもそも医師はどのくらいの年収を得ているのでしょうか。令和3年の賃金センサスによると、医師の平均年収は約1,378.2万円です。医師の平均年収には男女差があり、男性医師の平均年収は約1,469.9万円、女性医師の平均年収は約1,053.7万円となっています。(※)
国税庁の民間給与実態統計調査によると、令和3年度の男性の平均年収は約545万円、女性の平均年収は約302万円です。医師は男性の平均年収を約924.9万円、女性の平均年収を約751.7万円上回っており、全体としてかなりの高水準にあることがわかるでしょう。(※)
なお、賃金センサスにおける「きまって支給する現金給与額」とは、労働契約などであらかじめ定められている支給条件、算定方法により支給された現金給与額を表します。(※)また、医師の平均年収は「きまって支給する現金給与額」を12倍し、「年間賞与その他特別給与額」を足して算出しています。
平均年齢 | 平均勤続年数 | 所定内実労働時間数 | 超過実労働時間数 | 平均月収(きまって支給する現金給与額) | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 | |
男 | 46.8歳 | 8.0年 | 164時間 | 16時間 | 111万8,100円 | 128万2,200円 | 1,469万9,400円 |
女 | 39.9歳 | 6.4年 | 161時間 | 13時間 | 81万600円 | 80万9,900円 | 1,053万7,100円 |
男女計 | 45.3歳 | 7.7年 | 163時間 | 15時間 | 105万400円 | 117万8,100円 | 1,378万2,900円 |
※出典:厚生労働省.「賃金構造基本統計調査」.https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
※出典:国税庁.「令和3年分 民間給与実態統計調査」.https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2021.htm
※出典:厚生労働省.「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況:主な用語の定義」. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/yougo.html
医師の平均年収は、専攻している診療科目によって変わります。診療科目別に医師の平均年収を見ると、もっとも年収が高いのは脳神経外科(約1480.3万円)です。医師の平均年収と比較して、脳神経外科の平均年収は約102.1万円上回っています。
次いで、産科・婦人科(約1466.3万円)、外科(約1374.2万円)、麻酔科(約1335.2万円)、整形外科(約1289.9万円)の順に平均年収が高くなっています。(※)
診療科目 | 300万円未満 | 300~500万円未満 | 500~700万円未満 | 700~1000万円未満 | 1,000~1,500万円未満 | 1,500~2,000万円未満 | 2,000万円以上 | 平均年収 |
内科 | 3.5% | 7.1% | 7.4% | 13.5% | 29.2% | 28.4% | 10.9% | 1,247万4,000円 |
外科 | 2.1% | 2.4% | 4.7% | 11.8% | 27.9% | 39.1% | 12.1% | 1,374万2,000円 |
整形外科 | 4.2% | 3.8% | 2.5% | 12.7% | 34.7% | 33.1% | 8.9% | 1,289万9,000円 |
脳神経外科 | 1.0% | 3.9% | 2.9% | 10.7% | 21.4% | 40.8% | 19.4% | 1,480万3,000円 |
小児科 | 2.4% | 7.7% | 5.9% | 14.8% | 33.1% | 28.4% | 7.7% | 1,220万5,000円 |
産科・婦人科 | 0.8% | 2.3% | 5.4% | 13.8% | 27.7% | 29.2% | 20.8% | 1,466万3,000円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 2.6% | 3.3% | 6.6% | 10.9% | 39.8% | 29.6% | 7.2% | 1,267万2,000円 |
精神科 | 1.8% | 4.1% | 7.3% | 18.3% | 33.0% | 24.8% | 10.6% | 1,230万2,000円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 2.6% | 8.3% | 12.5% | 17.3% | 33.2% | 22.0% | 4.2% | 1,078万7,000円 |
救急科 | 0.0% | 6.3% | 12.5% | 18.8% | 21.9% | 25.0% | 15.6% | 1,215
万3,000円 |
麻酔科 | 0.8% | 1.6% | 5.5% | 16.4% | 36.7% | 25.0% | 14.1% | 1,335万2,000円 |
放射線科 | 5.3% | 6.3% | 11.6% | 16.8% | 33.7% | 22.1% | 4.2% | 1,103万3,000円 |
その他 | 1.0% | 3.9% | 8.7% | 17.5% | 36.9% | 29.1% | 2.9% | 1,171万5,000円 |
※出典:労働政策研究・研修機構.「勤務医の就労実態と意識に関する調査」.https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
医師の平均年収は、ほかの職種と比較してどの程度の水準にあるのでしょうか。令和3年分の賃金センサスを見ると、すべての職種の中でもっとも平均年収が高いのが医師(※前年度は航空機操縦士)です。ここでは、医師の平均年収をほかの職種と比較していきます。
平均年収を職種別にランキング化すると、年収トップとなるのが医師(約1,378.2万円)です。次いで、航空機操縦士(約1,072.2万円)、大学教授(約1,072万円)、経営コンサルタントなどの経営・金融・保険専門職業従事者(約1,029.5万円)、法務従事者(約945.3万円)の順に平均年収が高くなっています。また、8位には平均月収の水準が比較的高い歯科医師がランクインしました。(※)
職種別の平均年収ランキングを見ると、前年度のランキングと比べて医師がトップをとっています。2位の航空機操縦士と比較して、平均月収は約23.3万円の差、平均年収は約306万円も上回る結果となりました。
ランキング | 職種 | 平均月収(きまって支給する現金給与額) | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
1位 | 医師 | 105万400円 | 117万8,100円 | 1,378万2,900円 |
2位 | 航空機操縦士 | 81万7,800円 | 90万8,900円 | 1,072万2,500円 |
3位 | 大学教授(高専含む) | 65万5,700円 | 285万2,400円 | 1,072万800円 |
4位 | その他の経営・金融・保険専門職業従事者 | 64万2,700円 | 258万2,800円 | 1,029万5,200円 |
5位 | 法務従事者 | 64万2,800円 | 174万円 | 945万3,600円 |
6位 | 大学准教授(高専含む) | 53万4,700円 | 214万5,200円 | 856万1,600円 |
7位 | 管理的職業従事者 | 53万7,800円 | 195万1,000円 | 840万4,600円 |
8位 | 歯科医師 | 58万4,700円 | 85万6,000円 | 787万2,400円 |
※出典:厚生労働省.「令和3年賃金構造基本統計調査」.https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001164106&tclass2=000001164107&tclass3=000001164111&tclass4val=0
ここまで、医師の平均年収を診療科目別に紹介しました。医師はほかの職種よりも平均年収が高いとはいえ、さらに高収入を得たい場合はどうすればよいのでしょうか。医師の平均年収を高くするポイントは2つあります。
収入は医師以外の職種と同じように医師の平均年収は勤続年数が長くなり、役職がつくほど高くなります。より給与が高い医療機関への異動や、ほかの診療科目への転科を目指すのもひとつの選択肢です。後期研修医以降の医師にとって一定のリスクがある選択肢ですが、近年は思い切って異動や転科を選び、自分らしいキャリアを歩む医師の方も増えつつあります。
同じ病院で長期的にキャリアを積み重ねることにより、年収の底上げにつながります。実際に、同じ病院でキャリアを継続することを選ぶ医師の割合は決して低くありません。労働政策研究・研修機構によると「今の職場(同じ病院・同じ診療科)で働きたい」と考える医師の割合は48.6%です。(※)
医師の勤続年数と平均年収には相関関係があります。実際に、医師の平均年収を勤続年数別に見ると、勤続年数が長ければ長いほど給与額が高いことがわかります。(※)
経験年数計 | 賃金(所定内給与額) | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
0年 | 47万2,200円 | 6万4,600円 | 573万1,000円 |
1~4年 | 52万9,800円 | 50万600円 | 685万8,200円 |
5~9年 | 72万2,400円 | 84万6,400円 | 951万5,200円 |
10~14年 | 92万3,100円 | 139万8,700円 | 1,247万5,900円 |
15年以上 | 124万7,300円 | 167万700円 | 1,663万8,300円 |
※出典:労働政策研究・研修機構.「勤務医の就労実態と意識に関する調査」.https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
※出典:国税庁.「令和3年分民間給与実態統計調査」. https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2021/pdf/000.pdf
年収を上げたい場合は、より給与が多い医療機関への異動や、ほかの診療科目への転科を目指す方法もあります。近年は大学医局に籍をおかず、大学院で研修プログラムを受けたり、市中病院でキャリアを積み重ねたりする医師も増えてきました。医師の平均年収は診療科目のほかにも、所属先の経営形態によって大きく変わります。将来の年収に不安がある場合は、思い切って異動や転科を目指すのも選択肢のひとつです。労働政策研究・研修機構によると「別の病院・診療科に異動したい」と考える医師の割合は28.6%となっています。(※)
ただし、後期研修期間中に転科を希望する場合は、翌年度の専攻医募集に応募し、研修プログラムを再度やり直す必要があります。年収アップのメリットと転科のデメリットを比較し、慎重にキャリアパスを描きましょう。
※出典:労働政策研究・研修機構.「勤務医の就労実態と意識に関する調査」.https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、もっとも異動希望者数が多い診療科目は内科です。次いで外科、精神科、眼科の順に異動希望者数が多くなっています。(※)
内科 | 外科 | 整形外科 | 脳神経外科 | 小児科 | 産科・婦人科 | 呼吸器科 | 消化器科 | 循環器科 | 精神科 | 眼科 | |
異動希望者数の割合 | 22.9% | 7.2% | 2.4% | 2.4% | – | 1.2% | 1.2% | 1.2% | 1.2% | 6.0% | 3.6% |
※出典:労働政策研究・研修機構.「勤務医の就労実態と意識に関する調査」.https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
医師の平均年収は、所属先の経営形態や自分の働き方によっても変わります。経営形態別に医師の平均年収を見ると、もっとも平均年収が高いのは医療法人(約1443.8万円)です。また、個人病院で勤務する医師の平均年収も約1414.0万円と高い水準にあります。(※)
経営形態 | 300万円未満 | 300~500万円未満 | 500~700万円未満 | 700~1000万円未満 | 1000~1500万円未満 | 1500~2000万円未満 | 2000万円以上 | 平均年収 |
国立 | 6.4% | 14.2% | 15.7% | 22.8% | 27.4% | 11.9% | 1.5% | 882万4,000円 |
公立 | 1.2% | 2.5% | 4.1% | 9.7% | 37.9% | 36.5% | 8.1% | 1,347万1,000円 |
公的 | 1.3% | 2.0% | 3.9% | 9.5% | 38.7% | 33.8% | 10.8% | 1,353万4,000円 |
社会保険関係団体 | 0.0% | 2.4% | 6.1% | 13.4% | 43.9% | 26.8% | 7.3% | 1,280万7,000円 |
医療法人 | 2.0% | 1.9% | 3.4% | 10.1% | 29.4% | 36.5% | 16.6% | 1,443万8,000円 |
個人 | 3.6% | 1.8% | 0.0% | 10.9% | 34.5% | 32.7% | 16.4% | 1,414万0,000円 |
学校法人 | 4.8% | 15.2% | 20.8% | 36.4% | 21.2% | 1.7% | 0.0% | 739万5,000円 |
その他の法人 | 0.8% | 2.4% | 3.3% | 9.8% | 31.7% | 39.0% | 13.0% | 1,406万4,000円 |
医師の平均年収を勤務形態別に見ると、常勤医師の平均年収は1461.5万円となり、非常勤やアルバイトよりも上回っています。一方で、非常勤医師の18.1%が1,000万円以上の年収を得ているようです。医師向けの求人サイトには、常勤医師だけでなく非常勤やアルバイトの求人も多数掲載されています。将来のキャリアプランも考えつつ、自分に合った勤務形態を選びましょう。
勤務形態 | 300万円未満 | 300~500万円未満 | 500~700万円未満 | 700~1000万円未満 | 1000~1500万円未満 | 1500~2000万円未満 | 2000万円以上 | 平均年収 |
常勤 | 1.1% | 3.3% | 6.1% | 14.5% | 33.4% | 30.9% | 10.7% | 1,309万8,000円 |
非常勤 | 22.8% | 29.2% | 19.3% | 10.5% | 10.5% | 7.0% | 0.6% | 594万7,000円 |
アルバイト | 35.0% | 35.0% | 15.0% | 5.0% | 10.0% | 0.0% | 0.0% | 410万8,000円 |
※出典:労働政策研究・研修機構.「勤務医の就労実態と意識に関する調査」.https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
この記事では、医師の平均年収ランキングを診療科目別に紹介しました。労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、もっとも平均年収が高い診療科目は脳神経外科、次いで産科・婦人科や外科が上位にランクインしています。近年はより賃金や報酬が高い勤務先を探し、異動や転科を目指す医師も増えてきました。
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