医師転職の市場はコロナ禍でも売り手市場が続いています。とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大前に比べて組織貢献度の高さなど、病院側の採用基準に変化も現れているため、転職では事前の情報収集が大切です。医師転職の市場規模や動向について解説します。
医師転職の市場はコロナ禍に悪化したものの、現在は回復傾向にあります。依然として売り手市場ではあるものの、病院によっては採用基準が変化しているケースもあるため注意しましょう。
本記事では、医師転職の市場規模や動向、地域や診療科別の求人ニーズ、病院側の採用基準の変化を解説します。
厚生労働省が発表する令和2年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)によると、令和元年や令和2年の医師の求人数および就職件数は以下のとおりです。(※)
令和元年 | 令和2年 | 対前年度増加率 | |
新規求職申込件数(有料) | 123,015件 | 140,595件 | 14.3% |
新規求職申込件数(無料) | 359件 | 351件 | △2.2% |
常用求人数(有料) | 306,823件 | 342,695件 | 11.7% |
常用求人数(無料) | 2,537件 | 2,596件 | 2.3% |
常用就職件数(有料) | 15,605件 | 15,958件 | 2.3% |
常用就職件数(無料) | 189件 | 190件 | 0.5% |
臨時日雇求人延数(有料) | 1,520,102件 | 1,557,951件 | 3.8% |
臨時日雇求人延数(無料) | 4,603件 | 4,492件 | △2.4% |
臨時日雇就職延数(有料) | 26,8234件 | 24,8161件 | △7.5% |
臨時日雇就職延数(無料) | 3,918件 | 3,168件 | △19.1% |
令和2年の常用求人数は有料・無料職業紹介事業合わせて約340,000件、日雇い求人数は有料・無料職業紹介事業合わせて1,560,000件となります。
なお、令和2年12月31日現在の国内の医師の人数は339,623人です。(※)医師の人数以上の求人数があることからも市場規模は大きいと判断できます。
※出典:厚生労働省. 「令和2年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」.https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000923382.pdf
※出典:厚生労働省. 「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/20/dl/R02_kekka-1.pdf
有効求人倍率とは景気動向指標の一つで、1人の求職者に対し何件の求人があるかを示す指標で、ハローワークに登録されている求人数と求職者数を元に算出されます。
令和4年度12月におけるパートを含む医師・薬剤師などの有効求人倍率は2.32倍で、平均の有効求人倍率は1.28倍です。また、令和4年度3月時点はパートを含む医師・薬剤師などの有効求人倍率は2.03倍、平均の有効求人倍率は1.22倍だったことから直近の医師の求人倍率は比較的高く推移していることがわかります。(※)
※出典:厚生労働省. 「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)について」.https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30448.html
医師の求人数はコロナ禍以降、大きく減少しました。しかし、最近では病院の受診控えなども解消しつつあるため、全国的に求人数が増加傾向にあります。
新型コロナウイルスの流行とともに、一時的に求人数は落ち込みました。これは新型コロナウイルスへの感染を懸念し、外来診療の受診控えが進み病院経営が悪化したことが要因の一つです。また、それと同時に病院側でも新規の求人を控える動きが強まったため、医師転職市場にも影響を及ぼしました。
しかし、最近では新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、新規感染者も減少しているため、病院の受診控えも解消傾向にあるようです。改善傾向が見られた結果、多くの病院で採用を再開する動きが強まっています。
先述の令和2年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)でも、常用求人数と採用数の対前年増加率は軒並みプラスのため、転職市場は回復傾向にあると見てよいでしょう。
医師の転職市場は回復傾向にあるものの、求人ニーズは地域や診療科によっても異なるため注意しましょう。
都道府県別に医師の求人数を確認すると、首都圏や大阪府、福岡県などの大都市で多い傾向にあります。求人数が多ければ、その分、好条件の求人を探しやすい点がメリットです。
しかし、人口100,000人あたりの医師数は大都市ほど多くなります。そのため、首都圏などでは好条件の求人がすぐに締め切られたり、多くの医師が殺到し倍率が上がったりなど、転職活動が難航する可能性もあるため注意しましょう。
一方、地方都市では求人数は大都市と比べて少ないものの、人口あたりの医師の人数が不足しているため競争倍率は低い傾向です。
また、医師不足に悩む地域では、年収を上げるなどして医師を呼び込みたい狙いもあり、好待遇での転職も期待できます。
診療科別に見ると、内科の求人ニーズは比較的高いです。受診控えが解消しつつあることも要因の一つでしょう。また、内科は開業医が多く、総合病院などで勤務医が不足しやすいためです。
また、開業医でも医師の高齢化にともなう後継者の育成ニーズから、求人が増加していると考えられます。
専門性の高い診療科では求人が出ないこともある
一方、産婦人科や小児科、麻酔科などの医療機関でも診療科の少ない科では、求人ニーズも低くなります。また、専門性の高い診療科では、一般的な求人媒体で募集をしていないケースもあるため人脈などをあたる必要もあります。
現在、医師転職の市場は回復傾向にあります。また、コロナ禍であっても売り手市場であることにも変わりはありません。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により病院経営が悪化した影響から、以前よりも採用基準が厳しくなっている病院も増えています。
具体的には、患者とのコミュニケーション能力やスタッフへの対応、病院への協力姿勢など、組織貢献度の高さを重視する動きが見られます。また、役職付きの医師であれば資格やスキルなど、病院の収益に貢献できる能力も必要です。
売り手市場であるものの以前よりも採用基準が厳しい傾向にある医師の転職では、専門性の高いスキルを取得するのも採用活動を有利にすすめるポイントです。具体的な資格は以下のとおりです。
特に首都圏では、専門医資格がないと書類専攻で落とされるケースもあります。専門医資格の取得を迷っている医師は、将来のキャリアパスも考えると取得しておくほうが望ましいでしょう。
以上のように、医師の転職市場はコロナ禍で悪化しているものの現在は回復傾向にあります。とはいえ市場動向は社会情勢の影響も受けやすいため、関連ニュースを確認したり転職サイトに登録したりして、常に最新の動向確認が必要です。
特に転職を検討している医師は、早めに求人サイトなどに登録して情報収集を始めるのが大切です。好条件の求人はすぐに募集を締め切るため、見落としのないように確認しましょう。
医師転職の市場は、コロナ禍であっても売り手優位が続いており、現在は求人数も回復傾向にあります。とはいえ、経営状況の悪化した病院では採用基準が変化していることもあるため、早めに転職サイトなどへ登録し、求人情報を収集して対策するのがおすすめです。
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