厚生労働省が公表している「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、医療施設(病院・診療所)に従事する医師のうち、主たる診療科として最も多いのは内科で、その割合は全体の19.0%(61,514人)にのぼります。(※)
内科医は総合的かつ幅広い治療を行うため、多くの人にとって最も身近な存在の医師とも言え、そのニーズは非常に高く活躍の場も広いことが特徴です。本記事では内科医の年収や働き方、年収を上げる方法などをご紹介します。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が公表している「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、内科医の平均年収は1,247.4万円で、金額別の割合は次のようになっています。(※)
年収 | 割合 |
300万円未満 | 3.5% |
300~500万円 | 7.1% |
500~700万円 | 7.4% |
700~1,000万円 | 13.5% |
1,000~1,500万円 | 29.2% |
1,500~2,000万円 | 28.4% |
2,000万円以上 | 10.9% |
調査対象となっている全診療科の医師の平均年収1,261.1万円と比較するとやや低い水準ではありますが、年収1,000万円を超える人は70%近くにのぼることがわかります。
国税庁が発表する「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均年収は約443万円であるため、内科医の年収が平均よりも大きく上回っていることは明らかでしょう。(※)
※出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構.「勤務医の就労実態と意識に関する調査」.https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf,(入手日付2023-02-17).
※出典:国税庁.「令和3年分 民間給与実態統計調査」.https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2021.htm,(入手日付2023-04-27).
内科医の仕事では内臓や神経、血液など、主に身体の内側の不調に対して総合的な診断・治療を行います。風邪・発熱のような症状を診るのはもちろんですが、高血圧や糖尿病といった慢性疾患など幅広い症状や疾患を扱います。薬物療法だけではなく生活習慣の指導なども行う点も、内科医の仕事の大きな特徴です。
内科はさらに循環器内科や消化器内科、呼吸器内科など、専門とする領域によって診療科が細分化されています。多くの患者は身体の変調に気づくとまずは内科を受診しますが、場合によってはこれらの専門分野と連携をとりながら治療にあたることも少なくありません。医療全般の知識はもちろんですが、診察時や他病院と連携する上でのコミュニケーションスキルも求められます。
内科医のニーズは高く、さまざまな場で活躍することが可能です。ここでは内科医が活躍できる場の一例をご紹介します。
有床医療機関とは、市中病院や大学病院など患者が入院可能な病床を持つ医療機関のことです。有床医療機関で働く場合は、外来患者だけではなく入院患者の診療も行うため定期的に当直業務も発生します。また、職場から離れている時でも呼び出しがあれば、駆け付ける待機当番があるケースも考えられます。
ただし、多忙な環境である分、日当直手当や時間外手当が支給されるため、内科医の中でも給与は比較的高くなりやすいといえるでしょう。
無床医療機関は患者が入院可能な病床がない医療機関のことを指し、「クリニック」や「医院」と称されることが多いでしょう。
無床医療機関には入院設備がないため、基本的に外来診療がメインです。往診に対応しているケースはありますが、当直業務や待機当番はありません。勤務時間が限定されている分、プライベートな時間が確保しやすく、ワークライフバランスが取りやすい働き方といえるでしょう。
なお、有床医療機関に勤務する場合と比較すると各種手当が少ないこともあり、給与はやや低くなることが予想されます。
内科医は病院やクリニックだけではなく介護の現場でも活躍が可能です。具体的には特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(療養病床)などの介護保険サービスを提供する公的施設などが挙げられます。
業務内容は施設によって異なります。オンコール対応が求められたり当直業務があったりするケースもあり、業務内容によって給与もさまざまです。これらの施設には医師の配置が義務付けられているため、この先高齢化が進むほど需要が高くなることが考えられるでしょう。
内科では健診業務を行うケースも少なくありません。春季や秋季の健康診断シーズンにのみアルバイトとして健診業務を行う内科医もいますが、健診センターで常勤として勤務する内科医もいます。
健診業務をメインに働く場合も、無床医療機関で働く場合と同様当直業務や待機当番などがないため、プライベートな時間を確保しやすいと言えます。一方、給与はやや低くなる傾向があります。ただし内視鏡検査といった健診に必要な専門スキルを持つ場合は、その分給与も高くなることがあります。
ここまでご紹介してきた通り内科医が活躍できる場所は広く、内科医が年収を上げるための選択肢もさまざまです。ここからは、実際に内科医が収入を上げる方法として代表的なものをご紹介します。
まず最初に挙げられる方法として、今の職場よりも年収が高く設定されている職場への転職があります。
内科医のみならず医師の年収は地域によっても差があり、地方に行くほど年収が高くなる傾向があります。その理由としては、都心部に比べ地方では医師が不足しているために医師の需要が高いこと、医師の数が少ないことにより一人あたりの負担が多くなることなどが考えられるでしょう。
研修医や若手医師は研究設備の充実した都心部の大学病院での研修や勤務を希望する場合が多いですが、年収アップを考えるのであればIターンやUターンを検討してみるのもひとつの手です。
内科医としての経験を積んでいく中で、「診療スキルに自信がついてきた」「専門医などの資格を活かしたい」と考えるのであれば、開業をするという選択肢もあります。自身でクリニックを開業し、院長として働きます。
一般的に開業医は勤務医よりも年収が高くなると言われており、通院者が増えれば増えるほど年収もアップします。また開業医の場合は収入面だけではなく、自分の裁量で仕事が進められることや、患者との距離が近いこと、人間関係のストレスが比較的少ないことなどのメリットもあります。
ただし開業資金だけでなく従業員への給与の支払いなど、資金繰りも必要です。他にも、専門性のある治療が必要となった際には近隣の病院へ患者を紹介できるよう体制を整えておくことも求められるため、医師としてのネットワークが重要となります。また通院者が増えない、もしくは減ってしまう可能性もリスクとして考えておく必要があります。
「職場を変えずに年収アップを目指したい」「開業するにはまだ早い」といった場合には、現在の職場で働きながら他の病院やクリニックで非常勤として働く方法やスポットでアルバイトする方法などもあります。医師が非常勤やアルバイトとして働くことは珍しくありませんが、その中でも内科医はニーズが高く、募集されている仕事も多い傾向があります。
非常勤やアルバイトで働くことで収入アップはもちろん、より多くのスキルが身についたり、新しい視点を得られたりする可能性もあるでしょう。内科医が活躍できる非常勤やアルバイト先の代表的なものとしては以下が挙げられます。
比較的求人数が豊富な内科外来では、初診を担当することもあります。専門外来では定期的に通院する外来患者が多いことから、定期非常勤の求人が比較的多い傾向にあります。
当直バイトには救急患者の処置にあたるものや、いわゆる「寝当直」と呼ばれる比較的落ち着いた業務のものもあります。大型連休や年末年始などには報酬がアップしたり、救急対応の多い病院では「救急車1台につき」「入院1人につき」といったインセンティブが設定されていたりするケースもあります。
健診業務は診察・問診が基本ですが、場合によっては心電図読影や胸部胃部レントゲン読影などを行うこともあります。診察問診以外の業務がある場合や、診察件数が多い場合は報酬が高くなる傾向があります。基本的に健診が終われば帰宅することができるため、ワークライフバランスを考慮して働くことも可能です。
訪問診療は近年需要が拡大しており、非常勤としても働くことが可能です。看護師などのスタッフが同行し、個人宅などを訪問します。訪問診療のアルバイトは1日単位での募集が多いですが、その日予定されている訪問が終われば予定より早く帰宅できるケースもあります。
内科医の需要は高く、高齢化に伴って介護施設や訪問診療など今後ますます活躍の場が広がっていくことが予想されます。
内科医には医療への幅広い知識や診察スキルが求められますが、活躍できる場の選択肢が多い分、自分らしい働き方を見つけやすいとも言えるでしょう。年収アップを目指している方は、キャリア形成も見据えた働き方を考えてみてはいかがでしょうか。
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