瀬戸内の中央に位置し、穏やかな気候と豊かな自然に恵まれた広島県福山市。
江戸時代からの面影が残る鞆の浦や福山城など数多くの名所がある街。
MRTでは広島県福山市からの委託を受けて、JTB様と連携し、全国初となる「医療版ワーケーション」に取り組んでいます。
実際にご勤務いただいた医師の感想と併せて、取組の内容をご紹介いたします。
福山駅の目の前に建つ福山城。城の北側は敵の攻撃に備えた「鉄板張り」となっており、全国的にも珍しい。2022年には築城400年を迎えた
ワーケーションとはWork(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語。テレワーク等を活用し、普段の職場や自宅から離れ、旅行先や帰省先などで余暇を楽しみながら、仕事もするという働き方です。
日本でもコロナ禍によって観光支援やテレワークが推進されたことにより、広がりをみせています。
ワーケーションのメリットとして、普段の職場や自宅とは違う環境の中で仕事をすることで、新しいアイディアがひらめきやすくなったり、新たな出会いや交流によって気づきや学びを得られたりと様々な効果が期待できます。
企業にとっても、有給休暇の取得促進や休暇による仕事の質の向上、地域との交流によるイノベーションの創出などのメリットがあります。
また受け手となる地方自治体にとっても、ワーケーションが普及することで旅行需要の創出や交流人口の増加、企業との関係性構築、新たな雇用の創出などたくさんのメリットがあります。
今回福山市が実施した「医療版ワーケーション」は、福山市以外から医師にお越しいただき、夜間小児診療所での診察と備後圏域6市2町(広島県福山市・三原市・尾道市・府中市・世羅町・神石高原町/岡山県笠岡市・井原市)の観光を楽しんでいただくというもの。
医師不足の地域で医療貢献をしていただきつつ、自然や歴史・文化、食べ物などを満喫していただき、医師の皆様には日頃のストレス解消やリフレッシュできる時間を過ごしていただきました。
医師の偏在は長きにわたり日本の医療において大きな課題とされていますが、広島県においても医師不足は深刻化しています。これを解消すべく、平成30年には「医療法及び医師法の一部を改正する法律」(平成30年法律第79号)が施行され、各都道府県は医療計画において、医師確保の方針、確保すべき目標医師数、目標の達成に向けた施策内容を「医師確保計画」として定めることとされました。
その中で、厚生労働省が示した小児科医師偏在指標(二次医療圏)によると福山市を含む医療圏は全国の下位3分の1となる「医師少数区域」となっています。また医師の高齢化も進んでおり、小児科医師の不足は福山市にとって深刻な問題になっています。
医師不足の問題については、もともと福山市と民間企業などが連携したワーケーションを活用して解決できないか議論が進められていました。今回はその解決策の一つとして観光と医療を結びつけた「医療版ワーケーション」を実施することになりました。
MRTでは医師の人材確保のお手伝いをさせていただきました。
弊社の医療人材プラットフォームで参加希望者を募り、ご希望いただいた方には勤務日や勤務条件の調整を行いました。
勤務が確定した方には滞在日数、福山市までの交通機関などのご要望を詳しくお伺いし、JTB様にてスケジュールの調整や交通手段、宿の手配をしていただきました。
中にはご家族やお子様とご一緒に、ファミリーワーケーションとしてご参加された方も!
普段お忙しい方や小さなお子様がいらっしゃる方も、家族旅行や思い出作りも兼ねてワーケーションを楽しんでいただくのもよいかもしれません。
観光については、福山市の観光課の方のおすすめスポットやグルメ情報を教えていただいたり、事前にモデルコースを作成して短い滞在時間でもよりたくさんの魅力を体験していただけるようにしました。
~ワーケーションスケジュール例~福山市観光モデルコース~
神勝寺禅と庭ミュージアム(実際にご勤務されたA医師による撮影)
2泊3日の短い滞在ではありましたが、「住みやすそう」「またぜひ訪れてみたい」というお声を多数いただきました。
「看護師さんや医療センターの方がとてもフレンドリーで優しくしてくださった」
「困っていたところ地元のタクシー運転手さんが助けてくださり、とても親切だった」
など景色の綺麗さだけではなく、地元の方々の優しさと交流に癒やされた方々も多かったようです。
以上、医療版ワーケーションの取組をご紹介いたしました。