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若手医師のホンネ座談会後編―5年後・10年後の未来像とキャリアの築き方

更新日: 2026/08/21
若手医師のホンネ座談会後編―5年後・10年後の未来像とキャリアの築き方
前編では、専門医取得までの軌跡や令和版の働き方、そして保険診療と自由診療という選択肢について語り合いました。後編では、視点をさらに未来へと広げます。医師のキャリアは、勤務医としての臨床にとどまらず、産業医や企業勤務、フリーランスやスポット勤務、開業まで、多様な選択肢があり、近年さらに増えてきています。若手医師は5年後・10年後をどう思い描き、誰に相談し、アルバイトをどうキャリアに活かしているのでしょうか。内科・産婦人科・形成外科の3名が、それぞれの将来設計と本音を語ります。

座談会参加医師の紹介

ないぱぱ(内科・総合診療医/医師8年目)
大学医局に一度も属さず、市中病院で一般内科・総合診療を担う。既婚で、まもなく第一子が誕生予定。奨学金の義務年限を消化中。以前の職場で体調を崩した経験から、当直は月1〜2回。バイトはオンライン診療を時々行う程度で、メインは現在の勤務先。

ユッケ(産婦人科・麻酔科医/医師9年目)
産婦人科専門医の取得後に麻酔科研修を経て、現在は胎児診断クリニックで国内留学中。既婚で子どもあり。大学医局は一時的に離れ、留学後に戻る予定。週2回ほど自分で探した当直バイトに入り、時折スポットで訪問診療も行う。

se(形成外科医/医師9年目)
大学医局に所属し、地方の関連病院を中心に研鑽を積む。専門医取得後、市中病院の形成外科で勤務。独身で現在婚活中。当直は常勤先で月1〜2回。当直やオンライン診療などのバイトを経て、今は自由診療を学ぶため美容クリニックで非常勤をしている。

若手医師が描く未来像―5年後・10年後の将来設計―

――ここからは少し時間軸を延ばして、5年後・10年後の将来設計について聞かせてください。

ユッケ:5年後は、1人のプレーヤーとして現場を回す働き方から、ある程度は脱却したいと考えています。

自分が動かなくても現場が回る仕組みづくりや、後進の育成・マネジメント、クリニックの運営に関わっている状態を目指しています。10年後は、私が専門にしている産婦人科の中でもニッチな領域を活かしつつ、医療をシステムとして俯瞰し動かせる立場を作りたい。具体的には「海外では標準的になっている妊娠初期の超音波スクリーニングを、日本でも当たり前に普及させる」ことを一つのミッションにしています。

最終的には、「いつ、どこで、誰と、どう働くか」をある程度自分でコントロールできる状態を作り、家族との時間と自分のキャリアを両立させる持続可能なスタイルを完成させたいですね。

ないぱぱ:私は、総合診療の幅広さを武器にしたいと思っています。5年後には奨学金の義務年限も終わるので、ある程度定住の地と職を見つけるつもりです。プライマリケアや訪問診療、地域包括ケア、産業医などを2〜3個組み合わせたいと考えています。

ユッケ先生のように働く以外の収入も持ちたいと思いながらも、今は思いつく事業がないので、まずは株式などの投資を併用するのが現実的かなと。正直10年後はあまり思いついてませんが、医療機関で働くなら2040年問題は無視できないので、そこを意識した身の振り方をするつもりです。

se:私も複数の選択肢を持ち続けることを意識しています。もう1〜2年は国内留学などで専門性を高めつつ、ライティングや資産形成も並行させる予定です。5年後は形成外科医として勤務しながら産業医やパーソナルドクターなど別の働き方を組み合わせ、プライベートの比重も上げたいと思います。

10年後は開業も選択肢ですが、そのときの日本の状況や自分のプライベートの状況に合わせて最終的に判断すると思います。それ以外には事業やコンサルなど、目の前の医療にとどまらず、より大きな規模で価値提供できるように今から準備を進めていきたいです。

周りはどうしてる?ロールモデルとメンターとの向き合い方

――そうしたビジョンを描くにあたって、参考にしたモデルケースやメンターのような存在はいましたか。

ないぱぱ:結論から言うと、モデルケースとなる存在はいません。憧れた先生は何人かいましたが、皆さん信じられないほどのバイタリティで、自分の体調不良も経験する中で「到底およばない」と、ある意味諦めた部分もあって。ただ、後期研修先に医局非所属の先生方が多く、いろいろな働き方の話を聞けたことが、今の考え方の土台になっています。一緒に「どんな働き方が向いているか」を考えてくれた先生方が、振り返ればメンターだったのかなと。地方は情報が限られるので、できるだけフットワーク軽く動きたいですね。

ユッケ:私も単一の絶対的なメンターはいません。強いて言えば、「人生の局面ごとに別々のメンターがいる」という状態が理想だと思っています。経営を知るクリニックの院長、医療界の外で楽しそうに生きる友人、会社を営む父親。異なる強みを持つ人の「いいとこ取り」をして、頭の中で理想像を合成している感覚ですね。逆に、SNSに流れてくるインフルエンサーは気にしないようにしています。背景の違う派手な成功例に振り回されても、軸がブレるだけなので。

se:私も、バリバリ働くカリスマ的な上司に憧れて入局しましたが、簡単に真似できるものではなく、人それぞれに合った働き方を探すのがベストだと考えが変わりました。私も誰か一人のメンターがいるわけではなく、その時々で「こうなりたい」という像も変わっています。地方でも東京でも色々な場所で働く機会に恵まれ、医療以外にも挑戦する先生を知って勇気をもらいました。ユッケ先生のおっしゃるようにSNSは見すぎると軸がわからなくなるので、あえて距離を取り、信頼できる家族や友人に相談したり、書き出して整理したりする時間をとっています。

若手医師がキャリアに悩んだときの相談先

――キャリアに悩んだとき、相談先はどのように見つければよいでしょうか。ご自身の経験からぜひ教えてください。

ユッケ:持論ですが、とにかくいろいろな人に相談するのに尽きます。麻酔科研修に行くときは上司のつながりを頼り、今の留学先へはホームページの連絡先に直接アポを取り、見学を重ねてポジションをいただきました。医師は良くも悪くもコネ社会なので、友人の友人につないでもらうのも良い方法です。怪しい話には注意が必要ですが、まずは会って聞いてみるくらいの姿勢でいいと思います。

ないぱぱ:私も同じで、まず身近な人に相談し、そこから徐々に幅を広げるのがいいと思います。大体「知り合いの知り合い」くらいまでで、何かしら繋いでもらえる印象です。後期研修先も、学生時代からお世話になった先生への相談がきっかけで紹介いただきました。SNSも意外と有効で、Xで信頼できそうな先生に連絡し、産業医の話をいただいたこともあります。ハードルが低い分あやしい人もいるので、普段の発信を見て見極めることは大切ですね。

se:私も、自分から動いて情報を得るのがよいと思っています。外勤先の先生に進路相談をして留学を勧められ、医局の先輩に留学先を紹介してもらったこともありました。学会のキャリア相談の場や、セミナー・勉強会の懇親会も人脈づくりに有効です。産業医の資格を取ろうと思ったきっかけも、医局以外のコミュニティを持てたことが大きかったです。医師の世界は積極的な人に親切なので、若手の先生にはとにかくフットワーク軽く飛び込んでいってほしいですね。

アルバイトの経験をキャリアに活かす

――多くの医師にとって、アルバイトは生活の支えでもありキャリアに活かす機会でもあります。案件の探し方や、現場での心得を教えてください。

ないぱぱ:地方だと大学医局が持つ案件が多く、フリーの医師ができる案件は限られます。医局以外だと、所属先や知り合いからの紹介と、エージェントの活用の2つですね。移動の手間がないオンライン診療はやりやすいです。良い職場はリピートするほうがお互いにwin-winで、次の縁にもつながります。心得としては、社会人としての礼儀と丁寧なコミュニケーションを心がけること、アルバイト先のルールに従うこと、求められる仕事をきちんとこなすこと。当たり前のようですが、これだけで感謝されることは意外と多いです。

ユッケ:まったく同意見です。医局案件は、誰でもアクセスできる案件より条件が良いことが多く、医局っていいなと思う瞬間ですね。単発なら一期一会で当たり障りなく、時間や挨拶など当たり前のことを当たり前にするよう意識しています。定期の勤務先では、偉い立場の人だけでなく、事務やスタッフにも低姿勢で接するようにしています。何かあったときに頼ってもらえるよう、日頃からコミュニケーションを取っておくと安心です。

se:私も医局の外勤先や知り合いの紹介が中心です。コミュニティで知り合った先生のクリニックにスポットで応募し、キャリアや人生の相談までさせてもらったこともありました。先輩には、クリニックへ直接電話して非常勤の募集を尋ねていた先生もいました。やりたい内容が明確なら、自分からアタックするのも一つの手です。また、関心のある分野を日頃から周囲に伝えておくと、募集の際に声がかかりやすくなります。バイト先では常勤ほど活躍できない分、自分がどんな価値を発揮できるかを常に考えるようにしています。

——医師の皆様はエージェントをどのように見つけるのでしょうか?

se:エージェント(紹介会社)は、友人からの紹介や検索で知ることが多いですね。たまに、学会やイベントなどで出展されているのを見て知ることもあります。
所属先や知り合いからのアルバイトの紹介は、安心感があり、条件の良い案件が多い印象です。エージェントは自分で一から条件を比較したり探したりする手間が省けますし、自分の人脈を超えて、幅広くアプローチできるところが良いと思います。給与面以外にも仕事の内容や勤務地など細かく条件がある場合は活用しやすいですね。
それぞれ良さがあるので、状況に応じてうまく使い分けるといいと思います。

まとめ―キャリアに正解はない。本音と向き合い、ご縁を大切に―

――最後に、一言ずつお願いします。

ユッケ:同世代の考えを知り、自分の考えを言葉にする良い機会になりました。頭の中が整理され、これからのキャリアに生かせるヒントもたくさんありました。今後も一つひとつ悩みながら課題を乗り越え、自分らしいキャリアを築いていけたらと思います。

ないぱぱ:キャリアの悩みには共通する部分も多く、「一人だけが悩んでいるわけではない」と感じられたことが印象に残りました。キャリアに決まった正解はなく、それぞれが価値観やライフステージに合わせて模索していくものだと改めて感じます。この記事が、読者の先生方の将来を考えるきっかけになれば嬉しいです。

se:診療科も背景も異なるお二人と語り合えた、貴重な時間でした。今、医師の働き方は多様化し、恵まれた時代です。一方で、選択肢が多いからこそ、迷いや不安を感じる場面も増えているのではないでしょうか。お二人の先生も、試行錯誤を重ねながら、ご自身らしいキャリアを築いていらっしゃる姿が印象的でした。若手の先生方も、ご自身の本音と向き合い、人とのご縁を大切にすることで、ぜひ自分らしい医師人生を歩んでいってください。

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