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診療科/業務内容

新専門医資格「総合診療医」とは?働き方や仕事の内容、年収などを解説

更新日: 2025/04/21
総合診療医は2018年に追加された新しい専門医資格です。地域医療のゼネラリストとして全人的医療を提供するだけでなく、介護や福祉などの行政問題の解決を求められることもあります。総合診療医とは何か、働き方やなり方、仕事の魅力、年収を解説します。

総合診療医とは2018年に新しく追加された専門医資格で、地域医療のゼネラリストとして患者やその家族、地域全体の健康を守る役割を担っています。

本記事では総合診療医とは何か、仕事内容や魅力、総合診療医になる方法、求められる人材、年収などを解説します。

 

総合診療医とは患者の健康問題に総合的に向き合うゼネラリスト

総合診療医(総合診療専門医)とは、患者を総合的に診察し、ケアや治療を行う医師のことです。厚生労働省『新たな専門医制度の背景と現状』では、総合診療医を総合的な診療能力を有する医師と定義しています。(※)

通常の専門医のように患者の特定の臓器にこだわらず、生活環境まで含め多角的に診る点が特徴です。患者に専門的な治療が必要なときは他の専門医と連携し問題の解決にあたったり、患者家族の心のケアを行ったりすることもあります。

さらに、医療ニーズを把握し行政と連携することで地域に反映するなど、患者を診るだけでなく、地域の医療・福祉・教育などの問題への取り組みが求められる点も特徴です。

以上のように、患者自身はもちろん、その家族、そして行政を含めて地域の健康を支える、地域医療のゼネラリストが総合診療医です。

※出典:厚生労働省. 「新たな専門医制度の背景と現状(改)」P7.
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000508257.pdf

総合診療医が求められる理由

現在では医療の専門性が高まり細分化されたことで、症状にあった適切な治療を受けられるようになりました。

しかし、その一方でかかりつけ医や昔ながらの町医者のように些細なことを気軽に相談でき、必要があれば専門医につなぐなど総合的に患者を診られる医師は減少傾向にあります。そのため、健康不安があってもどこに相談してよいのか分からないという人も多いようです。

また、高齢者には複数の慢性疾患を抱える人が多くいます。現在の病院のように縦割りの医療体制では、一つの病院や診療科のみで全ての検査・治療を終えることができません。

結果として、病院の掛け持ちや検査の重複が発生し、高齢者の負担となるだけでなく、医療費を圧迫する原因にもなっています。

総合診療医は患者の健康不安を解消し、高齢者のような複数の疾患を抱える患者に適切な医療を提供する存在として期待が高まっています。

総合診療医の仕事内容や働き方

総合診療医には、地域医療を担う家庭医と中・大規模病院で他の専門医と連携しながら診療をすすめる病院総合医の2つの働き方があります。

小規模施設の家庭医

家庭医はクリニックや市中病院など、小規模施設に所属した地域密着型の働き方です。外来診療を中心に軽症から重症まで幅広く対応し、必要があれば専門医に紹介するなど、なんでも相談できる地域医療の窓口の役割があります。

なお、家庭医に求められる役割は地域によって異なります。

例えば、医療機関の少ない場所であれば、訪問診療や終末期医療も必要です。他の開業医と連携し、地域医療の問題解決を求められることもあります。

中・大規模施設の病院総合医

中・大規模施設に所属し、その病院の入院患者や救急患者の診察を行うのが、病院総合医です。病院総合医は内科救急や感染症診察など内科診療を中心に、他の専門医と連携しながら診察にあたります。病院総合医の場合、総合内科医と同じ領域を担当することが多いでしょう。

また、外来診療では、初診の患者を適切な診療科に案内する役割を担うこともあります。他にも、施設によっては出張診療や若手医師の研修などのマネジメント部門の仕事を任されることもあり、幅広い業務を行っています。

 

総合診療医になる方法

総合診療医は、2018年に専門医資格基本領域の19番目の新資格として追加されました。(※)そのため、総合診療医として働きたい場合、専門医資格の取得が必要です。

一般社団法人 日本専門医機構総合診療専門医検討委員会の『総合診療専門研修プログラム整備基準』では総合診療医の使命を、日常遭遇する疾病と傷害等に対して適切な初期対応と必要に応じた継続的な診療を全人的に提供すること、地域で生活する人々の命と健康に関わる幅広い問題について適切に対応することとしており(※)、研修プログラムもその使命に基づいたものになっています。

上記から、総合診療医は高い専門性よりも、幅広く多様な問題に対処できる能力が必要であることが分かるでしょう。

※出典:厚生労働省. 「新たな専門医制度の背景と現状(改)」P8.
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000508257.pdf
※出典:一般社団法人 日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会. 「総合診療専門研修プログラム整備基準」p1.
https://jmsb.app.box.com/s/ugs2wtljj23vye2qyvbtojhf8lwrzhk5

総合診療医の研修プログラム

総合診療医の研修プログラムには、診療所・中小病院における総合診療専門研修Iと病院総合診療部門における総合診療専門研修IIの2つがあります。各研修6カ月以上、合計18カ月以上の研修が必要です。(※)

これらの研修により、以下7つの資質と能力を獲得することが目的です。(※)

  • 包括的統合アプローチ
  • 一般的な健康問題に対する診療能力
  • 患者中心の医療・ケア
  • 連携重視のマネジメント
  • 地域包括ケアを含む地域志向アプローチ
  • 公益に資する職業規範
  • 多様な診療の場に対応する能力

そのため、臨床学習では外来医療・病棟医療・救急医療・在宅医療・地域ケアの5つの現場で幅広い症例を経験します。この他に、経験すべき疾患や病態・手術・学術活動などが定められています。

病態の中には初期対応が必須の項目も多数あり、それぞれの項目について、必要な達成基準を満たさなければいけません。

※出典:一般社団法人 日本専門医機構. 「総合診療専門研修プログラム整備基準」.
https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2020/12/comprehensive_20201120.pdf

総合診療医に求められる能力や性質

総合診療医には、幅広い知識だけでなく、他の医師やスタッフと連携する力が求められます。さらに、地域医療に対する問題意識を持つことや、さまざまな病態に対応するために日々学習することも重要です。

1. 多様な臨床スキル

特定の診療科に限らず、広く地域の患者を受け入れる総合診療医は、患者の診察内容や病歴、訴えから診断内容を絞り込む臨床推論能力が必要です。そのためには、多様な知識と臨床スキルを持ち合わせていなければなりません。

診断の際は常にあらゆる可能性を考え、致死性の高い病気や、難病のように珍しい疾患を判断するスキルも必要です。

2. 臨機応変な対応力

総合診療医の仕事は型にはめることが難しく、それぞれの地域や現場で求められることは常に変化します。

特に家庭医は、介護や育児など患者や家族が困っていることを見つけてサポートしたり、地域の人々の精神面のサポートをするなど、その役割は多岐に渡るでしょう。

医師という立場を活かし、患者や地域の健康のために臨機応変に対応し働くことが求められます。

3. 人間関係の構築力

人間関係を構築する力も総合診療医に求められる能力です。総合診療医は患者だけでなく、病院関係者や地域の人々など、さまざまな人とコミュニケーションをとらなければなりません。

医師の仕事を個人のものと考えるのではなく、地域や組織などのチームとして取り組んでいく意識が大切です。

4. リーダーシップ

患者や地域住人が抱える多様な健康問題に対処するためには、他業種と連携するだけでなく、その連携の中でリーダーシップを発揮しなければいけない場面も出てきます。

患者の現在の健康問題に対処するだけでなく、その背景にある社会の課題を改善するために医師自ら行政と連携していくことも必要です。

5. 問題意識と学習

問題意識を持つことや学習する姿勢も総合診療医に求められます。患者や地域全体の健康を支えるためには、ただ治療を行うだけでなく、根本にある問題にも意識を向け、解決方法を探る姿勢も大切です。

また、医療を取り巻く状況や治療方法は刻々と変化するため、新しい知識を得るために日々学習する必要もあります。

総合診療医の給与・年収の目安

総合診療医の働き方はさまざまです。年収もその働き方や、働く地域によっても違うでしょう。
また、新しい専門医資格であるため給与に関するデータが少ないことから、
勤務内容や勤務形態が近い医師の年収を基に、総合診療医の年収の目安を考えてみます。

 

総合診療医として働く魅力

総合診療医は地域や組織により仕事内容も異なる、やりがいのある仕事です。総合診療医として働くメリットを紹介します。

地域に貢献できる

総合診療医は臓器を特定した専門医以上にさまざまな診察が必要です。特に、他に医療機関がないような地域では、医師一人で小児科から精神科まで幅広い処置を行います。

また、医療を提供するだけでなく、健康管理や教育などの面から行政と協力して街をよりよいものに変えていくこともできます。

医師の仕事という枠組みを超えて地域に貢献でき、その地域になくてはならない存在になれる点は大きなやりがいにつながるでしょう。

横断的スキルで専門医を支えられる

総合診療医の横断的スキルにより他の専門医が医療に集中できる環境をサポートできます。患者と他の専門医の話を聞き、総合的に判断した上で治療方針を決められる医師はそう多くありません。

多角的に判断できる医師は、大規模病院でも貴重な人材として活躍できます。

患者や家族とより深く向き合える

特に家庭医の場合、診察する患者は乳児から高齢者までさまざまです。目の前の患者やその家族一人ひとりと、何年も向き合い健康を支えられる仕事でもあります。

ただ診察をして治療をするだけでなく、地域の人と相談や雑談などのコミュニケーションを取りながら仕事を進められる点も魅力です。

医療全般を学習し続けられる

総合診療医は既に診断結果が確定している病気に対し治療を行うのではなく、自ら考え病気の可能性を探っていきます。患者の主張や病歴、自身の知識や経験から総合的に判断し、答えを導き出せたときには大きなやりがいを感じられるでしょう。

また、常に異なる職業や年齢、性別の人とコミュニケーションが取れるため、学びが多い点も特徴です。

総合的に病気を判断するには、あらゆる医療の知識が必要になります。知識をアップデートするために、学習し続けられる点も魅力のひとつです。

総合診療医として働くときの懸念事項

総合診療医は2018年に登場した専門医資格のため、医師の人数自体が少なくキャリアプランをイメージしづらいかもしれません。

その他、専門医資格を取得しても希望にあった求人を探しづらいなど、総合診療医として働く場合の懸念事項を解説します。

キャリアパスをイメージしづらい

「地域のかかりつけ医」のように、昔から幅広く患者を診てきた医師は多くいます。しかし、総合診療医をキャリアとして確立している人材は限られているため、どのようなキャリアプランにすればよいか、イメージするのが難しいかもしれません。

特に、他の専門医からの転向ではなく、初めから総合診療医として働く場合、自分でキャリアを切り開く覚悟も求められます。

専門性が分かりづらい

総合診療医は専門医資格であるものの、外科や眼科のように分かりやすい資格ではないため、専門分野が定まっていないという印象を受けることもあるかもしれません。また、他の専門医へのつなぎ役と思われることが多いですが、実際には外来患者の9割を継続して診療しています。

総合診療医はあらゆる機関と連携し、問題を解決する対応力レベルや診断能力の高さが専門性となります。

深い専門性を身につけられないのではないかと不安に感じる場合は、どのような能力が身につくのか調べてみるとよいでしょう。

希望の求人が見つけづらい

総合診療医は新しい専門医資格なので、希望の求人が見つけにくく、資格を活かした転職が難しい可能性があります。また、対応領域が広いため、総合診療医の募集があっても、希望の業務内容ではない可能性もあります。

転職を希望する場合は、希望求人を見つけるためにも複数の医師専用転職サイトに登録し、日々内容を確認するのがおすすめです。

 

総合診療医の年収を上げる方法

総合診療医の年収を上げる方法には、開業する、アルバイトを掛け持ちする、転職するという3つの方法が考えられます。それぞれ解説します。

1. 開業する

既にある程度の臨床経験があり、総合診療医の資格がある医師であれば、開業は年収を上げる効果的な方法です。特に、地域に根ざした医療を提供する家庭医であれば、開業とも相性がよいでしょう。

診療方針も自由に決定できるため、自身の理想とする地域医療への貢献を十分に実現できます。

ただし、開業するためには土地の選定から資金調達、人材募集など、さまざまな準備が必要です。また、経営状況の確認やスタッフの管理など、経営者としての仕事も行わなくてはなりません。

メリットだけでなくリスクもあるため、事前に確認してから検討しましょう。

2. アルバイトをする

年収を上げるためには、アルバイトもおすすめです。

医師のアルバイトには、単発で働くスポットと、決まった曜日や日時で働く定期非常勤の2種類があります。
アルバイトを行う場合は、常勤先の勤務状況と調整して、都合のつきやすい方を選択しましょう。

また、アルバイトは収入を上げるだけでなく、常勤先とは異なる環境・業務を行う機会も多いことから、経験や知識を広げられるメリットもあります。

3. 転職する

年収を上げる方法として、転職も視野に入れてみましょう。医師の場合、勤務先や地域により収入に大きな差があるため、同じ総合診療医でも転職により年収が上がる可能性は十分にあります。

また、さまざまな病院を経験することで知識や経験を積めるため、自身のステップアップにもつながります。

なお、先述のとおり総合診療医は新しい専門医資格であることから、求人数は限られる可能性があります。転職を検討する際は、医師専用転職サイトなどを活用しましょう。

全人的医療を目指すなら総合診療医を検討しよう

2018年に新たな専門医資格として追加された総合診療医とは、患者を限定せず全人的医療を提供する点が特徴です。医療のゼネラリストとしての働きを期待されており、地域医療に貢献できる点も魅力です。

なお、総合診療医は新しい専門医資格のため、求人件数が少ない傾向にあります。転職を考える際は、医師専用の転職サイトを利用するのがおすすめです。

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