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往診料と訪問診療料の違いは?診療報酬点数の違いと在宅医に求められる資質を解説

更新日: 2025/05/07
往診料と訪問診療料の違いは?診療報酬点数の違いと在宅医に求められる資質を解説
往診も訪問診療もどちらも在宅医療に分類されるものの、医療を提供する目的が異なります。往診は緊急時の対応を行うのに対し、訪問診療は患者の健康維持のため定期的・計画的に提供される点が特徴です。このような性質の違いから料金(診療報酬点数)にも違いがあります。

往診は患者の要請に応じて緊急時に提供される医療に対し、訪問診療は患者の健康維持のため計画的・定期的に医療を提供する点が違いです。どちらも在宅医療に区分されるものの、それぞれの性質の違いから料金(診療報酬点数)にも違いがあります。
本記事では、往診と訪問診療の医療提供方法や料金の違い、在宅医になる方法や求められる資質を解説します。

 

往診と訪問診療の違い

往診も訪問診療も、どちらも患者宅で医療を提供する在宅医療に分類されますが、目的が異なることから、医療提供の方法に違いがあります。

往診とは「患者の容態が急変したときに提供する在宅医療」

往診とは、患者の容態が急変したときなど突発的な状況に限定し、患者の求めに応じ提供される医療のことです。目的は緊急時の対応であり、あらかじめ計画した医療提供ではないため、料金体系も訪問診療とは異なります。
往診といっても全ての症状に対応できるわけではなく、採血や点滴、風邪・インフルエンザの対応、酸素療法など、いずれも軽度から中程度の疾患が対象です。
なお、痙攣や激しい頭痛・腹痛など、重度の疾患が予想される場合は、そのまま救急搬送となるケースもあります。

訪問診療とは「患者の健康管理のため定期的・計画的に提供する在宅医療」

一方、訪問診療は患者の状態にかかわらず、定期的かつ計画的に提供される在宅医療のことです。例えば、月に2回、第一・第三月曜日の〇時に訪問するなど、計画的に医療を提供します。
訪問診療は患者の健康管理や容態悪化の防止が目的のため、体調に問題がなくとも計画的に行う点が特徴です。また、診察や治療、薬の処方だけでなく、患者家族に患者の体調や栄養管理の指導を行うこともあります。万が一、患者の容態が急変したときには、入院先の調整も行います。

往診料と訪問診療料の違い

訪問診療は定期的かつ計画的に予定を立てて実施できますが、往診は突発的な状況に限定される為、24時間365日いつ業務が生じるかわかりません。医師・医療従事者の負担が大きいことから、訪問診療に比べて高い加算が設定されています。
往診料と訪問診療料はどちらも健康保険が適用されるものの、診療報酬の点数に違いがある為、それぞれ診療報酬の点数を詳しく解説します。

往診料と訪問診療料の違い

往診料と訪問診療料の基本的な違いをまとめると以下となります。

違い 往診料 訪問診療料
概要 患者からの求めに応じ緊急時に医療を提供する。 定期的・計画的に医療を提供する。
料金(点数) 720点 150~888点
時間帯別加算 あり(緊急、夜間、休日、深夜) なし
週の訪問回数 制限なし 原則3回
(急性増悪時、末期がん、難病などを除く)
1日の算定回数 1日2回以上可 1日1回のみ

往診料は720点

往診料は720点で、次に紹介する訪問診療料よりも若干低いです。実際にかかる点数は以下の計算式で計算できます。
720点(往診料)+その他検査料+夜間・休日・深夜加算など

なお、緊急・深夜の往診には加算があります。しかしながら、同じ加算内容であっても、点数は医師が属する病院の種類により以下のように異なる状況です。

【例】深夜の往診加算

種類 点数
イ.機能強化型在支援・在支病(病床有) 2700点
イ.機能強化型在支援・在支病(病床無) 2500点
ロ.イ以外の在支診・在支病 2300点
ハ.イ及びロ以外 1300点

機能強化型在支援・在支病とは、24時間往診体制など所定の条件や設備をクリアした病院です。以上のように、往診料では加算が手厚い点が特徴になります。

※参考:東京都医師会.「4章 在宅医療における診療報酬」. https://www.tokyo.med.or.jp/docs/appendix/009_chapter4_p129-161.pdf
※参考:厚生労働省.「C000 往診料」. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196289.pdf

訪問診療料は1日当たり150~888点と差がある

一方、訪問診療料は以下のように複数の種類がある状況です。

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(1日につき) 1.在宅患者訪問診療料1 イ.同一建物居住者以外の場合 888点
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(1日につき) 1.在宅患者訪問診療料1 ロ.同一建物居住者の場合 213点
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(1日につき) 2.在宅患者訪問診療料2 イ.同一建物居住者以外の場合 884点
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(1日につき) 2.在宅患者訪問診療料2 ロ.同一建物居住者の場合 187点
在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(1日につき) イ.ロ以外(週3回限度) イ.ロ以外(週3回限度) 150点
在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(1日につき) ロ.他の医療機関から依頼を受けた紹介患者(月1回) ロ.他の医療機関から依頼を受けた紹介患者(月1回) 150点

一つの病院から訪問診療で同じ建物(施設やマンションなど)の患者2人以上を診た場合は、「ロ.同一建物居住者の場合」が適用されます。一方、1日に患者1人のみを診察した場合は、「イ.同一建物居住者以外の場合」が適用されます。
なお、一つの医療機関のみで訪問診療を行ったときは、「在宅患者訪問診療料1」を、複数の医療機関で行った場合は「在宅患者訪問診療料2」を用いる点も特徴です。
また、上記の基本料以外に乳幼児加算(400点)、患家診療時間加算(100点)などの加算があります。

※参考:厚生労働省保険局医療課.「令和4年度診療報酬改定の概要在宅(在宅医療、訪問看護)」. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000920430.pdf

 

在宅医療は年々ニーズが高まっている

在宅医療は年々ニーズが高まっています。厚生労働省の調査によると、訪問診療料の件数は年々増加しており、2006年は約19万8千件(月)であるのに対し2019年には約79万5千件(月)と13年で4.2倍近く増加しています。(※)なお、往診料の件数は横ばいです。
訪問診療を受ける患者の約9割は75歳以上であるものの、最近では若年層での利用も拡大しています。(※)高齢化が進む中、最期は自宅で過ごしたいと考える高齢者が多いことも訪問診療のニーズが高まる理由の一つでしょう。また、最近では医療的ケアを必要とする乳児の増加も、在宅医療の需要拡大を後押ししています。

※出典:厚生労働省. 「在宅医療の現状について」P16. https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000909712.pdf

 

在宅医療の最近の動向

在宅療養支援診療所/在宅療養支援病院の増加

在宅医療と聞くと、かかりつけ医が日常の診療の延長として行うイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、在宅医療には看取りの対応も含まれるため、場合によっては24時間体制での支援が必要になります。近年では、24時間連絡を受けることができ、また往診(もしくは訪問看護)対応ができる医師・看護師体制を確保した「在宅療養支援診療所」や「在宅療養支援病院」の数が増加しています。
いずれにも共通するのは地域において在宅医療を支える地域の窓口として、 24時間連絡が取ることができ、必要に応じて往診し、他医療機関等と連携をしながら在宅医療の主たる担い手となっている点です。

在宅療養支援施設の開設解禁

国は、2016(平成28)年度の診療報酬改定を契機に、在宅医療の提供体制を強化するため新たな在宅療養支援施設の開設を認める方針を示し、「在宅医療専門の保険医療機関に対する評価」が新設されました。
こうした診療所は、外来診療をほとんど行わないため、従来のクリニック開業より必要なスペースや資金が少なくて済むという特徴があります。また、在宅医療を専門とする医師が複数名在籍することで、柔軟な対応が可能になり、患者さんの利便性向上も見込まれています。

往診医や訪問診療医になる方法

往診医や訪問診療医として働く方法を紹介します。在宅医療は今後ますますニーズが高まると予想されることから、医師の求人件数も増えるでしょう。

往診医

今のところ、往診医として往診のみを専門に行う医師はごく稀です。多くの場合、医療機関に所属しながら、患家から要請があったときのみ対応します。

また、往診があるか否かは医療機関によっても異なり、定期訪問をしている患者のみを対象としているケースもあります。
さらに、勤務時間内の往診に対し手当を設けている医療機関は少ない傾向です。もし、往診も行いたい場合は、求人詳細をよく確認しましょう。

訪問診療医

訪問診療医は、訪問診療を専門とする医療機関に所属することでなることができますます。訪問診療の場合、事前に訪問計画を立てるため、基本的に時間外や休日労働は発生しないことが多い働き方です。
しかし、24時間体制の病院などでは、緊急対応が必要となることもあるため、勤務先として検討する際は求人内容の確認をしましょう。

なお、都市部では介護施設が不足しており、在宅介護が必要な家庭が多いことから、訪問診療医のニーズも高い傾向です。そのため、好条件の求人も多く、高額の年収が提示されていることも多くあります。

往診医や訪問診療医に必要なスキルや能力

往診医や訪問診療医を目指す場合は、それぞれ必要なスキルや能力を知っておきましょう。往診医や訪問診療医はどちらも患家や施設など、病院とは異なる環境で医療を提供する必要があり、総合的に患者を診察する能力が不可欠です。また、患者やその家族の生活の中で医療を提供するため、相手の意志を尊重しつつコミュニケーションを取れることも大切です。

総合的に診察する能力

在宅医療では特定の部位や疾患に限定しない、総合的に診察する全人的医療の提供が不可欠です。そのためには、患者の病歴から現在の体や心の状況など、全体をよく観察し診察を進める必要があります。
また、診察だけでなく、患者とその家族が置かれた状況をふまえ、より良い療養生活の提案なども行います。

コミュニケーション能力

在宅医に求められるコミュニケーション能力を細分化すると以下となります。

  • 患者や患家の価値観を尊重できること
  • 患者の辛さや痛みに共感できること
  • 患者と信頼関係を築けること
  • 他業種のスタッフとも協力し合えること

在宅医療は施設の整った病院ではなく、患者の生活の中で行います。そこでは、患者の話が病状の判断に重要となることも多いため、現在の辛さや痛み、症状などを相談されるほど信頼してもらう必要があるのです。
また、在宅医療では医師だけでなく看護師など、他のスタッフと協力して診察を進めます。スタッフと健全なコミュニケーションを取りチームワークを深めることは、患者に対しより良い在宅医療を提供することに繋がります。

往診医や訪問診療医に役立つ資格

往診医や訪問診療医は特別な資格がなくとも、臨床経験やコミュニケーション能力があればなることが可能です。
もし、より在宅医療について理解を深めたい・有利な条件で求人を選びたい場合は、、一般社団法人 日本在宅医療連合学会の在宅医療専門医の資格取得がおすすめです。
在宅医療専門医の資格を取得する過程で、在宅での診察時に気を付けることや、治療・ケア方法について深く学ぶことができます。

在宅医療専門医の受験資格

在宅医療専門医認定試験を受けるためには、以下の資格を満たす必要があります。

  • 医師としての経験が5年以上あること(※)
  • 1年間以上の在宅医研修プログラムを受講・修了していること(※)

なお、5年以上の訪問診療の経験があり、学会の認定を受けた方には実践経験に基づき専門医試験を受けられる実践者コースも用意されており、この場合、在宅医研修プログラムの受講は免除されます。
以上の受験資格を満たした上で、一次試験と二次試験に合格すれば在宅医療専門医の資格が取得可能です。

一次試験:書類審査
二次試験:多肢選択式問題、ポートフォリオ面接

※出典:一般社団法人 日本在宅医療連合学会. 「専門医制度」. https://www.jahcm.org/system.html

 

在宅医療は今後ますます求められる

往診と訪問診療はどちらも在宅医療であるものの、性質や診療報酬の点数が異なります。
往診は患者の要請に対し突発的に医療を提供するものであり、診療報酬では時間帯による加算が発生します。一方、訪問診療は患者の健康維持が目的のため、計画的かつ定期的に医療を提供する点が特徴です。診療報酬は患者の住居や医師が1日で診る人数によっても異なります。

在宅医療は今後ますます需要が高まる領域の一つです。医師のための転職・アルバイト紹介サービスのMRTでは、在宅医療の求人も多数掲載しています。また、専属のエージェントが求人探しから面談同席、条件交渉、勤務後のアフターフォローまでサポートいたしますので、在宅医療のアルバイトが未経験の先生でも安心してお仕事をお探しいただけます。
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