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新専門医制度とは?概要や医師が専門医資格を取得するメリットを詳しく解説

更新日: 2025/05/14
新専門医制度とは?概要や医師が専門医資格を取得するメリットを詳しく解説
目次
新専門医制度は2018年4月からスタートした制度です。新専門医制度で専門医の資格を取得するには基本領域、サブスペシャルティ領域のプログラムを受ける必要があります。専門医の資格を取得することで給与アップなどが期待できるでしょう。

医師の中でも専門性の高い医師のことを専門医と呼びます。専門医になるには、新専門医制度のルールに従い、専門的な知識を身に付けるための研修を受ける必要があります。
本記事では、新専門医制度の概要や新専門医制度が医療にもたらすメリット、医師が専門資格を取得するメリットなどを解説します。

 

新専門医制度は2018年4月からスタート

新専門医制度は2018年4月からスタートした制度です。新専門医制度では、臨床研修を終えた研修医が、専門研修プログラムを受けて専門医を目指すことを目的にしています。
新専門医制度が誕生する以前から、内科や外科といった各領域の学会が独自の基準で認定・運用する専門医が存在していました。しかし、各領域で基準が異なるため、同じ専門医であっても、地域や領域によって専門医の質や専門医像にギャップが発生してしまう状況でした。また、各学会が自由に専門医資格を付与することができたため、結果100種類以上もの「専門医資格」が乱立した状態となり、その複雑性も問題となっていました。
このような状況を解消するためにスタートしたのが、新専門医制度です。

※参考:厚生労働省. 「新たな専門医制度の背景と現状(改)」 p31. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000508257.pdf

新専門医制度で専門医を認定するのは一般社団法人日本専門医機構

かつての専門医と異なり、新専門医制度で専門医を認定するのは、各領域の学会ではなく一般社団法人日本専門医機構です。一般社団法人日本専門医機構が専門医になるための基準を統一しているため、地域や領域間での専門医のギャップの解消が期待できます。

 

新専門医制度により「研修医の基準」と「採用」に変化はあるのか?

初期臨床研修修了後の医師は新専門医制度が導入されたことに伴い、採用面や就活などに変化は生じるのでしょうか?
ここでは、新専門医制度により変わった「研修医の基準」と「採用」についてお話します。

「研修医の基準」の変化

新専門医制度が導入される以前の初期臨床研修修了後の医師は、大学医局に所属したり、医療機関で独自に募集する「後期研修医」に採用され、専門医を目指しながら3~5年ほど経験を積んでいくことになっていました。
新専門医制度では初期臨床研修を終えた医師は「専攻医」と呼ばれ、日本専門医機構が定める所定の医療機関で3年以上の研修を受ける必要があります。

「採用」の変化

2020年度からは採用する専攻医数の上限が定められ、各専攻医は1つのみ医療機関を選んで専攻医育成プログラムに応募します。複数のプログラムを同時に応募することはできず、不合格だった医師は二次募集に応募することになります。
また、日本専門医機構が指定する研修指定病院は、医師数、手術件数などに厳しい規定があり、大学病院などの限られた規模の病院のみとなっています。
そのため、専攻医になる医師は初期臨床研修が修了する前から研修先を見学に行き、1か所に絞って試験を受けなければならないなど、導入以前に比べて負担も大きくなっているとの声も上がっているのが現状です。

 

新専門医制度で専門医資格を取得する流れ

新専門医制度で専門医資格を取得するには、次の2つプログラムを受ける必要があります。

  • 基本領域
  • サブスペシャルティ領域

研修医として臨床研修を終えて進むのが基本領域プログラムです。基本領域プログラムでは指導医のもと、3~5年の専門研修を専攻します。(※)その後、基本領域の専門医を取得した後に、より専門性の高いサブスペシャルティ領域プログラムを受けます。

専門医資格取得の流れ

1.専攻医登録

登録を希望する領域学会のウェブサイトまたは日本専門医機構のウェブサイト(https://jmsb.or.jp/senkoi/#an05)から申請

2.プログラムごとの試験・面接

選考基準はプログラムごとに規定されており、登録後に試験・面接の案内が届く。試験・面接を経て、採否が決定。各次募集において応募できる研修プログラムは1つ(重複応募不可)。一次募集で不合格だった場合は、二次募集に応募。

3.基本領域の研修受講→専門医認定取得

プログラムに沿って3年以上の研修を受ける。症例数や論文数などの必要要件を満たして筆記試験などをクリアすると、基本領域の専門医資格を取得可能

4.サブスペシャルティ領域の研修受講→専門医資格取得

基本領域の専門医資格を取得後、希望者はサブスペシャルティ領域の研修に入り、専門医資格を取得することが可能

※参考:一般社団法人日本専門医機構. 「一般の皆様へ」.https://jmsb.or.jp/ippan/

基本領域は19のプログラム

新専門医制度で選択可能な基本領域は、次の19のプログラムです。(※)

内科/小児科/皮膚科/精神科/外科/整形外科/産婦人科/眼科/耳鼻咽喉科/泌尿器科/脳神経外科/放射線科/麻酔科/病理/臨床検査/救急科/形成外科/リハビリテーション科/総合診療

上記の中で専攻したい領域を一つ選択します。

※参考:一般社団法人日本専門医機構. 「一般の皆様へ」.https://jmsb.or.jp/ippan/

サブスペシャルティ領域は24のプログラム

サブスペシャルティ領域は基本領域よりも多く、24のプログラムに分かれます。(※)

消化器内科/循環器内科/呼吸器内科/血液内科/内分泌代謝・糖尿病内科/脳神経内科/腎臓内科/膠原病・リウマチ内科/消化器外科/呼吸器外科/心臓血管外科/小児外科/乳腺外科/放射線診断/放射線治療/アレルギー/感染症/老年科/腫瘍内科/内分泌外科/肝臓内科/消化器内視鏡/内分泌代謝内科/糖尿病内科

なお、サブスペシャルティ領域の数は今後変更があるかもしれません。サブスペシャルティ領域は、各学会から一般社団法人日本専門医機構に認定の申請が可能です。そのため、申請が認められれば新たにサブスペシャルティ領域が増える可能性があります。反対に、専門医の乱立を防ぐ対策が実行されるとサブスペシャルティ領域が減少する、ということも考えられます。

※参考:一般社団法人日本専門医機構. 「一般の皆様へ」.https://jmsb.or.jp/ippan/

新専門医制度が医療にもたらしたメリット

新専門医制度がスタートしたことで、医療にもたらされたメリットは次のとおりです。

  • 細かくなりすぎた専門医が整理できた
  • 総合診療専門医によってかかりつけ医のニーズに対応できる
  • 地域や診療科の格差を解消できる

細かくなりすぎた専門医が整理できた

新専門医制度ではかつての細かくなりすぎた専門医資格を整理できました。かつては各領域や学会が独自に専門医と認定していたため、専門医が100種類以上乱立してしまっていました。
しかし、新専門医制度では基本領域19つに定められ、細かくなりすぎた専門医が整理されました。

専門医資格の質が一定基準に担保できるようになった

新専門医制度では、専門医の認定基準を統一し、研修プログラムを厳格化することで、より高いレベルの医療を提供できる医師を育成することを目指しています。(※)

例えば、従来の専門医制度では各学会が独自の基準で専門医資格を認定していましたが、新制度では中立的な第三者機関が認定を行うことで、専門医の質を一定以上に保つ仕組みが整えられています。また、研修プログラムの評価・認定や研修施設のサイトビジットを実施することで、医師の研修環境をより充実させることなども可能になりました。(※)

※参考:社会保障審議会医療部会「新専門医制度が目指すところー専門医の質の向上に向けてー」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000113037.pdf

総合診療専門医によってかかりつけ医のニーズに対応

新専門医制度で設定されている基本領域の中には、総合診療という領域が含まれています。総合診療は病状に関係なく受診できる、相談できる医師を育成するための領域です。総合診療専門医は、地域のかかりつけ医として活躍できます。
公益社団法⼈⽇本医師会が行った「第7回 ⽇本の医療に関する意識調査」によれば、かかりつけ医がいないと答えた人のうち、どのような医師がかかりつけ医に適しているのかわからないと回答した人は20~44歳で20.5%、45~64歳で17.6%、65歳以上で14.3%いました。(※)このような状況に対して、総合診療専門医が登場することで、かかりつけ医を探しやすくなることが期待されています。

※参考:公益社団法⼈ ⽇本医師会. 「『第7回 ⽇本の医療に関する意識調査』について」p14.https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20201007_4.pdf

地域や診療科の格差解消

新専門医制度は、地域や診療科の格差を解消することも期待されています。新専門医制度における基本領域の研修は、基幹病院と連携病院とで実施されます。基幹病院は都市部に集中しているため、専門医が都市部に集中してしまうと懸念されていました。しかし、専門医の都市部への集中を避けるために、シーリング制度が設けられています。
シーリング制度とは、地域や診療科ごとに医師が偏ってしまうことを緩和するのが目的の制度です。シーリング制度によって医師が都市や特定の診療科に集中しないようにするため、地域や診療科の格差解消が期待されています。

 

新専門医制度の課題

新専門医制度は医療全体にメリットをもたらす一方で、次のような課題があります。

  • 研修によっては各地に移動する必要がある
  • 領域によっては資格取得に時間がかかる
  • ライフイベントとの両立が難しい

研修によっては各地に移動する必要がある

新専門医制度においては、研修によっては各地に移動する必要があることが課題です。新専門医制度では、シーリング制度によって遠方の基幹施設で研修を受ける必要があります。また、一定期間、地方での勤務が発生することもあります。研修によっては居住地以外の地方に移動する必要があり、遠方での研修が続くと、生活設計を立てるのが難しくなってしまいます。

領域によっては資格取得に時間がかかる

新専門医制度のもう一つの課題として、領域によっては資格取得に時間がかかることが挙げられます。
新専門医制度では基本領域、さらにはサブスペシャルティ領域の研修も受ける必要があります。研修期間は領域によって異なるため、選択した領域によっては専門医資格取得までに時間がかかります。中には、基本領域と並行してサブスペシャルティ領域を学べる領域もあります。
しかし、基本領域修了後にしか学べないサブスペシャルティ領域の場合、資格取得までに時間がかかってしまうことが課題です。

ライフイベントとの両立が難しい

循環型研修になり、研修先によっては生活拠点を変える必要があることから、出産や育児などのライフイベントとの兼ね合いが難しいという声も聞かれます。

ただし、合理的な理由がある場合は「カリキュラム制」を選択できます。
「カリキュラム制」とは、カリキュラムに定められた到達目標を達成した段階で専門医資格試験の受験資格が与えられるというもので、研修年限の定めはありません。

ライフイベントとの兼ね合いで生活拠点を変える事が難しい場合には、カリキュラム制を選択して両立の道を検討してみてもいいかもしれません。

 

専門医資格を取るメリット

前提として、医師としての知識や技術を高められる新専門医制度ですが、専門医になるかどうかは任意です。医師になるには、医師国家試験に合格後、2年の臨床研修を受けることが義務付けられています。(※)2年の臨床研修を終えたら、専門医にならなくともそのまま臨床の現場に携わることが可能です。(※)そのため、臨床研修後に基本領域、サブスペシャルティ領域の研修に進むかどうかは自分で決められます。
専門医になるかどうかに迷った場合、キャリアプランを考えましょう。医師が専門医を目指すことで、次のような効果が期待できます。

  • 転職時のアピールポイントになる
  • 自身のスキルを高められる
  • 患者や他の医師からの信頼が高まる
  • 給与のアップが期待できる
※参考:厚生労働省. 「1 医師臨床研修制度について」p2. https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000683716.pdf

転職や就職時のアピールポイントになる

専門医の資格は、転職や就職時のアピールポイントになります。大規模な病院や急性期の病院のように専門性が必要な施設では、専門医資格は十分なアピールポイントです。介護施設や中小規模の病院、クリニックでは専門医資格が重要視されないケースもありますが、資格を持っていてマイナスになることは決してありません。

自身のスキルを高められる

専門医資格を取得することで、自身のスキルを高められます。専門医資格の取得までには、基本領域、サブスペシャルティ領域といった専門性の高い研修を受けてきています。そのため、研修期間に専門的な知識を学ぶことで、自身のスキルを高められるでしょう。

患者や他の医師からの信頼が高まる

専門医資格を取得することで、患者や他の医師からの信頼向上につながります。専門的な知識を持っている医師が在籍していることで、患者も病院を選ぶ際に信頼して選択できます。
患者からの信頼向上でメリットを得られるのは、医師本人だけではありません。病院もメリットを得られます。専門的な知識を持つ専門医が自院に在籍していることをホームページなどに掲載することで、患者の来院につなげられます。

給与のアップが期待できる

専門医の資格を取得していることが、給与アップにつながる可能性があります。例えば、埼玉県立病院機構では専門医資格に応じた年俸制がスタートしました。このように、専門医の資格を取得することで、給与のアップにつながるケースもあります。
しかし、全ての病院が専門医資格と給与を関連付けているわけではありません。専門医資格取得による給与アップがあるかどうかは、自身の勤務先や転職先の医療機関を確認してみましょう。

 

勤務先以外での経験を積むにはアルバイトがおすすめ

専攻医からアルバイトが可能な現在、専門医プログラムを受けながらアルバイトを行い、日々経験を積んでいるという医師が多くなっています。

自身の勤務先以外でも現場経験を積むには、予定に合わせて空いた時間で働けるアルバイトがおすすめです。

 

新専門医制度を把握して自身のキャリアを考えよう

新専門医制度は2018年4月からスタートした、臨床研修を終えた研修医が基本領域、サブスペシャルティ領域の研修を経て専門医を目指す制度です。新専門医制度がスタートしたことで、細かくなりすぎた専門医が整理できる、かかりつけ医のニーズに応えられるというようなメリットがあります。一方で、研修によっては各地を移動する必要があるなど課題もある状況です。
研修医が専門医の資格を取得することで、自身のスキルを高められるだけでなく、転職や就職時のアピールポイントになる、給与のアップが期待できるなどのメリットにつながります。しかし、専門医の資格取得は必須ではないため、自身のキャリアプランを考えて選択しましょう。
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