医師が転職する際は、まず広く情報を集めるところからスタートし、転職の目的や条件の明確化、転職活動の流れの理解、転職方法選びと進めていくのが一般的です。転職の方法はいろいろありますが、自分の条件へのマッチング性が高い求人サイトの利用がおすすめです。
現在の職場に不満があったり自分の働き方を見直したいと思ったら、転職を検討してみましょう。
ただし、行き当たりばったりで転職先を決めてしまうと、理想とのギャップが生じて後悔することになりかねません。転職を考える際は、今後のキャリアプランや転職先の条件などをしっかり検討し、計画的に行動することが大切です。
本記事では、転職前の準備から転職方法の選び方まで網羅した医師の転職マニュアルをまとめました。
転職するにあたって、まず考えておきたいのが今後のキャリアプランです。転職する目先の理由が収入アップだったとしても、今後どのような医師を目指したいのか、院長や副院長などの役職に就きたいのか、ある程度のキャリアを積んだら開業も視野に入れたいのかなど、将来のことも視野に入れて職場を選ばなくてはなりません。
例えば、将来専門医としての地位を不動のものにしたいと考えているのなら、医局に転職して技術の向上を目指す。ワークライフバランスを重視するのなら、予防医学や健診に力を入れるなど。
特に、開業を目指している場合は、開業資金の準備もあるので、経験やスキルを磨きつつ資金計画も立てなければなりません。
キャリアプランは、中期・長期の2パターンを考えておき、それぞれのプランを進行していくためにはどのような職場を選ぶべきか、慎重に検討してみましょう。
また、キャリアプランは転職を考え始めた年代によって異なることもあります。ここでは、年代別にキャリアプランのマニュアルについてご紹介します。
20代~30代前半の若いうちは、とにかく多くの経験を積み、基礎を習得したい時期です。しかし、環境が合わないと感じた場合は無理に同じ場所で働こうとせず、転職を考えた方が後のキャリアを築きやすくなります。
ただし、経験の浅い若年層の医師が最初から高収入・好待遇を望むのは難しいので、まずは医師としてスキルアップしていくことを目指しましょう。
具体的には、教育制度が充実しているところや専門的な症例を経験できるところを選ぶと、知識や経験、スキルの向上に役立ちます。
現場での経験を積みたいという場合は、医師数が少なく人手が足りていない職場を検討するのも一つの方法です。
30代後半~40代前半はある程度の経験を積んでおり、かつ医師としてもスキルアップしている年代なので、一般的に売り手市場と言われています。
若い時に比べて選択肢は豊富になりますが、そのぶん職場から求められる要素も大きくなります。
大病院の場合、若い世代を指導・教育するマネジメント力や、他の医師との間で診療方針の擦り合わせなどを行える柔軟性が重視される傾向にあります。
一方、小規模な病院では、基本的に一人で何でもこなせる幅広い即戦力が求められます。
このように、転職先によって医師へのニーズは異なるため、自分がどのような働き方やスキルアップを望んでいるのか、きちんと見据えた上で転職先を決める必要があります。
50代以降の医師は、症例数・知識ともに申し分なく、専門医としての立場も確立しているケースがほとんどです。そのため、実績面の水準は難なくクリアできる場合が多いですが、その一方で、体力や気力の低下が問題視されやすくなります。
特に勤務医の場合、定年退職まで10年くらいしかないため、即戦力・マネジメント力の高さを考慮したとしても、転職で年収アップは期待できないと考えておいた方がよいでしょう。
キャリアプランも、勤務医として定年退職後に引退するか、開業医として60代以降もバリバリ働くか、はっきりビジョンが見えている時期です。
50代以降に転職を考える場合は、まずは医師としてのゴール地点を明確にすることを先決にしましょう。
出産や育児は、医師のキャリアプランに大きな変化をもたらします。
特に、女性の場合、産休・育休でブランクが空いたり、子育てとの両立で働き方を大きく変えざるを得なかったりするケースも少なくありません。
出産・育児にともなって現在の職場で働くのが難しいと感じた場合は、子育て中の女性が働きやすい環境が整った職場への転職を検討した方がよいでしょう。
具体的には、時短勤務やオンコール、院内託児所の有無、フレックス勤務の可否などを考慮すると、子育て中でも復職しやすくなります。
子育て期間は長期です。人によっては第2子以降の妊娠・出産も視野に入れなければなりません。育児中は転職活動がままならないことも多々あるため、だめなら他の転職先を選べばよいと考えるのではなく、最初から長期的なキャリアプランを形成して転職先を選ぶことが大切です。
医師の転職マニュアルの2つ目のステップは転職目的や条件を明確にすることです。転職を考えるきっかけは人それぞれですが、そこには現在の職場への不満や、新しい職場への希望があるでしょう。
目的や条件が曖昧なまま転職活動をスタートすると、新しい職場に移っても現在抱えている問題や課題が解決されない場合があります。こんなはずじゃなかったと後悔しないためにも、応募する前に転職する目的や希望する条件を明確にしておくことが大切です。
しかし、希望する条件が多すぎると、候補先が見つからない、または限定されてしまうおそれがあります。最初から候補を絞りすぎると転職活動が行き詰まってしまうこともあるため、いくつかの条件を挙げたら、優先順位をつけていくのがポイントです。
例えば、将来的に結婚・子どもを希望している場合は、時短勤務やフレックス制の導入、当直なしなどの条件を優先にするのもよいでしょう。
転職先を決めるにあたってどうしても譲れない条件を明確にしておくと、志望先を絞り込む時の基準になります。
自分の働き方やキャリアプランに合った職場を見つけるには、相応の時間がかかります。
特に、転職の場合、基本的に働きながら次の職場を探さなければならないため、スケジュールどおりに事が進まない可能性も十分考えられます。
以上の事情を鑑みると、実際に転職する半年~1年前程度から活動を始めておくのが理想です。
人によってはそれ以上の期間がかかることもあるため、まずは転職するまでの大まかな活動の流れをマニュアルとして把握しておきましょう。
以下では転職の流れをマニュアルとして7つのステップに分けてご説明します。
転職活動で最も時間がかかるのが情報収集です。
転職先を検討する際、自身の専門科や住んでいる地域、年収などを考慮して志望先を選ぶのが一般的ですが、最初から候補を絞り込んでしまうと、視野が狭くなってしまう恐れがあります。
まずは、条件などを設けずにいろいろな求人を調べて、職場によって働き方や環境、制度が複数あることを学んでおきましょう。こんな働き方もできるということや、こういう制度があったら便利など、新たな発見につながれば、自分の理想とする職場像も固まりやすくなります。
職場の情報はインターネットなどで簡単に検索できますが、自分一人で調べると主観が混じりやすいため、転職経験者の体験談や口コミをチェックしたり、転職を経験した身近な人にアドバイスをもらったりして、第三者の視点も上手に取り入れるのがベターです。
ある程度の知見を得たら、収集した情報をもとに志望先をいくつかに絞り込みます。転職先の情報は求人に記載されている内容だけでなく、必ずコーポレートサイトもチェックし、経営理念や診療方針、労働環境などを細かく確認しましょう。
志望先に提出する応募書類を作成します。
応募書類は履歴書のみというところも多いですが、転職の場合は職務経歴書の提出を求められる場合もあります。
なお、応募書類は手書き・パソコンのどちらでもかまいません。手書きで作成した方が丁寧な印象を与えそうな気がしますが、フォントやレイアウトを統一できるパソコンの方が見やすさは上です。
応募書類を用意したら、志望先に応募します。
応募先は3~4カ所に絞るのが一般的です。一つのみに絞って応募すると比較対象がなくなり、その職場のメリット・デメリットがわかりにくくなってしまう恐れがあります。複数の志望先に応募するのがおすすめです。
なお、最近は求人サイトであらかじめエントリーを済ませてから、志望先に応募書類を郵送する方法が主流です。
応募書類を提出すると、志望先から折り返し面接の日程が通知されます。
転職では、面接は1回きりで終了となるケースがほとんどです。最近は、新型コロナウイルスの影響などにより、対面ではなくWeb会議システムなどを使ったオンライン面接も活発に行われています。その場合、自宅から面接を受けることになりますが、背景に余計なものが映ったり、途中で通信が途切れたりしないよう、周辺環境や通信環境は念入りにチェックしておきましょう。
面接の相手は、院長や副院長、人事担当者などが多いですが、いずれの場合も気後れせず、自分の意見や質問はしっかり言葉にすることが大切です。
面接に受かったら、志望先から内定通知が届きます。
内定への返事には期限があるため、そこで働くことを決めている場合は速やかに連絡を入れます。
他の志望先と迷っている場合は、当該職場で実際に働いている姿をイメージしてみましょう。違和感や不安を覚えたら、職場にマッチしていない可能性があります。他の志望先を検討した方がよいかもしれません。
民法では、雇用は解約を申し入れてから2週間を経過した後に終了するという規定があります。(※)
ただ、退職の申し入れ期間については就業規則が優先されるので、現在の職場で退職の1カ月前には申し出るという規定があれば、そのルールに従わなくてはなりません。
なお、医師の場合は担当する患者への対応や、後任への引き継ぎなどがあります。
なるべくスムーズに退職するためにも、就業規則に記載されている期間にかかわらず、退職の3カ月前には職場に伝えておくのがベストです。
すんなり受理されればスケジュールどおりに転職できますが、特に地方では医師不足が深刻化しているため、慰留されるケースも少なくありません。
依願退職は本人の自由意思で決定するものなので、医療機関側に無理やり引き留める権利はありませんが、できるだけ円満退職できるように納得してもらえるような理由を考えておいた方がよいでしょう。
※出典:e-Gov法令検索.「民法」.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
前職を退職したら、新しい職場へ転職します。
転職のタイミングは人それぞれですが、年度初めの4月に合わせて新しい職場に移る方が多いようです。
ただ、転職スケジュールはずれ込むこともあるので、当初決めた時期に無理に合わせようとせず、自分のペースで転職活動を行いましょう。
医師の転職方法は、大きく分けて次の3つが挙げられます。
それぞれ特徴が異なるため、自分に合った転職方法を選びましょう。
友人や知人が医療機関に勤めている場合、職場に紹介してもらえる可能性があります。
この方法のメリットは、労働環境を簡単かつ正確に把握できるところです。実際に現場で働く友人・知人がいれば、労働環境や待遇、職場の雰囲気などを事細かに尋ねることができます。求人情報やコーポレートサイトなどの表に出ている情報以外にも有益な話を聞くことが可能です。また、友人・知人がいると新しい職場になじみやすいというのもメリットの一つです。
一方で、友人・知人繋がりであることから、労働条件の交渉をしづらいことや安易に辞められないことなど、紹介ならではのデメリットもいくつかあります。場合によっては友人・知人と気まずくなってしまうこともあります。こうしたデメリットにも臆さない人向けの方法です。
求人サイトを利用して転職活動をするメリットは、自分に合った職場の情報を効率よくキャッチできるところです。
求人サイトの多くは、エリアや診療科目、給与、勤務日数、業務内容など、複数の条件で求人を絞り込める仕様になっています。
あらかじめ転職先に希望する条件を明確にしておけば、自分に合った求人情報を一括検索できるため、情報収集の手間と時間を省けます。情報収集や検索は自分で行わなければなりませんが、そのぶん自由度が高く、きめ細かなニーズをもとに志望先を選べるところが利点です。あらかじめ希望条件が固まっている人や、より自分にマッチした職場を見つけたいと考えている人に適した方法です。
なお、求人サイトには複数の業種に対応しているところと、医師の求人のみに特化したところの2パターンがあります。後者の方が専門性が高く、より細かい条件で検索できる上、一般的な求人サイトにはない求人情報が掲載されていることも多いので、医師求人サイトの利用がおすすめです。
転職エージェントとは、転職先に求める希望条件などをもとに、プロが代わりに情報収集して適切な求人案件を提案してくれるサービスのことです。
手間のかかる情報収集の時間をカットできるため、スケジュールに余裕を持って転職することが可能です。サービスによっては応募書類の作成や面接のサポートも行ってくれるところもあります。
求職者にとって至れり尽くせりのサービスですが、紹介先はエージェントに一任されるため偏りが出てしまうことも。また、エージェントとの相性が合わないとこちらの希望や要望が伝わりにくく、自分にマッチしないところを紹介される可能性があります。
医師が転職する際は、キャリアプランの検討、転職の目的・条件の明確化、転職の流れの把握などを行う必要があります。転職先に求める条件は人それぞれ異なるため、幅広く情報を収集したうえで、自分に適した志望先を選ぶようにしましょう。
転職方法は複数あり、それぞれ特徴が異なりますが、自分の条件やニーズに適した志望先を選びたいのなら、自由度の高い求人サイトの利用がおすすめです。特に医師に特化した求人サイトなら、一般的な求人サイトには掲載されていない求人情報が見つかることも多く、より自分にマッチした志望先を選べるでしょう。
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